⁑ 交流の日(3)
「来た…」
専門チームのひとりが、言った。
ふと、スクリーンを見ると、こないだ部屋のTVで見た、宇宙船みたいな物が中央に小さく映っていた。
その画面の左上から、また違う形の…茶色い宇宙船みたいなヤツが…段々と近付いてくるのが確認できた。
もしかして…あの変な宇宙船が、このステーションの全貌だったのか!?
あの、宇宙みたいな暗闇が…今向こうに見えてる「外」なのか…??
そんな事を考えているうちに、僕の中のカウントダウンは、もう10分を切った。
もちろん、ここに居る全員が、それを分かっているに違いなかった。
画面に映る左上の宇宙船は、どんどん近付き…それと共に、どこからともなく、ゴオーっという鈍い音が聞こえてきた。
そしてついに、僕が立っている場所から見えている「外」に、交流相手のステーションの姿が肉眼でも確認できた。
「…」
その茶色い宇宙船は…
(いや、宇宙船ではないと思うが)
みるみる大きく近付いてきた。
ゴオーッという音も、どんどん大きくなった。
やがて、その茶色で…僕から見える「外」がいっぱいに塞がれてしまった。
そして、ゴォーっという音が、徐々におさまった。
恐らく、十分に接近したので止まったんだろうな…
専門チームのスタッフが、
何やらのボタンを操作した。
すると、ギィーっという音がして、
「外」の更に向こうに…滑走路の様な、橋の様なものが伸びていった。
その伸びていったちょうど先の、
向こうの、茶色い宇宙船の壁が…開いた。
そして中から、何人かの人物が出てきた。
彼らは、その伸びた滑走路を、ゆっくり歩いて来た。
外にいた、カイトとジョシュアが…
彼らに向かって手を翳した。
ほどなく、何らかの確認が取れたのか…カイとジョシュアは両側に下がり…その、向こうの人物たちが、どんどんこちらに近付いてきた。
中央には、ちょっと偉そうなおじさん…
そしてやっぱり、警備の人たちなんだろうなと思われる、武装したちょっと強そうな数人が、そのおじさんを囲んでいた。
見たところ…同じ人間である事は、間違いなさそうだったが、若干、ここにいる人達よりは、肌の色が濃かった。
南米とか、アフリカの方の人なのかなー
そんな風に思っていると、ウィルフリードが一歩前に出ていった。
「ようこそ、ホセ…調子はどうですか?」
お、何かやっぱり南米っぽい名前だ。
2人は、握手を交わした。
「ウチのステーションは平和だよ。ウィルフリード、先日は大変だったようだね」
「ええ、まあ…」
「無事に凌げてよかった…君たちがいなくなったら、我々は大打撃だからな…」
「今後に備えて、対策をとっているところです」
首脳会談って感じだなー
「ウチのコアの力が何かお役に立てれば良いが…」
「それはもう…大いに役に立ってますよ」
「それならよかった…今日も十分にチャージしていってくれ」
「ありがとうございます。こちらの方も、前回より少し改良しました」
「おお、そうなのか…おい、」
「…」
おじさんは、横にいた警備スタッフに合図をした。
警備スタッフの数人が、専門チームの方に行った。
彼らは機械に向かって、何やら色々と説明を受けているようだった。
そのうちに、専門チームの面々が、機械に向かって慌ただしく動き出した。
ガコン、ガコン…ギュイーン…
という、大きな音がした。
画面を見てみると、2つの並んだ宇宙船の下の方から、何やら管の様な、ポンプの様なものが伸びていて、お互いを繋ぎ合っていた。
あの管でコアを交流するのか…
コアって…何なんだろう…
光なのか、物体なのか…液体なのか…
しかも、いつの間にか…ここにもあるし…
僕はちょっとだけ目を閉じた。
そこにもちゃんと、ほんのり光るコアが居た。
交流が行われている間…
両首脳は、たまに画面を指差したりしながら、世間話をしている様子だった。
色々気になる事はあったが…持ち場を離れるわけにもいかないので、僕は黙ってそこに立っていた。
「…という噂は聞いてますよ」
「我々も一層、守備力を強化しなければならない…」
「今のところ、動きは無さそうですが…」
「油断は禁物だよ、お互い…」
そんな会話が聞こえてきた。
守備力とか、油断は禁物とか…
何だか穏やかじゃないなー
また近々、戦争みたいのがあるんだろうか…
こないだリューイが…やられちゃったみたいなのが。
「お話した通り、前回よりパワーアップしている筈ですので…」
「ありがたい…本当に、君たちが開発してくれたシステムのおかげで、我々は何度も助けられたからね」
「お互い様です。そちらのステーションの太陽エネルギーは素晴らしい…」
ほおーなるほど、
あの茶色い宇宙船には、太陽があるのか…
そうか、ここからもらった太陽エネルギーで、あの植物が育ってるのかもしれないな…
それが無かったら、僕らは野菜を食べられないって事か…
逆にあっちは、戦争するときの、攻撃とか守備とかのパワーが弱いのかもしれない…
それを補うシステムを、こっちのコアの力を使って開発して、それごと差し上げてるって事か…
まさに、メキシコからカボチャを貰う代わりの
日本からの自衛隊派遣だな…
「…そっか!」
僕はうっかり声を上げてしまった。
「ん?…どうした、リューイ…」
ウィルフリードが、驚いて振り向いた。
「あ、すいません…何でもないです…」
慌てて僕は下を向いた。
そのとき、僕は…こう思っていた。
あーだから肌の色も南米っぽいのかー
納得!




