表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/172

⁑コアに触れる

翌日、僕らはリカルドの指示の元、チームに分かれての訓練を行った。



最前線…いわゆる、今まで僕ら4人が守っていたポジションには、ルイスとヒューを筆頭にした10数名が就いた。


チラッと見た限りの、彼らの攻撃力は凄かった。



その後ろを守る援護部隊は…大きく…攻撃、守り、突破の3つに分かれた。

そしてその中でも、特に得意とするタイプごとにチームを組み、それぞれに特化した特訓を受けていた。



僕ら、突入チームのメンバーは変わらなかった。


そして僕らは、昨日までと同じメニューを…昨日以上にレベルを上げて、ひたすらに…こなしていった。


もう、出来る事はそれしか無かった。



言ったら、スポーツ選手だってそうだ。

大会本番の前日だからって、急に特別な練習をする訳じゃ無い。


LIVEだってそうだ…



そんな事を頭の隅っこで考えながら…

僕は、目の前に現れるダンジョンのような迷路をくぐり抜け…壁を破り…敵を倒し続けた。



4人で力を合わせる訓練もした。


前回のような、波動砲(いやたぶん、そんな名前ではないと思うけど)がすっ飛んできたとしても、今の僕らの力なら、叩き壊する事が出来るであろう事は、リカルドからもお墨付きを頂いた。


ま、あくまで…相手方のレベルが、前回同様であればの話ではあるが…



しかも、今回の敵は1つでは無いのだ。


ちゃっかりおこぼれに便乗しようとしている輩が、ほぼ同時にやって来るというのだから…応戦する側としては、どれほどの備えをしておけば良いものか…



その上…僕には、前回の記憶が無い。

刻々とカウントダウンが進む中…僕の不安は膨らむばかりだった。


そんな不安を必死に打ち消すように…

僕は激しい訓練に、ただただ…集中した。



「とりあえず…やれる事はやった…」


その日の終わりに…カイトは僕らに向かって言った。


「そうだね…」

「リューイの音のおかげで、格段に強くなったし」


「それでも、命懸けの戦いになるのは間違いない」

「…」


深刻な表情でそう言うカイトを…僕は少し泣きそうな目で見つめた。


「2度やられる気は、更々無いけどな…」

「うん…」


「そんな顔しないで、リューイ」

ジョシュアが、僕の肩を叩いた。


「君はいちばん強いんだ…君がそんな顔してたら…皆が不安になっちゃうよ」

「…っ」


カイトも頷いた。


僕は、くちびるを噛み締めた。



そして、ウィルフリードもやってきての…

最後の全体終礼が行われた。


「このステーションは、君たちのおかげで、以前と比べ物にならないくらい強くなった…」

「…」


「明日は、私も含めて…ステーション中の皆が、君たちをバックアップする」

「…」


ウィルフリードは、自分に言い聞かせるように…静かに、力強く言った。


「誰ひとりとして、死なせはしない…」


「……」


そこにいる誰もが、大きく頷いた。


「ゆっくり…休んでくれ…」



僕らは解散した。

この日ばかりはさすがに、タウンへ行こうなどと言い出す者もいないだろう…


僕はそう思っていた。



「どうする?ヴィンセントの所に行くか?」

カイトが訊いてきた。


えええーっ

明日、本番なのに??



「…行っても…いいけど…」


実は僕には…

今日のうちに行っておきたい場所があった。


「その前に…コアを…見に行ってもいい?」

「…構わないが…」


カイトは、少し驚いていた。



そして僕らは…エレベーターで最下階へ向かった。

そこに行くのは、この世界に来て…最初の方にエルンに連れていってもらったとき以来だった。


エレベーターを降りて…

カイトは扉の横のボタンに手を翳した。


扉が開いた。


「…!!」


こんなに…大きくて眩しかったっけ…



自分の目の中にあるコアに、いつの間にか見慣れてしまったせいだろうか…

久しぶりに見る本物のコアは…とても大きくて、とても眩しくて…それはそれは美しかった。



「俺が…あんな話をしたからか?」


カイトが言った。


「…ん…それもあるけど…」


僕は、その…大きくて眩しいコアに向かって両手を翳した。


「僕は…間違って…いないよね?」

「何を?」


「僕が、ここでやってきた事は、本当に…このステーションの…このコアのためになってるのかなって…」


そのとき、コアが…大きく揺らめいた。


まるで太陽が、自身を燃やす炎に包まれているかのように…そのコアの表面が、炎のように煌めきながら小さい光を幾つも放った。



「…コアが…高揚している?」


カイトが呟くように言った。


「こんな風になるのは…初めて見た…」

「…」


僕は…更に一歩前に踏み出した。


「リューイ…熱くないのか?」

「…うん…熱いよ」


僕は、少しずつコアに近寄っていった。


「リューイ!」


コアが、より一層燃え盛った。


そして、そこから放たれる光の粒が…伸ばした僕の指先に触れた。


「熱っ…」


その熱が…指先から僕の身体の中に、シュッと溶け込んでいくのが分かった。


それは…じわじわと僕の身体に染み渡った。

それまでに、このステーションのために戦って失われた幾つもの命を、愛おしみ悲しんでいるような…そんな感情が僕の中に湧き上がった。



「僕に…託してくれるんだね…」


僕は、コアに向かって言った。


「この感情も…この、身体も…」


「…!」


背後で聞いていたカイトが、大きく目を見開いた。



「リューイ…」


その瞬間…コアが一段と激しく燃え盛った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ