⁑パワーの源
その頃エルンは、ライブラリーと呼ばれる階で、調べ物に精を出していた。
(リューイが言っていた「地球」ってヤツの事が載っている資料は無いだろうか…)
数多く並んだ書物や、デスクトップPCのような機械を操作しながら…彼は片っ端から探していった。
(どういうステーションなんだろうな…いや、ステーションじゃないのか…確か星って言ってたな…)
星っていう認識はあった。
いわゆる光る、模様のような物で…リューイの言うところの、丸い星って言うのが、彼にはサッパリ分からなかったのだ。
(太陽もあるって言ってたよな…)
彼は、それらのキーワードから、そこにある資料を探していったが…
残念ながら、そこに繋がる物を見つける事は出来なかった。
(ま、所詮…夢とか妄想だったのかもしれない…)
そう思いながら…エルンはそこを後にした。
(もう少し、詳しい話を聞いてみてもいいな…)
そして彼は…教習機関に出向いていった。
「あらエルン…」
彼を見つけたルイスが駆け寄ってきた。
「やあ、ルイス…リューイの調子はどう?」
ルイスは、目を輝かせながら言った。
「すごいのよーー!やっぱりリューイよ!!」
「ちょっとは思い出したの?」
「ううん…思い出したって感じじゃない…新たにどんどんパワーが育ってる感じよ、オーラの色が違うもの…」
「…へぇー?」
「今、上に行ってる筈だから、ちょっと見てくれば?」
「…わかった…行ってみる」
そしてエルンは、戦闘部隊のいる体育館に向かった。
ひと足先に、そこでカイト達と合流していた僕は、
案の定というか、予想通りというか…
いいから投げてみろって事になって、先日カイトが炸裂砲を発射した場所に連れて来られていた。
「さっき出し尽くしちゃったから…今日はもう何も出ないかもしれませんよ…」
「分かった分かった…ダメでいいから、試しにやってみてよ」
「…」
僕はいったん目を閉じた。
目を閉じた状態では、いつでも、そこにコアが見えるようにはなった。
そして僕は、身体中の神経を研ぎ澄まして…頭の中に、あのメロディーを思い浮かべた。
すると…そのメロディーと、身体中に散らばったカイトの欠片のような感覚が、まるで化学反応を起こしていくように…ジワジワと熱を帯びながら、目の中のコアに集まっていくのが分かった。
そしてやがて、目の中のコアは…大きく光り輝き始めた。
「…うん」
カイトが小さく呟いた。
もしかしたら、昨日のカイトのように…そのとき僕の身体から、ユラユラ陽炎のようなものが漏れていたのかもしれない。
僕はそっと目を開けた。
コアはまだ消えていなかった。
僕はそれを…ゆっくり右手に移した。
そして、さっきの要領で…先日カイトがぶち壊したのと同じ的を目指して、投げてみた。
シューーーッ!
あ、思いの外、距離が遠かった。
力が弱過ぎた…
残念ながら、僕の投げた玉は、的に辿り着くより、少し前で…シュッと消えてしまった…
「あーーやっぱダメだったー」
項垂れる僕を見ながら…カイトを筆頭に、皆が固唾を飲んでいた。
ちょうど、そこへやってきたエルンも、遠目にその様子を見ていた。
そしてエルンは、僕らの近くへ駆け寄ってきた。
「リューイ…今の、リューイがやったんだろう?」
「…エルン…見てたんですか…」
「…いつの間に、そんなに力が戻ってきたんだ」
「…えっ…」
「やっぱりリューイだ!」
「うんうん…スゴい戻ってる!」
「そーだよ、こないだなんて、ホントに何にも無くなってて、どうなる事かと思ってたのに」
固唾を飲んでいたオブザーバーの面々が、口々に囃し立てた。
「…」
僕はカイトの方を見た。
「俺も…驚いた」
「…」
何とも温かく、嬉しそうなカイトの笑顔を見て…僕は胸がいっぱいになった。
「明日から、ルイスの時間が終わったら、こっちの訓練に合流できそうなんじゃないか?」
「…」
えーいきなり上級者コースですか…
「あとで医療センターに寄ってもらえないかな…数値も測ってみたいし…あと、話を聞きたい事もある」
エルンが言った。
「分かりました…」
そして、しばらく他の皆の訓練の様子を、改めて見学してから、僕はカイトと一緒に、そこを出た。
道中、彼が僕に訊いてきた。
「その…昨日のメロディーってのは、ルイスの所で、どんな感じでやってたら、聞こえてきたの?」
「…どこからともなくです…」
「…ふうん」
「…最初は全然だったんですけどね…床に座って集中してみているうちに、あのメロディーが流れてきて…そのおかげで自分の中のコアが、飛躍的に光るようになりました…」
「…」
「あ…あと…」
僕は、下を向いて…少し恥ずかしそうに、続けた。
「…カイトの…おかげで…」
「…?」
「あの時から…カイトが、僕の中に…いるんです」
「…」
「僕の中のカイトが、あのメロディーと反応して、僕のコアを輝かせてくれてるんです…」
「…」
言いながら僕は、ふと思った。
きっと…このリューイの身体には、カイトへの想いがパンパンに残っているんだろうな…
だから…僕もこんなに、カイトを感じて止まないのかもしれない。
「本当にごめんなさい…僕は、リューイじゃないけど…たぶんリューイと同じくらい…カイトの事が好きです…」
自然と、そんな言葉が…僕の口をついて出た。
「…」
それを聞いたカイトは…歩きながらそっと、
僕の手を取り…そして繋いだ。




