表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/172

⁑キーファー量産計画(1)

その日、キーファーは、デベロッパー階を訪れていた。


その階にある…ファクトリーで量産される品物を開発するチームの部屋に行くと…彼は旧友でもある人物を呼んだ。



「久しぶりだな、キーファー、調子はどう?」

「まあボチボチだな…リドリーお前は?」


「そうね、ここん所は大きな動きは無いなー」



リドリーと呼ばれた人物は、キーファーを、そのエリアの中の自分のスペースへと誘うと、コーヒーらしきものを淹れて、彼に手渡した。


「ありがとう…」

キーファーはそれを受け取って、ひと口啜った。


「うん…相変わらず、お前が作ったコーヒーは美味いな…これが量産出来るってのが、やっぱりすごい技術だ」



リドリーは、それを聞いてニヤッと笑うと…自分もそれを啜りながら、言った。


「で?…量産嫌いのキーファーが…今日はまた、どういった風の吹き回しでこんな場所に来たんだ?」



「…実は…お前に協力して貰いたい事があるんだ」


キーファーは、語り始めた。


「早い話が…俺の能力を、量産したいんだ」

「はあ???」


リドリーは、目をパチクリさせた。


「要は…俺が出来るような…聞いた音を記録して…それを再生する道具を作りたいんだ…」

「音って…あの、報知音じゃダメなのか?」


「あれよりもっと繊細な…例えば、今こうやって喋ってる内容を、そのまま記録出来るような…」

「…」


リドリーは黙ってしまった。

そんなものは聞いた事も無いし…もちろん考えた事も無かった。



しばらくの熟考の後に…彼は言った。


「確かに…コアの力を、武器やファクトリーのシステムに、実際導入しているんだからな…それと同じような方法で、お前の力を道具にする事も、不可能ではないとは思うが…」

「本当か?」


「んーまあ、理屈ではね…」

「何とか、やってみてもらえないか?」


リドリーは、立ち上がると…割と厳重そうな重い扉の、ロッカーのような棚を開けると…中から箱を取り出してきた。


それを開けると…中には、四角い小さいUSBのようなものが、たくさん入っていた。


「何だこれ…」

そらを覗き込んで、キーファーが訊いた。


「お前が武器や機械に凝ってた頃には、こんなの無かっただろう?」

彼は、その中の1つを取り出して、キーファーに渡した。


「この中に…それぞれ違う種類のコアが入ってんだ」

「へえー」


キーファーは、興味深そうに…それを、ひっくり返してみたりしていた。


「例えば…ストアの陳列棚には、その物の棚ごとに、コレが入ってる」

彼は、違うUSBを取り出して言った。


「ボタンを押した相手を検知して、その人の部屋にそれを移動させるコアだ」

「え、それが…こんなのに纏まってんのか?」


「そう…いちいち配線するより簡単だろ?」

「確かに…で、これ自体も量産出来んのか?」


「ああ…ファクトリーの武器屋や、タウンのレストラントでも、導入してるヤツも多い」


(あ、なるほど…そのシステムで、こないだのヴィンセントの料理が届いたのか)



「ただ、コレに取り入れられるコアは…今のところ、地下に元々あるコアに限られる」

「…」


「物を移動させるコアは…まあ、中には自分で出来るヤツもいるけどな…」


(ああ…リューイみたいなヤツね)



リドリーは、改まった感じで続けた。


「お前の言う所の道具を開発するにあたって…まず1つ目の課題は…地下には無い、お前のその力を、いかにしてコレに落とし込めるか」

「…」


「それと、もう1つ…その力を落とせたとして…どんな形状にしたら良いのか…全く見当がつかないな…」


「記録するボタンと…再生するボタンがあればいいんじゃないのか?」


「うーん…」

「…」


リドリーは、必死に考えているようだった。



キーファーはふと思い立った。


(そうか…リューイの言う所の地球には、そういう機械が既にあるんだろうな…)


(また、絵に描いてもらえば…イメージが湧くかもしれない)


「わかった…それは俺の方で何とか考えてみる」


「そうか…そしたら…さしあたり、コレにお前の力を落とし込む方法を…考えればいいんだな」

「…出来そうか?」


「いやー分からんなー」

「俺がそこへ行って、念じればいいんじゃないか?」


「念じてプログラミング出来るもんなら、是非そうして欲しいところだが…」


「…」


(今の俺の力じゃ、そんな事は出来るハズがない…)


(でも…リューイの、まさにアレを聞きながらだったら…もしかしたら不可能では無いかもしれない…)


「どんな風にやるのか…見せてくれないか?」

「わかった」



そして、さしあたりリドリーは…その階の奥の方にある、まさにそのUSBを量産する機械がある部屋に、キーファーを案内した。


地下から伸びた配線に繋がれた、黒い四角い機械の脇に…プログラムを打ち込むための、PCのような機械が置かれていた。



「試しにやってみるか…」


リドリーは、そのPCの前に座った。


「俺の頭に…手を翳してみてくれないか?」

「…ん、こうか?」


キーファーは、言われた通りにした。


「そんで…お前の力を…俺に流してみてくれ」


そう言って、リドリーは目を閉じると…自分のコアに集中した。


ほどなく、彼の身体から…ユラユラと陽炎のようなものが湧き上がってきた。


「…」


キーファーは…渾身の力を込めて、その手からリドリーに向かって、コアを流した。


キーファーの身体からも、陽炎が揺れ出た。


「…」


しばらくそのまま…2人は黙って集中し合っていた。



「んーやっぱダメだな…」

「はぁ…はぁ…はぁ…」


「何となくは伝わって来るんだけど…それを数値化するのが難し過ぎる…」


キーファーは、息を上げながら言った。


「…でも、伝わる事は…伝わったんだな…?」

「ああ…お互い、もう少し…力が強ければ…数値化も不可能じゃ無いかもしれない…」



それを聞いたキーファーは、ニヤッと笑った。


「お互いの力が…増強すればいいんだな?」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ