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⁑実験(1)

翌朝…またもスッキリ目覚めた僕らは、隣のカイトの部屋に移動しての、彼の淹れる美味しいコーヒーを飲んでいた。



「今日は、ルイスの所に行きたいんだけど…」

僕は言った。


「ああ…それは俺も行きたいな…いったんこっちに集まってからでもいいか?」


「…わかった…あ、いや…わかりました」


思わず言い直した僕に向かって、カイトはふふっと微笑みながら言った。


「いい加減…そういう余所余所しい言い方は、もうやめろよ」

「…」


僕は、顔を赤くしながら答えた。

「…わかった…」


彼は、手を伸ばして、僕の髪を撫でた。



それから僕らは、いつものように体育館に向かった。


交流の後にパワーアップしたであろうマイ武器の話に、皆が花を咲かせていた。



とりあえず朝礼的な感じで集まっている所へ、その日はウィルフリードがやってきて、整列する皆の前に立った。



「前回の交流の際の、君たちの活躍は素晴らしかった。本当にありがとう」

「…」


「おかげで、皆も知っての通り…このステーションのコアの攻撃力を高める事に成功した。今後はそれを活かして、更なる個々のパワーに磨きをかけて欲しい」


それはまるで、会長とか理事長の挨拶だった。

皆、目をギンギンと輝かせながら、彼の式辞に聞き入っている様子だった。


僕はチラッと隣のカイトを見た。

カイトの目も、例外無くギラギラしていた。


僕は、相変わらず…ちょっとポカーンだったけど



そして朝礼は終わった。

皆がザワザワと、それぞれの訓練へと散っていった。


「リューイ!」

「…は、はい」


急に呼名されて、僕はシャキッと背筋を伸ばした。



ウィルフリードが、僕のそばに近寄ってきた。


「…実は、お前に話したい事がある」

「えっ…」


「今すぐで無くて構わない…頭に入れておいてくれ」

「…わかり…ました」


それだけ言うと、彼はクルッと向きを変えて、出口へ向かって行ってしまった。



「何だって?」

見ていたカイトが、僕の横に来て言った。


「…何か…お話があるみたい…」

「ふうん…?」


「あ、でも…いつでもいいって」

「…」



カイトが何となく訝しげな表情になってしまったのを見て、僕は慌てて取り繕うように続けた。


「もう、ルイスの所に行ってもいいかな?」

「そうだな…とりあえず今日は、そっちを優先するか」


カイトはレオの所に行って、その旨を伝えてから、再び僕の方に戻ってきた。


「行こう」

「うん…」



そして僕らは、教習機関へと向かった。


「リューイー!!」


僕らの姿を見つけたルイスが、嬉しそうに声を上げて駆け寄ってきた。


そのままの勢いで、彼は僕に抱きついてきた。


「…っ…ルイスさん…お久しぶり…です…」

「リューイ、見てたわよ、凄かったじゃない」


「ルイスさんのおかげです…」

「もうーまたそんなお世辞言っちゃってー」



ようやく腕を緩めた彼は、僕の頭を撫でながら続けた。


「頑張ったのね…ソードもあんなに使いこなせるようになるなんて…」

「俺の教え方が良かったんだ」


若干張り合うように、カイトが割り込んできた。


それを見て、僕とルイスは、クスッと笑い合った。


「で、今日はどうしたの?」

「…そうそう、実は…試して頂きたい事があるんです」



僕は彼に、差し当たりの事情を説明してみた。

予想通り…ルイスはやっぱり、何が何だか分からないような顔をしていた。



「口で説明するより、体感してみた方がいいだろ…」


カイトに勧められて…僕らは、訓練のときに使った、小さい部屋に入った。



「とりあえず…持ってきます」


僕は、コアを集中させて…部屋のキッチンに置いてある、例の『キーファー社製この世界で初の楽器』を、テーブルの上に移動させた。


「持ってくる」のも、最初の頃と比べたら、随分と楽に出来るようになっていた。



「何?…これ…」

ルイスはそれを見て、更にポカーンとしてしまった。


「コア増強マシン!」

カイトがビシッと言い切った。


ええー何かヤダー

そんな身も蓋もない命名…



「コア…増強?」

「言ったら…ルイスさんが、今欲しい物を取り出せる道具です」


やっぱり…何が何だかさっぱり分からないといった表情の彼に向かって、僕は続けた。


「とりあえず…聞きながら、集中してみてください」

「…」


言われてルイスは、目を閉じた。


そして僕は…例のメロディーを奏でた。



「…えっ…何…?」

目を閉じたまま…ルイスは呟いた。


恐らく生まれて初めて聞いたであろう、メロディーっていうものに、彼は驚きを隠せない様子だった。


「何か…すごく、身体に響いてくる…」

「そのまま集中してみてください」

「…」



やがて、ルイスの身体が、ユラユラと陽炎のようなものに包まれていった。


「…何が出るかな」

カイトが、ボソッと呟いた。


ルイスは、突き上げられるように…両手をテーブルの上に合わせた。



また、ワインとか出たら…笑うー


思いながらも、僕は演奏を続けた。



彼の両手が、眩しいくらいに輝いていった。


その光の塊は、とても大きくなり…耐えられなくなった彼は、その合わせていた手を、テーブルから自分の横に突き出した。


「んんんーっ」


ルイスの両手の前に現れた、彼の身体よりも大きい光の塊は…やがて、段々と光を失い…その中身の全貌が、徐々に姿を現していった。


「…!」

「…えええっ!?」


「信じられない…!」



「…あれっ?」


その中身が…喋った…




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