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⁑激しい訓練(3)

「そういえば、まだ来てないな…エルン」

「あ、そうですね…」


「あんなに豪語してたのにな…」

 


と、噂をすればだ。

そこへ、エルンがやってきた。


「あれ、もう終わっちゃった?」

「ああ、とりあえず俺らは今日は終わりだ」


「これ、試してもらおうと思ったんだけど…」

そう言いながら、エルンは、ブレスレットの様な物を、僕らに差し出した。


「とりあえず試作品」

「何ですか、これ?」

レオとジョシュアが、それを見て…興味深そうに訊いた。


「防御力アップブレスリング」

「…」


ネーミングのセンスが微妙な感じだけど…



「ありがとうエルン、流石に防御力までは間に合わなかったからな…」

「うん、そんな事だろうと思ってさ」


「…?」

僕はそんな2人の会話の意味が、すぐには理解出来なかった。


「交わしながら、攻撃しながら…自分の身も防御しないといけないわけだろう?」

エルンが、丁寧に説明してくれた。


「でもたぶん、新生リューイがそこまでは出来てないんじゃなかろうかと思って、急いで仕上げたんだ」

「…」


僕のためだったんですね…

ネーミング微妙とか…思ってスイマセン…



「リューイだけじゃない、僕らにとっても有難い!」

レオも嬉しそうに言った。


「試しに着けてみて」


エルンに言われて、僕らはそれを腕に装着した。


「撃ち合ってみて」

「…」



言われて僕らは、お互いに距離を取った。

カイトが…僕に向けて…右手を前に差し出した。



ええーっ…

ホントに大丈夫なの?これ…


「まあ、若干…手加減してあげて」


ニヤッと笑ったカイトの手から、いつもの調子でコアが発射された。


シューーッ

僕は思わず、目を閉じて身体をすくめた。


ボンッ!


そこそこの衝撃が、身体に走った…

それでも、それは…痛いとか、苦しいとか…そういう感じでは、無かった。


「…」

「どう?」


「…はい…特に、何とも無かったです…」

若干ビビリながらも、僕はそう答えた。


「おおー良い感じ!」

エルンが叫んだ。



「今度はリューイ、お前が全力で俺に撃ってみろ!」

カイトが言った。


ホントに…?


思いながらも…今度は僕が、カイトに向かって右手をまっすぐに向けた。


「全力だぞ、いいな、遠慮するな!」

「…」


言われて僕は…全身全霊の力を右手に込めた。

そしてそれを、思い切り…カイトに向けて放った。


シューーッ…

ドカーン!


激しい衝撃音と共に、

一瞬カイトが、眩しい光に包まれた。


「カイトっ…」



ほどなく、その光が煙の様に消え…

何事も無かったかの様に…そこにカイトは立っていた。


「…だ、大丈夫ですか?!」


カイトは、ふふっと笑った。


「ま、念のため、俺の防御も使わせてもらった」

「体感的に、どうだった?」


「うん、良いと思う…かなり効いてる」

「そうか…よかった」



「僕らも試してみようか?」

「うん…リューイ、撃ってみてくれる?」

「あ、はい…」


「あ、リューイ、手加減してやれよ!」

慌てた感じにカイトが言った。


「わかりました…」

「僕らにはシュルシュル〜くらいにしといて」

「カイトの半分以下でいいよ」


言い合いながら、そのブレスリングを装着した…レオとジョシュアも、僕の前に身構えた。


僕は、彼らに向かって…だいぶ遠慮した感じで、コアを飛ばした。


「おおー全然痛くない!」

「すごいな、これ…」



カイトは、ふぅーっと溜息をついて、そのリングを外しながら、エルンに言った。


「…これ無かったら、危なかった」

「えっ…」


「相当良いね、これ」

「…そうか、よかった」


「これがあれば安心だ…」

「っていうか…カイト、新生くんのパワーは、そんなに凄いのか?」


「良い意味で…まるで別人だな」

「…そうか」


「いや…基本的にはリューイなんだけどね…」



カイトは、レオ達と一緒に、ワイワイとブレスリングの効果を試している僕を見ながら、呟くように続けた。


「もしかしたら…あいつは、ワザと記憶を失くす事で、自分の限界を越えようとしたのかもしれないな…」



「…それはまた…斬新で興味深い見解だな」


エルンは、ふふっと笑いながら言った。




その後、明日頑張りましょう…みたいな、終礼的なものを終えて、その日の訓練は解散となった。


僕は、エルンに呼ばれて、カイトと一緒に医療センターに寄った。


エルンは、いつものように…僕の腕に、数値を測る機械を巻きつけると…そこに示された数値を見て、半ば呆れた様に笑いながら言った。


「ははっ…いやもうこれは、コイツをグレードアップさせないといかんなー」


覗き見たカイトも、目を丸くして言った。

「あーホントだ…振り切ってんな…」

「…」


「言っとくけどリューイ、お前はこのステーションを、丸ごと動かしたんだからな」

「…いや、そんなの…絶対ムリです!」


僕は即答した。


だいたい…グラスとか、カイトとか動かすのも、かなりいっぱいいっぱいでしたからね…

このデッカいステーション丸ごとなんて、こん中に入り切る気がしません!


僕は、目の中のコアを見ながら思った。 



「ま、そのうち思い出すさ…」

言いながらカイトは、僕の肩を叩いた。


「今日もタウン行くか?」

「あ、はい…でも、飲み過ぎないでくださいね…今日は絶対、自分の部屋に帰りますからね!」


それを聞いてカイトは、

肩をすくめてニヤッと笑った。



「あ、何…いつの間にそーいう事になってんの?」

エルンも、ニヤッと笑った。


僕はハッとして、顔を赤らめて下を向いた。



そして僕らは、いつものヴィンセントの店に行った。


「お疲れ様です、明日のために気合い入れてもらおうと思って、今日はこれにしました!」


カウンターに並んで座った僕らの前に、蓋の被さったどんぶりのようなものが出された。



えっ…これはまた…

見た感じと言い、匂いと言い…限りなく似てるものに、ものすごく見覚えがあるんですけど…


しかも…こういう、勝負事の前の日に出て来るやつ…



僕はそっと蓋を開けた。


「…やっぱり…」


それはどう見ても…

地球の…日本の、カツ丼だった。


まあ中身は…

おそらくあの変な動物の肉だと思うけどね…





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