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⁑キーファー増産計画(2)

「マイクから音を拾って…記録するんです」

「じゃあ、この…マイク部分に、耳的な力があればいいのか…」


またも、カイトと一緒にキーファーの工房を訪れた僕は、例の黒板的なものに、さしあたり初歩的なレコーダーの絵を描いて、説明していた。


「マイクはあくまで耳ですよね…で、実際記録する脳みそ的な部分があって…それを量産出来る物に書き込むんです」

「…のうみそ?」



「記録媒体は…色々あるんですけど…」


僕は、CDやら、カセットテープやらの絵を描いてみた。


「で、書き込んでこれらを量産して…この機械を持っていれば、いつでも再生出来るっていうシステムですね」


キーファーは、かなりポカーンとしてしまった。



「何だかよくわからんなー中身は何なの?」

「うーん…残念ながら、どういう仕組みでそういう事が出来ていたのか…までは、僕にはわかりません」



だいたい、物心ついたときから、CDとかDVDとか…普通にあったからなー


録音するのも再生するのも、機械の中で、何がどうなって出来てるとか…考えた事も無かった…



「あ、でも…この機械だったら…」

僕は、試しに…iPhoneの絵を描いてみた。


「この…下の部分が…マイクもスピーカーも兼ねてるんですよ」

「…耳も口も兼ねてるって事か」


「中がどうなってるのかは…サッパリ分かりませんけどね…記録した物を、同じ機種の他の機械に転送する事も出来るんです」


「はあー何だかなあ…地球の文明ってすげーんだな…そんな複雑な事が出来る道具があるのか…」



いや…

何にも触んないで物を動かす能力の方が、よっぽど複雑怪奇だと思いますけどー



「小っちゃいキーファーさん人形が、量産出来たら…イチバン良いと思います」


「それ不気味だから止めろ」

カイトが口を挟んだ。


「あはははっ…」


「まあでも…この、四角いヤツが、イチバン効率が良さそうだな…」

「たぶん…中身はイチバン複雑だと思いますけどね…」


「要は中に、俺のコアが入ってればいいんだろ?」


「そうです!中に小っちゃいキーファーさんが入ってればいいんです!」



想像すると笑っちゃうけどなー



「中にいるキーファーさんの…耳のスイッチを押すと記録してくれて…口のスイッチを押すと、再生してくれたら良いと思います」


そんな馬鹿げた事があり得るんだろうか…

僕は、半ば冗談半分で続けた。


「中にキーファーさんが…10人くらい入ってて、それぞれ違う音を記録してくれて…同時に再生出来たら…尚良いんですけど…」


「…」


キーファーは、笑っていなかった。

とても真剣な表情で…僕の冗談半分の提案について、必死に考えているように見えた。


「…」

僕は…思わず、申し訳ない気持ちになった。



「とりあえず、リューイ…例の試作品を持って、一緒にデベロッパーに行ってもらえないか?」

「…デベロッパー?」


「色んな道具を開発してるチームだ」

カイトが横から教えてくれた。


「まあ言ったら…コアの力を利用する機械を発明するスペシャリスト達が揃ってる所だな…」

「…へえー」



そんなワケで…僕ら3人は、デベロッパー階へ向かった。


途中、エレベーターの中で、キーファーが言った。


「小っちゃい俺をね…作れるかもしれないんだ」

「ホントですか!?」


「お前の…例の力を借りればね」

「…」


僕とカイトは…思わず顔を見合わせた。


おそらくカイトも…僕と同じように、小っちゃいキーファーさんが、ウヨウヨと無数に蠢く図が…頭に浮かんだに違いなかった。



耳にスイッチが付いてて…それを押すと録音できて…頭のてっぺんを押すと、歌い出したり…するんだろうか…


僕はうっかり、ニヤニヤしてしまった。



「なーに想像してんだよ、そうじゃなくてー」

キーファーが、慌てたような口調で言った。


「…ま、とにかく行ってみれば分かるさ…」



そして僕らは、デベロッパー階の…例の、リドリーと呼ばれた人物のいる部屋に行った。



「お邪魔するよ…」

「おう…お疲れ」


「久しぶりだな、リドリー」

「おお、カイト!相変わらず大活躍だな、調子はどうなんだ?」

「まあまあだな…」


「リューイも復活してよかった…元気そうだな…」

「…」


知らない人だ…


「ああ、リドリー…お前知らなかったんだっけ?リューイの事…」

「何か…噂には聞いたけど…」


彼は僕の顔をマジマジと見ながら続けた。


「記憶が、どうとかって…でも、全然そんな風には見えないけどな」

「…すいません」


「本当に覚えてないの?」

「…はい…」


「変な感じかもしれないけど…紹介するな、こちら、デベロッパーの重鎮、リドリー」

「…よろしくお願いします…」


僕は、リドリーと呼ばれた人物に向かって、頭を下げた。


「とても変な感じだけど…こちらこそよろしく」

言いながら彼は、僕に向かって右手を差し出した。


僕はその手を握り返した。



キーファーは、リドリーに言った。


「早速だが…こないだダメだったアレを、もう一度やってみてもらえないかな」

「…構わないけど…何か増強する秘策もあるのか?」


キーファーは、ニヤッと笑った。


「大ありだ…」



そして彼は、僕の方を振り向いた。


「例のヤツを、よろしく頼むよ」

「…」


「俺とリドリーのコアを増強して…小っちゃい俺を量産するんだ」



えー

ホントに??




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