⁑激しい訓練(2)
それから後は、まるで超本格的な、VRゲームの世界のようだった。
いや実際、その部屋は、そういう仕掛けがあるんだと思う。
その無限に広がる宇宙空間に、次々と色々なタイプの敵が現れるのだ。
そして僕らは、それらを次々と破壊していった。
「ふうー」
「レベルを上げるぞ」
「えええー」
「今度は向こうが攻撃してくるから」
「えええええーっ」
「それを避けながら打つ練習だな」
そんな大変な事…出来る気がしませんー
「とにかく集中しろ、そうすれば…相手の攻撃の導線も見える」
「…」
「明日は本番かもしれないんだからな…」
ああ〜そうでしたね〜
そして僕らは、改めて…そのバーチャル宇宙空間に、次々現れる敵に立ち向かっていった。
「うわああっ…」
相手から、レーザーの様な光線が飛んできた。
僕は慌ててそれを避けた。
続いて、僕らが飛ばすような、薄青い光の弾が飛んできた。
それが僕の身体に命中した。
ビリビリと、電流の様なものが、身体に走った。
僕はその衝撃に、思わず膝をついてしまった。
「休むなー!」
カイトから檄が飛んだ。
「当たらない様に集中しろ!」
必死に起き上がり…
僕はまた、頭にメロディーを浮かべた。
…と、なるほど…弾やレーザーが発射される少し前に、その軌道が光の線になって、見える様になった。
これを避ければいいんだな…
僕は、次々と飛んでくる攻撃を、何とか必死に避け続けていった。
「避けるだけじゃダメだ、お前も撃てー!」
あーそうだった。
避けるだけでも必死なのに…コアを移動させる頭の余裕なんてないよー
と、僕の右手の先のソードが、勝手に眩しく光った。
えっ…
それはまるで、ソードが勝手に、僕の身体からコアの力を引き出してくれているような感覚だった。
僕は試しに、何も考えずにそれを放ってみた。
プシューーッ ドカンッ…
「…」
飛んだ…
あたった…
その後も、僕は、相手の攻撃を避ける事に集中しながら、特に力を込める事なく、ソードを相手に向けた。
ソードはその度に、次々と強力な光を飛ばしてくれた。
パワーが衰える事も無かった。
何度も繰り返すうちに、僕は段々慣れてきた。
慣れた…というよりは、元々リューイの身体に身に付いていたものを、僕がコントロール出来る様になった…というのが正しいだろうか。
ソードくんの協力に助けられながら…ほどなく僕は、上手く避けて…素早く撃ち返す動きを、難なくこなせるようになっていた。
シュウー…
宇宙空間が、音を立てるように消えて…
そこは、元のただの部屋に戻った。
「とりあえず、このくらいにしておくか…」
「はぁ…はぁ…」
僕は大きく肩で息をした。
レオもジョシュアも、同様に息を上げていた。
「はあー疲れたー」
僕はそのまま、そこに仰向けにひっくり返ってしまった。
「よく頑張ったな…」
カイトが、僕に近寄ってきた。
「正直…ここまで出来る様になるとは思ってなかった…」
そう言いながらカイトは、僕の傍にしゃがんだ。
「…僕じゃない…リューイの身体が、僕を引っ張ってくれた…」
僕は、息を切らせながら言った。
「あと…この…ソードくんのおかげだ…」
僕は、右手に持ったソードを…両手で胸の上に抱きしめた。
そして、ハッと思った。
僕は起き上がって、そのソードをじっと見つめた。
「…まさかね…」
そう自分に言い聞かせて…
僕は、それをギュッと握りしめた。
「ありがとう…これからもよろしくお願いします」
僕は、ソードくんに向かって、そう言った。
心なしか、ソードがキラッと光った気がした。
「明日は、この4人で外を守る」
「了解」
…外か…
僕は、くちびるを、ギュッと噛み締めた。
ソードを握った右手が、ブルブルと震えた。
レオとジョシュアも、緊張の面持ちをしていた。
「実は、僕らが最初から外を守るのは、初めてなんだ…」
レオが僕に向かって言った。
「ずっとカイトとリューイに任せてたからね」
「…」
「だからさ、覚えてないお前と、同じくらい緊張してるって事!」
言いながらジョシュアは、僕の肩を叩いた。
「…」
僕は彼の顔を見上げた。
そうか…僕だけじゃないんだ
「まあ、何事も無いに越した事はないがな…」
言いながらカイトは、自分の持っていた武器をしまった。
僕も、その隣に…ソードくんを並べた。
レオとジョシュアも、それぞれの武器をそこへ置くと…そのケースの透明な扉が、シューッと閉まった。
「明日までに、メンテナンスされる」
「…」
いちいち良く出来てるなー
そんな風に思いながら…僕は心の中で、ソードくんに別れを告げた。
そして僕らはその部屋を出た。
他の隊員たちが、隊列を組んでの訓練をしていた。
それを見ながら、レオが言った。
「僕らの手に負えなくなったときは、彼らが援護してくれることになってる…」
「…」
そうなのか…
最初から援護してくれたらいいのにー
「無駄に大人数を危険に晒す訳にはいかないだろ」
僕の心を見透かしたように、カイトが言った。
あーなるほど…
当て馬的な立ち位置なのか…
大丈夫なのかなー
こんな初心者が、そんな大それたポジションについてて…
「ま、何事も無いに越したことはないな…」
カイトが、再びそう言って笑った。




