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⁑それぞれの決意

「リューイ…もう1本、持ってきてくれ」

最後の1滴を自分のグラスに空けてながら、キーファーは言った。


「いいですけど…ちょっと飲み過ぎじゃないですか?」


「たまには良いと思いますよ」

ヴィンセントも、自分のグラスの日本酒を飲み干しながら言った。


「…」


この人も割と強いよな…

しかも仕事しながらなのに…



致し方なく、僕はもう1本日本酒を持ってきた。


「大事に飲まないと無くなっちゃいますよー」

「いいんだよ、飲みたいときに飲むためにあるんだから」


言いながらキーファーは、新しい瓶の栓を開けると、3人のグラスにそれを注いだ。



グイッと飲み干すこっちのオッサンに向かって…僕はいちばん訊き辛く、いちばん気になっていた事を切り出した。


「キーファーさんは、どうして機械とか武器とかを、作るの止めてしまったんですか?」

「…」


彼は…また、自分のグラスに注ぎ足した。

そして、静かな口調で語り始めた。



「死なせて…しまった…」

「えっ!」


「俺の作った…渾身の武器が…あいつの命を奪ってしまったんだ…」


「…」



「もうずーっと昔の話だ…ウィルフリードの先代が総リーダーだった、桜のステーションと交流を始めるよりも前の話…」



…えっと

割と肝心な部分を、よく分かって無かったぞ…

ここの人たちって、寿命はどれくらいなんだろう?



「あの頃も割と争いが多くて…俺は駆け出しだったし、張り切って色々武器を作ってたんだけどね…」

「…」



「実は僕も…その頃は教習機関に行ってました」

「えええっ!?」


「でも、全然コアの力が進歩しないので…途中で諦めたんです」


ヴィンセントさんは、転向組だったのかー



「あの頃は、ウィルフリードさんと…テディが…今のカイトさんとリューイさんのポジションだったんですよね…」


テディ?

くまさんみたいな名前だな…


ん?

って事は…カイトは次期総リーダー候補なのか!?



「テディと僕は、同じくらいの時期に教習期間に入ったんです。僕は全然だったけど…彼はめきめきと頭角を表していきました」


「…」


「テディは、俺の作った武器を…大事に育ててくれた…あいつと一緒に、それはどんどん進化していったんだ…」



カジミアさんも言ってたよな…

持ち主と一緒に進化していく物を作りたいって



「調子に乗った俺は…更に改良を重ねてった…」

「…」


「あいつの最期の闘いのとき…そいつは、信じられないくらいのパワーを発揮した」

「相手のステーションに乗り込んで、コアを破壊させちゃいましたからね」

「…!!」


そんな闘い方もありなのかー



「だけどね…」


キーファーはまた、グラスの日本酒を…グイッと飲み干しながら続けた。


「俺の武器は…それを破壊する事を優先し過ぎた…」

「…」


「肝心の…持ち主の命よりもね…」

「…」


ヴィンセントも黙ってしまった。


「俺の作った武器は…テディのパワーも命も…勝手に全部、使い果たしてしまったんだ…」


言いながらキーファーは、両手で顔を覆った。



「…」


「僕は…テディにとっては、それが本望だったと思いますけどね…」


ヴィンセントが、ポソっと続けた。

キーファーは、黙っていた。


「だって…テディは…キーファーさんの事を…本当に信頼してたし…」

「…」


「…大好き…でしたから…」


「…っ」


「ううっ…」

顔を隠したキーファーから、嗚咽が漏れた。



そうか…

そうだったんだ…


だから彼は、武器や機械からは足を洗って…カイトのグラスみたいな、気持ちの籠った道具に拘っているんだな…



「すいません…辛い事を思い出させてしまって…」

僕は思わず謝ってしまった。


「…」



「…そんな…変な機械を作った所で…お前やカイトに、危険は無いんだろうな…?」


しばらくの沈黙の末に…

キーファーが、小さい声で言った。


「…!」


「…もう…俺の作った道具で、誰かが死ぬのを、二度と見たくない」



僕はそれを聞いて…ふっと微笑みながら言った。


「危険は…無いと思いますよ…」

「…」



僕は、ハッと思い立って、力強く言った。


「パワー増強は…あくまでオプションです!」

「…?」


「僕の…曲と、僕の歌を…大勢の人に聞いてもらうっていうのが目的です!」

「…」


「ヴィンセントさんみたいに…僕の歌の…ファンを増やしたいだけです!」


「…」


それを聞いて、キーファーは…ようやく顔を上げた。



「僕の…歌と、あのメロディーを…このステーション中の人たちに聞かせるための道具を…作ってもらえませんか?」


僕は、彼の目を真っ直ぐに見つめながら言った。


「…」



「キーファーさん、僕からもお願いします。いつもリューイさんの歌を聞きながら料理が出来たら…すごく気持ち良いと思います」


ヴィンセントも後押ししてくれた。


「…」


しばらく考えていた彼は…やがて、ニヤッと笑った。


「これ以上人気者になりたいんか?」


「…っ」



そうか…

そんな事になったら…今以上に、色んな人にワイワイ騒がれるようになっちゃうかもしれないんだな…


「…」


あ、でもそしたら…LIVEなんかも…やれちゃうんじゃないのか?そのシステムが出来れば、きっと、オケとか作る事も可能だろうし…


それこそ…地球でやってたときなんかより、ずっといっぱいお客さん集まってくれるんじゃないかな…


何なら、ドームレベルのコンサートが出来ちゃうかもしれない…


そんな大勢の…僕のファンの前で歌を歌えたら…


それはそれで…

違う意味で、僕が望んでいた未来じゃないか!



「…」


色々と妄想が広がってしまった僕は…

キーファーに向かって、力強く頷いた。


「なりたいです…よろしくお願いします!」





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