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⁑進化する守備力

その頃、デベロッパーでは、例の道具を装着したリドリーとエルンが…リドリーの企む所の、守備力強化システムの開発に勤しんでいた。


エルンの持っている…というか、彼が使用している守備力と治癒力を、例のUSBに取り入れて、ステーション中の人々に供給しようと言う…なかなかに壮大な計画だった。



「本当にそんな事が可能なのか?」

「ああ…今の俺たちなら出来るさ…」


リドリーは、ニヤッと笑いながら言った。


「この…リューイの力があればね」

「…そうか…」



そしてリドリーは、エルンの持つ力を、余す所なく…確実に数値化させていった。


「…すごいな…」

エルンはそれを見て、ボソッと呟いた。


「俺だけの力じゃ無い…」

リドリーは、エルンをチラッと振り返りながら言った。


「そ、そうか…」

エルンは、少し照れたように…背筋を正して、更に彼に向かって、パワーを送り続けた。



どのくらいの時間、続けていただろうか…

ようやくリドリーは…キーボードの中でも一際大きな、エンターキー的なものを押した。


「…よし、出来た…」


「ふぅー」

エルンは、大きな溜息をついた。


「ありがとう、エルン」

「とんでもない…お役に立てて光栄だよ」


「あとはコレを、身に付けられる形にしたいんだが…どうするのが良いと思う?」


聞かれて、エルンは少し考えてから答えた。


「首にかけるのが、いいんじゃないかな…身体の中心部にある方が、その人のコアが集まりやすい」

「なるほど…そうしよう」



リドリーは…休む事なく、すぐにそれを形にしていった。

USBが、丸いメダルの様なものに入れられ…長い鎖が付けられた。


「良いんじゃない?…見た目にも、なかなかスマートでカッコいい」


エルンはその試作品を、自分の首に掛けてみた。


「何だか…自分が強くなった気がするよ」

「あはははっ…だったら大成功だ」


リドリーは、再びそれをエルンから受け取ると…すぐに部屋を出た。


「早々に量産しなければ…」

そう言って彼は、ファクトリー階へと向かっていった。



そんな彼の後ろ姿を見送ったエルンは、小さく溜息をつきながら、呟いた。


「さてと…俺も、俺に出来る事をしよう」


そして医療センターに戻った彼は…例の守備力増強ブレスレットを、更に改良した。


もちろん…

あの、例の道具のイヤホンを装着して…




翌日、ヴィンセントの店を訪れた僕らに…彼は、そのメダルのような物を見せてくれた。


「これ、貰いました」

「へえー何、それ?」


「これを付けて、僕らの力で、ステーションの結界を張るんですって」

「もう出来たの!?」

「仕事が早いな…」



ヴィンセントは、僕らの前で、それを首にかけた。


「…どんな感じ?」

「うーん…何だかよくわかりませんけど…何となく身体がホカホカする気がします」


「コアが強まってるって事だろ」

「そうなんですかね…」



そこへ、キーファーもやってきた。


「よう、訓練の調子はどう?」

「キーファーさんのおかげで…皆すごく進化してます」

「あ、お前もそれ、貰ったのか」


カイトの隣に座った彼の胸元にも、ヴィンセントのと同じメダルが光っていた。


「ああ…俺も目一杯戦ってやるからさ」

「お願いします、頼りにしてます!」



そして僕らは、エールで乾杯した。



ほどなくヴィンセントが…今日の料理を出してくれた。


赤茶色っぽいトロッとしたそれの中には、大きめに切った玉ねぎとピーマン…そして、衣のついた肉が入っていた。


「酢豚だ!」

「すぶた…?」


「出た!…また地球の食べ物か、これ?」


続いて出てきたものは…細く切った生野菜の上に、例の肉を茹でたものが、薄くスライスして乗せられ…更に真っ赤な(いかにもカイトの好きそうな…)タレがかけられていた。


「よだれ鶏だ!」

「は?…よだれどり!?」


「また変なこと言い出した…」



だってホントにそう言う名前なんだから、しょうがないじゃないかー



若干プンプンしながらも、僕はヴィンセントに向かって続けた。


「今日は中華の日ですね…って事は、もしかして…茶色い瓶のお酒とか…あったりします?」

「へえー何でわかるんですか?」


ビックリしたような表情をしながら、彼は…まさに茶色い瓶を取り出した。


「紹興酒だー!!」


僕は歓喜の声を上げた。

実は僕は、紹興酒が大好きだった。



「それも、どっかのステーションから掠めてきたのか?」

キーファーが興味津々な感じで言った。


「キーファーさんと一緒にしないでください。正々堂々、公式ルートです。ヨハンの所にもある筈です!」

「そうなのか…俺は初めて見たな…何てったっけ?」


「紹興酒!」

「しょうこうしゅ…って言うんですね…」


言いながらヴィンセントは、小さいグラスに、それを注いでいった。


「これが、この…酢豚とかよだれ鶏に、めっちゃ合うんですよ!」

力強く言いながら…僕は、その組み合わせを堪能した。


「うん…美味しいー!!」

「おーなるほど、美味いな…この赤いタレがまた、何とも良い辛さだな…」

カイトの口にも、とてもよく合う辛さらしい。


僕には、ちょっと辛過ぎるかな…

でも、紹興酒の甘味と、絶妙に合うなー



「すぶた…と、よだれどり…でしたっけ?」

「あー…そうです!」


僕はふと思った。


あ、でも…

中身はやっぱりあの変な生き物の肉なんだろうなー



そしたら正確には、


酢変な生き物…

よだれ変な生き物…か…


「…」


そしてやっぱり、しみじみ思うのだった。


「ヴィンセントさんって、本当にすごいですね!」




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