⁑2度めの交流(1)
前回同様、ウィフリードの指揮の元…僕らは自分の武器を手に、最上階へ向かった。
「だいぶ調子が戻ったそうじゃないか」
エレベーターの中で、ウィルフリードが、僕に言った。
「あーええ…まあ…」
僕は、ゴニョゴニョと答えた。
「ふふっ…頼りにしてるよ」
そう言って彼は、僕の肩を叩いた。
最上階に着き、エレベーターの扉が開くと…また、ゴォーっという鈍い音と共に、外からの風が吹き付けてきた。
「…」
見ると、コクピットの様な機械の前に…先日どっかで会った、チャラい感じの人物が立っていた。
ウィルフリードは、彼を見つけると、すぐに近寄っていった。
「リカルド…様子はどうだ?」
「うーん…今のところ、まだ何とも言えませんね」
僕らも、続いた。
そして、彼が見つめている、レーダー的な画面に目をやった。
カイトが僕に言った。
「邪魔が現れたら、すぐにリカルドが知らせてくれる」
「…そう…なんですか…」
僕は、ゴクンと、唾を飲み込んだ。
続いて、残りの戦闘部隊のメンバーと、先日も居たコアの専門チームの面々が、最上階へとやってきた。
時刻が…刻一刻と迫っていた。
「そろそろ行くぞ…」
カイトがそう言って、僕ら3人を見回した。
「…」
僕らは、緊張の面持ちで…カイトの後に続いた。
カイトの進む先に、出口が…外が…近付いてきた!
「…!!」
そしてついに…僕は、この世界に来て初めて、この世界の「外」に、足を踏み出した。
僕は、恐々と…そして興味深気に…辺りを見回した。
そこはまさに、宇宙のような空間だった。
暗闇が、どこまでも続いているように見えた。
時々、吹く風に流されて、白いフワっとした雲の様なものが、動いていくのが見えた。
星は無かった。
「ここは…どこなんですか…?」
思わず僕は、呟いた。
それを聞いて、カイトはふふっと笑って言った。
「…地球とは…違うか?」
「違います…第一、ここが地球のある宇宙だったら…こんな風に普通に呼吸出来る筈がない…」
「…」
そうなのだ…
普通に呼吸も出来るし、足をついて立っていられるって事は…ここは僕が知ってる宇宙空間とは全然違う筈だ。
「もうすぐだな…」
「…」
予定時刻まで、30分を切った。
中の画面には、もう交流相手のステーションが映っているかもしれない。
「…見えてきた!」
ジョシュアが叫んだ。
「…!」
僕は目を凝らして…彼が指差した先を見た。
小さな灰色の点の様なものが、着実に…少しずつ大きくなって見えてきた。
「来たぞ!!」
そのとき突然、リカルドの叫び声が、僕らの頭の中に響いた。
来たって…
な、何が!?
「構えろ!」
カイトが叫んだ。
僕ら4人の間に緊張が走った。
と、暗闇の、そこかしこから、その小さな灰色の点の、10倍くらいのスピードで、そうでない、濃い青い色の物体が、急にいくつも現れたではないか!!
「撃ち落とせ!」
カイトの怒号が飛んだ。
そしてカイトはすぐに、先陣を切って、その青い物体目掛けて、攻撃を始めた。
レオとジョシュアも続いた。
「リューイ!昨日の感覚を思い出せ!」
ビビって固まってしまった僕に向かって、カイトが叫んだ。
と、その青い物体の中の1つが、すごい勢いで近付いて来たかと思ったら、そこから、マシンガンの様な、連続した光が発射された。
ヒューンヒューン…ドダダダダダ…
「うわあっ…」
僕のすぐ側に、その光が命中した。
僕は思わず膝をついた。
「リューイ!!!」
カイトは、僕に駆け寄った。
「怯むな、大丈夫だから!」
僕は、ガタガタと震えながら、泣きそうな声で言った。
「…無理…やっぱり無理だよ…」
そうこうしているうちにも、レオとジョシュアは、必死に近付くそれらを撃ち落としていった。
頭を抱える僕に向かって、カイトは続けた。
「そうだリューイ、ほら、お前の得意な…あれ思い出せ!」
「…」
「タラリ〜ン…みたいなやつ!」
カイトが…僕がいつも頭の中に思い浮かべているメロディーを、拙い感じで歌ってみせた。
「…っ」
その瞬間、僕の中で…何かが弾けた様な音がした。
じわじわと…僕の頭の中が、そのメロディーと…そしてカイトで、いっぱいになっていくのがわかった。
その感覚は…自分でも不思議なくらいに、それまでの恐怖や緊張を、スーッと鎮めていった。
「…」
僕はゆっくり立ち上がると…右手に持っていたソードに、力を込めた。待ってましたとばかりに、ソードは眩しいくらいに光り輝いた。
そして、冷静に…狙いを定めた。
シューーーーッ
僕のソードの先から、強い光が発射された。
そしてそれは、まさに今、近付いて来ようとしていた1機に、確実に命中した。
ドカーンッ…
「その調子だ」
「…」
それからの僕には、鬱陶しいくらいに、相手の攻撃の導線が見え続けた。
僕は冷静に、それをひたすらに避け続け、そしてまた、撃ち続けた。
相手に向かう導線も、面白い様にいくらでも見えた。
僕は片っ端からその線に向かってソードを向けた。ときには何本も同時に、それに沿ってソードから光を放つ事が出来た。
身体がどんどん軽くなっていった。
僕の動きは、どんどん加速していった。
そうしていく間に…僕自身が進化していくのが、自分でも分かった。
「あれが新生リューイか…なるほど、カイト説を検証する価値があるかもしれないな…」
医療センターで、食い入るようにモニター画面を見ていたエルンが呟いた。




