表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/172

⁑前前夜(2)

その日の宴もまた、遅くまで続いた。


とても楽しかった。


地球で言う所の明後日に…本当に、その例の黒いステーションとの戦いが迫っているんだろうか…


僕は本気でそう思った。



「それじゃ、明日は気合い入れていこうな」

リカルドが、僕とカイトに向かって言った。


「ああ…」

「よろしく…お願いします」



そしてリカルドは…しれっと続けた。


「じゃあリューイ、俺ら全員帰らせてー」

「ええーっ!?」


「一気に同時にスポーンと飛ばしてねー」

「…同時にスポーン…ですか」


「これも訓練だよ」

彼は、真面目な表情を作ってビシッと言い切った。



いや、絶対ふざけてるでしょ…

この酔っ払いチャラ男くんは…


思いながらも、僕は大きく溜息をつくと…そこにいる全員の顔を見渡した。


そして、それぞれの戻るべき場所を思い浮かべた。



「じゃあ、ヨハンさん…ご馳走様でした」

「うん…また遊びにおいで」


小さく頷くと、僕は…力を発動させた。



シュッと…

その場から…全員が同時に消えた。



「ふふっ…流石だねー」


ひとり残ったヨハンは、ニヤッと笑いながら呟いた。




「お前…もうウィルフリード並みに、誰でも何でも、どこへでも飛ばせるんじゃないの?」


無事、僕らはとりあえず、僕の部屋に戻っていた。


「それは無理だよ…今だって、結構いっぱいいっぱいだったんだから…」



皆…無事に帰れたかな…



少し不安気な表情をしていた僕を…

カイトは、勢いよく抱きしめた。


「リューイ…」

「…カイト…」


そして見つめ合った僕らは、まるで自然な感じに…どちらからともなく口付けた。


「お疲れ様だったね…」

「カイトもね…」



そして僕らは…そのままベッドになだれ込んだ。


僕の身体を抱きしめて、足を絡めながら…

カイトは囁くように言った。


「疲れた?」

「うん…」


「…しても…いい?」

「んー…うん…」


僕の返事を聞いたカイトは…改めて僕に口付けながら、僕の身体を愛おしそうに弄った。


「んっ…ん…」


そして僕の頭の中のコアは…歓喜に震えるように、ユラユラと眩しく輝きを増していくのだった。



カイト…

カイトが…好きだ


思えば思うほどに…コアは、美しく眩しく光り輝いた。


「はぁっ…あ…カイ…ト…」


それは…やがて注入された彼のコアと相まって…

一層激しく燃え盛った。



戦いなんて、無ければいいのに…

このまま、ここでずっと…楽しくカイトと一緒に過ごせたら、それでいいのに…



僕は心の底からそう思った。



そのとき…僕のコアの中で…

青白く光る何かが…僕に訴えるように、一際激しく輝いて見えた。


「…っ」


テディさん…



そうか…

テディさんも、きっとそう思っていたんだ。

キーファーさんと寄り添って、一緒に生きていきたいと…ずっと思っていたんだな…


でも、それは叶わなかった…



いつの間にか…僕の目から、涙が溢れていた。


「どうした、リューイ…痛いのか?」

慌てたカイトが言った。


「ううん…」

僕は、大きく首を横に振った。


「僕は…すごく幸せだ…こうして、生きてるカイトを感じる事が出来るんだもの…」

「…」


何かを悟ったらしいカイトは…優しく…そして強く、僕の身体を抱きしめた。



「大丈夫…きっと、俺たちは、負けない…」


彼は、自分に言い聞かせるように呟いた。


「…うん」


グルグルと混ざり合い、いつまでも輝き続けるコアに包まれながら…僕は、自分の身体が、溢れるほどに満たされていくのを感じていた。


実際…おそらく、その行為すらも…

僕らを進化させている事は、間違いないと思われた。



そして僕らは…少しずつ収まっていく、陽炎のような光に包まれながら、眠りについた。




「なあ…お前も、力を貸してくれるんだろ?」


キーファーは、自分のベッドに仰向けになって…自分の中の彼に向かって問いかけた。


まるでそれに応えるように…キーファーの胸の辺りが、青白く、ポワ〜ッと光った。


「本当に…何もかも、あの偽物のおかげだな…」


その、光っている辺りを、愛おしそうに両手で撫でながら…彼は続けた。


「あの、リカルド用の道具も…リューイのヒントと、あの音のおかげで…自分でも驚くくらい、造作なかった…」


青白い光は、相槌を打つように…

何度もゆらめいた。


「今だったら…俺も最前線で戦えるかもな…」


光が、パーッと…花火のように散った。

まるで…何をバカな事言ってるんだ…って、笑っているようだった。


「はははっ…」


眩しそうに目を細めながら、キーファーは続けた。


「…こうして…お前にまた、会えたのも…あいつのおかげ…なんだよな…」


光がスーッと大きくなって…薄く膜を張るように、キーファーの身体を包み込んだ。



「…おやすみ…テディ…」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ