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⁑カイト

最後の日本酒を空けて…僕らはようやくヴィンセントの店を後にした。


「今日は色々と、ありがとうございました」

別れ際に、僕はキーファーに向かって頭を下げた。


「こちらこそ、ありがとう…」


キーファーは、清々しい笑顔で続けた。


「お望みの物が出来るかどうか分からないが…前向きに考えてみるよ」


「…よろしくお願いします…あっでも、アレを叩けるように…なってくれてもいいんですよ?」

「あはははっ…分かった…」


彼は笑いながら…先にエレベーターに乗った僕に手を振った。



そして僕は…自分の部屋に向かった。


カイト…ちゃんと運べたかな…


迷う事なく自分の部屋のドアを開けると、僕はすぐに寝室に向かった。


「…」


カイトが、毛布にくるまって…スースーと寝ているのを確認して、僕はホッとした。



すぐに僕は…彼の隣に横になった。

部屋の灯りがすっと消えた。


「…うーん」


僕の気配に気付いたカイトが、モゾモゾと動いた。


そして僕の方に顔を向けると、物憂い表情で少しだけ目を開いた。


「ごめん…起こした…?」

「…」


僕の姿を確認した彼は、腕を伸ばして、僕の身体に抱き付いてきた。


「…連れてきて…くれたの?」

「…うん」


「ありがと…」

言いながらカイトは、顔を近付けると…僕のくちびるを探るように口付けてきた。


「…ん…」


僕の中のコアが、カイトとのそんな触れ合いを悦ぶように、輝きを増した。



カイトと離れたくない…


それは、そのときの僕の、偽りない気持ちだった。


本家本物に申し訳無い気持ちもあった。

でも、そんな事はどうでもいいくらいに、僕は…今、目の前にいるカイトの事が、好きで好きでたまらなかった。



「…カイト…」

口を離れた僕は、囁くように言った。


「…ん?」


「もう、地球の事は…どうでもいい」

「…そうなの?」


「ここにいたい…」

「…」


「ずっと…カイトと一緒にいたい…」

「…」


それを聞いた彼は、僕の頭をギューッと抱きしめた。


僕も…彼の背中に回した両手に力を込めた。



もしかしたら、本当に…僕の、この地球の記憶ってのが、リューイの夢なのかもしれない


記憶を失ってる間に、長い夢を見ていただけの…僕は本物のリューイなのかもしれない…


僕は心の底から、そんな風に思った。



ほどなく…カイトの手が、僕の身体を弄ってきた。


「んっ…」

僕は思わずビクッと震えてしまった。


「…ダメ?」

彼は、僕の耳元で囁いた。



「…酔っ払いのくせに…」


ふふっと笑いながら…僕は、彼の顔を両手で包みながら…僕の方から口付けた。



そして僕らは…いつものように…

愛し合いながら、お互いのコアを交合らせた。



心地良く、気怠い余韻に浸りながら…カイトに身体を絡めたまま、僕は言った。


「さっき、キーファーさんがね…昔の話をしてくれた…」

「…どんな?」


「テディさんって人の話…」

「…そうか…」


カイトは、少し遠い目をして続けた。


「あの人もすごく強い人だったな…ま、今のお前には敵わないけどね」

「…」


そうなのー?



「ヴィンセントさんが転向組だってのも聞いたよ」

僕は続けた。


「あーそうだったな…あいつほど転向して大正解だったヤツも珍しいよな」


「僕の知らない…皆それぞれの歴史があるんだね…」

「ふふっ…知らないってのが、俺からしたら不思議だけどな」



「カイトが…次期総リーダー候補だってのも、知らなかった!」

「…それは分からんよ」


「だって…ウィルフリードさん、元々は戦闘部隊のトップだったんでしょ?」

「そうだけど…俺はあの人ほどのカリスマ性は無いからな」


「そんな事ないよ…」

「いや…むしろ、お前の方が、向いてるんじゃないの?」


「ええええーっ…無い無い!それは絶対無い!」

「あはははっ…」



そして、僕はふと思い出した。


「あのさ…今更こんな事訊くのも何なんだけど…カイトって…今、何歳なの?」


「…なんさい?」


えっ…

この世界は年齢を表す単位が「歳」じゃないのか!?



僕は一生懸命に考えて…分かって頂けるように、丁寧に言い直した。


「えーと…この世界の人たちは、どれくらいの時間生きていて…だいたいどれくらいで死ぬの?」


「そうだな…病気か、戦闘の犠牲になる事さえ無ければ…役目を終えるまでは生きられる」


「それって…どのくらい?」

「んー最低でも…2〜300万時間くらいかな…」

「…!」


そこも時間勘定なんですかー!?

全っ然…見当が付かないんですけど…



「…ちなみに…総リーダーが、ウィルフリードさんに代わってからは、どのくらい経つの?」


まー聞いても分かんないだろうけどなー



「そうだなー俺もハッキリとは覚えて無いけど、80万くらいか…」


「…」


うん…

やっぱり全っ然、分かんないわー




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