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⁑想いの記憶

それから結局、もう1杯ずつおかわりしてから、僕らはヴィンセントのレストランを後にした。


しっかり…明日はヴィンセントも一緒に、ヨハンって人の店に行く約束をして…



エレベーターで僕とカイトはエルンと別れた。

エルンは医療センター階に寝泊まりしているらしい。


「ちゃんと帰れるのかな…」

だいぶ千鳥足のエルンを見送って、僕は呟いた。


「大丈夫大丈夫…」

「…」


あーこっちの人も、だいぶ大丈夫じゃないなー



僕は、ふらつく足取りのカイトの腕を掴んでエレベーターから降りた。


「あれ、お前何で腕組んでんの?」


もうーあなたが酔っ払ってるからでしょうが…


「そんなに好きなのかー」

「…っ」


おっさん…



そして僕らは、僕に光って見える扉の手前の…カイトの部屋の前に来た。


「ほら、手出してください」

「んー」


カイトはゆらゆらしながら、ボタンに手を翳した。

扉が開いた。


「大丈夫ですか?明日ちゃんと起きれます?」

「んー」


僕はそっと、彼の腕を離した。

…と、カイトは、2〜3歩進むも、そのまま…扉のすぐ前に、ゴロンと寝っ転がってしまった。


「あーもうー何やってんですか…」

僕は彼に駆け寄った。


扉がシュッと閉まってしまった。



僕は必死にカイトを起き上がらせると…彼の腕を自分の肩に回して、奥の部屋に向かった。


僕の部屋と、造りは同じだった。

何とかベッドまで運んで、僕はカイトの身体を、ベッドの上にドサっと下ろした。


「ふぅー」

「…」


カイトはそのまま、目を閉じてしまった。


「ホントに明日、大丈夫ですか?」

「…んー分かんない…」

彼は目を閉じたまま、小さい声で答えた。



僕はそんなカイトを見下ろしながら、

ふふっと笑って溜息をついた。


「僕は帰りますね…」


そう言い残して…僕は扉に向かった。

そして、ボタンに手を翳した。


「…」


あれっ…


うんともすんとも言わなかった。



何、これ…

もしかして…カイトの手じゃないと開かないのか!?


僕は必死に、何度も何度も手を翳してみたり、ボタンに触ったりしてみたが…やっぱり何も起こらなかった…


えええーっ

出らんないじゃん…



僕は、致し方なく…ベッドに戻った。

そして、カイトを揺り動かして言った。


「カイト…扉が開かないんだけど…」

「んー…そりゃそうだ…」

「どうしたらいいですか…?」

「んー」


そう唸りながら…彼は僕の方を向いて、そっと目を開けた。


「いいじゃん、ここで寝たら…」

「ええっ?!」


「いっつも寝てただろ…」

「…っ」


いやちょっと待って…

前のリューイとはそうだったのかもしれないけど…

今のこのリューイは、まだまだ心の準備が出来てないんですけどーっ



僕がアワアワしているうちに、カイトは腕を伸ばして、僕の腕を掴むと、自分の方へグイッと引き寄せた。


「うわっ…」

僕は、ドサッと彼の身体の上に、覆いかぶさってしまった。


「…リューイ…」

言いながらカイトは、

そのまま…僕の身体を力強く抱きしめた。


「ここに居て…」

「…」



そしてカイトは…まさかの、僕の制服の背中のジッパーをズリズリと下ろし始めた。

「えっ…えっ…ちょっと待って…」

「…そのままじゃ寝辛いだろ…」


しっかり下まで下されてしまった…


「俺のも脱がせてー」

言いながらカイトは、僕に背を向けた。


「…」

仕方なく、僕も彼の制服のジッパーを下ろした。


モゾモゾと、カイトはそれを脱ぎ捨てた。

一応ちゃんと下着は来ていた…

ホッ…



「お前も脱いで寝ろー」

そう言って、彼は改めて横になった。


「…」


僕も、ゆっくり制服を脱いだ。

(もちろん、僕も下着は着ていた!)


そして、致し方なく…彼の隣に、横になった。



と、横になった僕の首の下に、カイトの腕が差し込まれてきたと思ったら…そのままもう片方の手が伸びてきて、頭をしっかりと抱きしめられてしまった。


「…ん…」

そして彼はまた…僕に口付けてきた。


「…んんっ」

エールの味がする彼の舌が…僕のくちびるを割って入ってきた。



僕の目の中のコアが、ユラユラと唸り光った。

彼のくちびるから…ドクドクと音が聞こえるくらいに、カイトが僕の中に流れ込んで来るように思えた。


僕の身体に流れ込んだカイトは…僕の身体の芯に達して、そこから何とも言えない…ゾワゾワとしたものが湧き上がり、身体中に広がっていった。


それは…とても心地良い感覚だった。

カイトと僕のコアが、お互いの身体を、グルグルと行き来しているような…そんな感覚だった。



思わず僕も…彼の背中に手を回した。


このままずっと…いつまでもカイトを、直接感じたいたいと思った。

この身体は、本当にカイトが大好きなんだ…

改めて僕は、そう思った。


この身体中に残って止まないカイトへの想いを…

僕は着実に引き継いでいた。



リューイが見ていたら、悲しむだろうか…


それとも、僕のこの地球の記憶が…リューイが見ている、ただの夢に過ぎないのだろうか…



僕はカイトの事が…

好きで好きでたまらない気持ちに…なっていた。



(例えダメな酔っ払いでもね…)




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