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⁑試作品(1)

毎度のごとく…カイトは良い感じに酔っ払いのおっさんに変貌していった。

キーファーも、御多分に洩れず、酒豪だった。

ほどなく2人の声は、どんどん大きくなっていった。


この世界の人たちは、皆こんななのかー?



「エルンも呼ぶか」

「まだ働いてるんじゃないのか?」


「構わないさ…呼んじゃえ」

「そーだな」


「何か食べる物持って来てもらおう」

「いーね、そうしよう」


あーあー…どんどん面倒臭くなっていく…




しばらくして、エルンがやってきた。


「…何だよ、だいぶ出来上がってるな」

彼は、半ば呆れた表情で言いながら、キーファーの隣に座った。


「おー待ってたよー」

「何持ってきてくれた?」


「ヴィンセントに頼んでおいた。もうすぐ届くと思うよ…」

「ホントか?…流石、気が利いてるよな」


届く?

確か、ストアで選んだヤツは、勝手に部屋に届いていたし…

もしかして…急にテーブルの上に現れたりするんだろうか!


僕はちょっとだけ、ワクワクした。



キーファーは、奥からもう1つ、ぐい呑みを出してくると、エルンに渡した。


「どうぞ」

「何これ?」


「日本酒です!」

僕はすぐに答えた。


「にほんしゅ…?」


「僕がいた、地球の…日本って国のお酒と…同じ物です」

「へえー」


ぐい呑みに注がれたそれを、エルンはひと口啜った。


「おおーこれは美味いな!」

「だろ?」


「でまた、これにコレが合うんだ」

カイトが、未調理のストア製のトレーに入ったおつまみを勧めた。


「何て食べ方してんだ…」

呟きながら…エルンもそれを摘んでみた。


「…へえー本当だ…」

「リューイのワケの分かんない記憶のおかげだ」


ワケの分かんないって…失礼しちゃうなー

ま、酔っ払いだから仕方ないか…



そんな感じで、エルンも加わっての…更に喧しい飲み会になってしまった。



しばらくして、奥の方で…ガタッという音がした。


「お、来た来た…」

エルンに言われて、キーファーが奥から…器に盛られた料理を運んできた。


何だ…テーブルの上にパッと現れるワケじゃ無かったのか…


「カイトとリューイがお手柄だったからって、ヴィンセントが腕によりをかけてくれた」


「…!!」


それは…地球の日本で言うところの、何とか弁当屋さんの特注オードブルセットとでも言ったら良いか…

とにかく、大きな丸い容器の中に、何種類もの品々が、彩りも鮮やかに盛られていた。


僕の大好きな、魚のフライも…

カイトの好きそうな、いかにも辛そうな赤い炒め物みたいな物も…


僕は、目をキラキラと輝かせた。


「美味そうだ…」

カイトも言った。


「こーれは、エールも欲しいよな」

言いながらキーファーは、また奥へ行くと…瓶に入ったエールを4本出してきた。



あーあー

今日も終わったなー


僕らは改めてエールで乾杯した。

乾杯っていう文化は、同じなんだなあ…なんて、ちょっと思いながら…



ヴィンセント特製オードブルセットは、どれもこれもメチャクチャ美味しかった。


きっと、僕らの好みを、しっかり分かってくれてるんだろう…

彼は本当に、腕の良い料理人なんだな。



そんな美味しい料理をつまみに飲み進めながら、おっさん3人の会話は、どんどんヒートアップしていった。



「そう言えば、あれだ…あの、音を出す道具は出来たのか?」

ようやく…思い出したように、カイトが言った。


「ああ…あれね…」


キーファーは、既に若干面倒くさそうに立ち上がると…また奥へいった。


「何の話?」

エルンが訊いた。


「リューイが言ってた…えーと、何だっけ…」

「楽器です!」


「そう、がっきってやつ…」

「要は…歌を奏でる道具です!」


「…うたって、こないだリューイが聞かせてくれたやつだろう?…それを道具でどうするんだ?」

エルンは、何だかよく分からない表情をしていた。



キーファーが、四角い銀色の…箱のような物を、両手に抱えて戻ってきた。


「とりあえず試作品なんだが…」

彼はそれを…自分の座っていた椅子の上に置いた。


箱の中には、まさに透明なグラス状の物が、僕の部屋のテーブルのグラスと同じように、鍵盤の順に並んでいた。


「この…音の響きを保ったまま、接着するっていうのが…難しいんだよな…」

「…」


確かに…テーブルに、ひとつひとつ置く分には響くけど…隣りとくっつけてしまったら、カチッとしか鳴らなくなってしまう。


キーファーが作った試作品は、グラスを紐状の物で巻いて、その紐に金具を付けて、隣のグラスの紐と、グラスを囲む銀色の箱の枠に留めてあった。



「何なの…これ?」

エルンは目を丸くして、覗き込んでいた。


「とりあえず、これで鳴らしてみて」

キーファーは、僕に、細い棒を2本、渡した。その先は、まさにマレットのように、少し丸くなっていた。


「強く叩くと割れそうだったから、先を少し柔らかくしてみた」

「…」


僕は、そのマレットで…グラスを順番に鳴らしてみた。


ドレミファソラシド…

「…!!」


すごい!

水が入っていないのに…音程がちゃんとしていた。


鍵盤で言う黒鍵のグラスも鳴らしてみたが、ちゃんと半音ずつズレていた。


「キーファーさん、すごい!…よくこんなに正しい音程を再現出来ましたね!!」


「音程…ってのが、よく分からんが…音は合ってる筈だ」

「はい!とても合ってます!」



そのグラスの音程は、驚く程に正確だった。


もしかして…コアの力で、身体で録音再生する機能があったりするんだろうか…

あ、場所も正しいから、撮影保存する機能も…



「キーファーはね、1度見たものを頭に記録して、それと同じ物を作れる能力を持ってるんだ」

カイトが言った。



うおおー

やっぱり、そうなんだー!!



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