⁑2度めの交流(2)
青い相手が、撤収していった。
「安全確認とれましたよー」
リカルドのひと声で、固唾を飲んでいた専門チームがバタバタと動きだした。
点のように見える位置で待機していた、交流相手のステーションが、徐々に近付いて来るのが見えた。
僕ら4人は、息を上げながら…それを見守った。
「まだ…油断は禁物だからな」
「…」
やがて、ゴォーッという大きな音と共に、その灰色のステーションが、大きく…大きく近付いた。
そして、その壁面がハッキリ見えるくらいの近さで、シューッと止まった。
相手のステーションにも、ここと同じような格納庫の様なスペースが見えた。以前の交流のときと同様に、そこへ向かって、橋のようなものが、渡された。
「…」
そして向こうから、また数人の人物が、こちらへ向かって歩いてきた。
僕ら戦闘部隊の制服と似たような、いかにも戦士っぽい様相の人達だった。
顔は…僕らとあまり変わらないかな…
まあ、地球感覚の僕から言わせてもらうなら…外国人って感じだけど。
カイとジョシュアが、彼らに向かって会釈をして、手を翳した。
「素晴らしい戦いぶりだったね…」
「ありがとうございます」
特に問題無かったんだろうか…2人はすぐに手を下ろした。そして、彼らは…ウィルフリードが待つ、僕らのステーションの格納庫に向かって進んでいった。
彼らが何を話しているのか、僕らがいる場所からは確認出来なかったが…ほどなく、また前回のような、ガコン、ガコン…ギュイーン…っていう音が聞こえてきたので、おそらくは、コアの交換が予定通り行われているのだろう事は推測できた。
…と、再び、リカルドが叫んだ。
「また来た!」
「!!」
来たって…何が?
慌てて上方を見上げると…さっきの青い集団とは違う、今度はもっと大きな黒い物体が…何基も連なって見えてきた。
「また厄介なのが来たな…」
その黒い物体は、まるで点滅するように…姿を現したり、消えたりを繰り返しながら、着実に近付いて来るように見えた。
ウィーン…ウィーン…というサイレンのような音が、交流相手のステーションから聞こえてきた。
灰色の、飾り気のないそのステーションの…そこ此処から、まるで戦車のような発射装置がせり出してきた。
その発射装置から、次々と砲弾が打ち出されて、黒い物体を狙撃していった。
なるほど…さすが、攻撃力に長けたステーションだけの事はあるなー
なんて思いながら、ポカーンと見ていた僕に向かって、カイトが檄を飛ばした。
「俺たちも行くぞ!」
「あ…はい…」
えっ…行くって…どこへ?
カイトは、僕の手を取って…飛び上がった。
えっ…?!
そのまま僕は、その格納庫の外からすっ飛んで…ステーションの外側…というか、屋根というか…とにかく外全体が見渡せる場所まで連れて行かれた。
レオとジョシュアも、自力でそこまで移動してきた。
「さっきと同じだ、リューイ…とにかく撃ち落とせ」
「…わかった」
広々とした、その…宇宙空間が見渡せる場所で…
僕らは、隣のステーションの発射装置と協力しながら、迫り来る黒い怪しげな物体を、ひたすらに撃ち落としていった。
もちろん奴らは、こちらを攻撃してきたが…隣のステーションの鉄壁な守備力と、僕ら4人の攻撃力の前では、残念ながら全く太刀打ち出来なかった。
ほどなく、その黒い集団も…スゴスゴと撤退していった。
その間にも、コアの交流は、恙無く進行していた。
やがて、隣のステーションの重鎮たちが、戻っていった。
橋は撤収され、また、ゴォーッという音とともに、そのステーションが、どんどん離れていった。
そしてそれは、小さな灰色の点になり…やがて完全に見えなくなってしまった。
それを確認して…僕らはようやく、中に戻った。
「すごかったねー!」
僕らの姿を見るなり、リカルドが言った。
「リューイ、完全復活じゃない」
「…」
そうなんですか?
自分じゃ、よくわかりませんけど…
僕は、カイトの顔を見上げた。
彼は満足そうに、僕の目を見返した。
ウィルフリードも、僕らに近寄ってきた。
「ありがとう…君らのおかげで、予定通りに交流を終える事が出来た」
「とりあえず、水際で食止められてよかったな…」
「リューイ、記憶が戻ったのか?」
ウィルフリードは僕に訊いた。
「…いいえ…」
「そうか…それでも、パワーは戻ったんだな」
「…あんまり自覚は無いんですが…」
「リューイ凄かったよー」
ジョシュアが言った。
「うん…あんな連続撃ちとか、出来ないもんな…」
レオも続いた。
そうなんですか?!
僕も無意識でしたけど…
僕はまた、改めてソードを胸に抱いた。
「君のおかげだ…ありがとう…」
それに反応して、またソードが心無しか、キラッと光ったような気がした。
そんな僕の肩に…カイトがそっと手を置いた。
「よくやった…」
「…」
そうだ…ソードくんと…
そして、カイトのおかげだ…
心の中でそう呟いた僕の手の中で…ソードが更に熱を帯びたような気がした。




