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⁑初心者教習卒業(2)

「何で?…どうして!?」


グラスが出てきた!

部屋の、戸棚にしまっておいた筈のグラスがっ!!



「ほら出来たー」

ルイスがしれっと言った。


これって…テレポーテーションとか、テレキネシスとかいうやつなんじゃないの!?


そんな…そんな事が、ホントにあるなんて…

いや、それを…自分が出来たなんて!!


「…」



「まだまだやれるわよ…」

言いながらルイスは、僕の頭くらいの高さに、手を掲げた。


「今度はその綺麗なグラスを、ここまで持ち上げてみて…」

「…」


僕はグラスに手を伸ばした。


「触っちゃダメよー」

「ええっ!?」


「とりあえず、手を翳すのはOKにするわ」

「…」



そう言えば…そんな練習してる人を見かけたっけなー


思いながら僕は、

そのグラスの両側に手を翳した。


「掌からコアを出して…持ち上げるイメージね」

「…」



僕はまた、とりあえずコアの光を両手に移した。

それは難なく出来る様になっていた。


光が反射して…グラスがキラキラと輝いた。


僕はそれを…そうっと持ち上げた。


「…!!」


浮かんだ!



「うんうん…ゆっくりで良いからね…」

「…」


ゆっくり…ゆっくり…僕は少しずつ両手を上に上げていった。

両手に挟まれたグラスは、キラキラキラキラと煌めきながら、段々と上に上がっていった。


そしてそれはついに…ルイスが掲げた、僕の頭の高さまで上がった。


「そのまま…そこに置いて、両手を離してみて」

「…っ」


そんな事したから、落っこちて割れちゃうかもしれない…

そう思うと僕は、なかなか手を離せなかった。


「…大丈夫、いざとなったら私が止めるから」

「…」



彼にそう言われて、僕は覚悟を決めた。

  

浮かんだグラスにコアを集中させながら…僕はゆっくり両手を遠ざけていった。



落ちないで…

頼むから、落ちないで…


心の底から念じながら…やがて僕は、完全に両手を下に下ろした。


「うん…出来たじゃない」

「……」


僕は必死だった。

必死でグラスに集中し続けた。



「そんなに死にそうな顔しなくても大丈夫よ」

眉間にシワを寄らせた僕の顔を見て、ルイスが笑いながら言った。


僕はまた、あのメロディーを思い浮かべながら、少しずつ肩の力を緩めていった。

目の前のコアの光は褪せなかった。


「そしたらそーっと、下に下ろして」

「…」



不思議な感覚だった。

触れていないのに…僕は確かに、そのグラスと繋がっているのだ。


僕はそれを、静かに下に動かした。


コトン


小さく音を立てて、グラスがテーブルの上に戻った。


「…っ」


「うんうん、よく出来ましたー!」

「ふぅー」


「どう?感覚掴めた?」

「何となく…」


「もう1回…今度は最初から手を使わないで、動かせる?」

「…やってみます」



僕は再び、グラスに集中すると、頭の中にメロディーを浮かべた。


すぐに、何なく…グラスと繋がれるのが分かった。

僕はグラスをそっと持ち上げた。


「すごいすごい!!」

僕はそのまま、グラスを浮かせたまま、あちこちに移動させてみた。


「…」


ホントにすごい…

不思議でしょうがないけど…僕は完全に、それを動かす感覚を理解できてしまった。



コトン


僕はまた、グラスをテーブルに戻した。

もう、溜息も出ないくらい…その集中に、必死さは要らなかった。


「はい、じゃあ最後ね…グラスを、部屋に戻して」

「ええー」


「なるべく、手を使わないで出来るといいな…」


そんな、また無理難題を言う…



僕はまた、グラスに集中した。

頭の中にメロディーを流しながら、僕は、自分の部屋のキッチンのテーブルを思い浮かべた。


そして、また僕と繋がったそのグラスを…僕の部屋のテーブルにゆっくりと移動させた。



カタン…


思い描いたキッチンのテーブルの上に、グラスが置かれる音が響いた。


目の前のグラスは、無くなっていた…


「…戻った…かな」

「すごい、出来たじゃないー!」


言いながらルイスは、僕に抱きついてきた。


「リューイ、もう大丈夫よ…ここで出来る事はここまでよ」

「えっ?」


「明日からは、もうここに来なくていいわよ」

「…」


「卒業よ!」

「…そう…なんですか?」


「後は上で、更に磨きをかけたらいいわ」

「…」



そう言われても…僕にはまだまだ自信が無かった。


僕の表情を見て、ルイスは続けた。


「じゃあ、ホントに最後の最後よ…」

彼はニヤっと笑って言った。



「カイトを…ここに連れてきて」

「えええーっ!?」


僕はまた、ひっくり返りそうになった。


「誰でも良いんだけど、きっとカイトがいちばん…やりやすいでしょ」

「…」


「カイトを、ここに連れてきて…」

微笑みながら…

それでも彼は、キッパリと言い切った。


僕はまた…覚悟を決めた。



目を閉じて、頭の中にメロディーを浮かべる…

そうすると、目の中のコアが、眩しいくらいにけたたましく輝き出す…


そこまでは一緒だった。

そして僕は、そのコアの輝きの中に…恐らく訓練に勤しんでいるであろうカイトの姿を思い浮かべた。


コアの中のカイトが…どんどんハッキリと具現化していった。

グラスのときと同じく…その中のカイトが、いっぱいいっぱいになった所で、僕は勢いよく、両手を前に突き出した。



大きな光が、僕の手の前に現れた。


そしてその光が、だんだんと消えていくと同時に…

まさかの、本物のカイトが、そこにヒョッコリ現れた!!


「…!!!」



ビックリしたのは、僕だけではなかった…


「えっ…何で?」


カイトは目を白黒させながら、僕を見た。




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