表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/172

⁑ 交流の日(2)

「じゃあ、警備出動、頑張ってらっしゃい」

「…」


あんな保育園児レベルで、何をどう頑張ればいいのかさっぱりわかりませんが…


「あの…」

「ん、何?」


「戦闘部隊の部屋は…何階ですか?」

「あー、あははは…それも覚えてないのね…リューイの部屋の48階からでも行けるけど、このすぐ上…36階で大丈夫よ」


「ありがとうございます」


僕はルイスに見送られて、そこを出た。


エレベーターに乗って36階で降りると…

僕は、重い足取りで…ドキドキしながら、例の体育館に向かった。



おそるおそる中を覗くと…戦闘部隊のメンバーが、既に集まって整列していた。


「リューイ!」

その中央にいたカイトが、僕を呼んだ。


「…」

僕は、少しホッとして…彼の元に駆け寄った。

また…他の皆がざわついた。


カイトがまた、改まったように大きな声で言った。


「こないだも言ったが…リューイは今、記憶を失くして混乱している。それでも今、パワーを取り戻すために、初級からの訓練に励んでいるところだ」

「…」


「今日も勝手がわからずに、皆に迷惑を、かけるかもしれないが、どうかフォローしてやって欲しい」


そう言いながら…カイトは、整列した面々に向かって、深々と頭を下げた。

「…」


僕も慌てて…彼の横で、皆に向かって頭を下げた。

「本当にすいません…よろしくお願いします…」


「わかりました!」

「カイト、頭を上げてくれよ」

「大丈夫だよ、リューイ…」


ざわついていた連中が、皆、優しく応えてくれた。



そこへ、ひとりの人物が現れた。


「整列!」

カイトが強い口調で言った。


皆、ビシッとなった。


そこへ、ゆっくり近付いてくる、その人物に、僕は見覚えがあった。



「彼はウィルフリード。このステーションの総リーダーだ」

「…」


そっか…

僕がまだ動けないときに、医療センターに来た人だ…



ウィルフリードと呼ばれた人物は、僕に向かって微笑みながら言った。


「リューイ、話は聞いた。調子はどう?まだ何も思い出せない?」

「…あ、はい…すいません」


「無理しないで、今日は皆に頼ったらいい」

「はい…よろしくお願いします…」



そして彼は、そこにいる全員に向かって言った。


「今日の流れは、いつも通りの予定だ。コアの交換は専門のチームが行う。君たちには、いつものように警備をお願いする」


「了解」

「わかりました!」


皆が口々に答えた。


「よし、行こう…」


そして、ウィルフリードの先導の元、カイトを筆頭に…僕ら戦闘部隊は、その体育館から出ていった。



ひとまず、ウィルフリードとカイトと僕と、もう4人がエレベーターに乗り込んだ。

エレベーターは、上へ上へと向かった。


途中で2人を降ろすと…

エレベーターは更に上に向かった。


そして…ついに、最上階に着いた!



「…!」


扉が開いた途端に、

ボワーーっと、前から強い風が吹き込んだ。


「…っ」


エレベーターを降りると、そこは…

終着駅のホームというか…格納庫というか…

広く屋根のあるスペースが広がっていた。


壁に沿って、大きなスクリーンや、宇宙船のコクピットの中のような機械が、ズラッと並んでいた。

(いや、宇宙船に乗った事は無いので、あくまでイメージだが…)



そしてその先は…

この世界に来て初めて見る…「外」に繋がっていた!



「…外だ…」

僕は思わず…小さい声で呟いた。


その場所から見える「外」は、

さしあたり夜のように、暗く…黒く見えた。



「外は俺とジョシュアが行く。リューイはレオと2人で、ウィルフリードの警備にあたれ」


カイトが言った。


「了解…」

ジョシュアと呼ばれた人物は、少し緊張した面持ちで頷いた。


「頑張れよ、ジョシュア…」

レオと呼ばれた人物が、彼の肩を叩いて、微笑みながら言った。


「…」


そしてカイとジョシュアは、その…先に見えている、暗い「外」に向かって歩いていった。



2人の背中を見送りながら、レオが僕に言った。


「ジョシュアが外の警備をするのは初めてなんだよ」

「…そうなんですね…」


「いつもリューイが出ていたから…」

「…そう…なんですね…」



「次回はレオに行ってもらうよ」

ウィルフリードが、優しそうに微笑みながら、レオに言った。


「ええっ?!…ホントですか…」

「ああ…」


「…」


そんな2人の会話を聞いて、僕は…何とも複雑な気持ちになった。



そうか…カイトとリューイは、いつも一緒に第一線に立っていたんだな…



遠く小さくなっていく、カイトの後姿を見ているうちに、僕は…胸の奥の何かが、チクッとなるのを感じた。


それはまるで、あのとき…

あの口付けのときに、カイトが僕の中に入ってきて…その僕の中のカイトの胸が痛んでいるかのような…そんな感覚だった。



レオに指示してもらって、僕は…ウィルフリードを挟んで、レオと対称の位置に立った。



ほどなく、他の数人の戦闘部隊のメンバーが、上に上がってきた。

彼らも、自分の持ち場に、わらわらと散っていった。



その後に続いて、今度は違う制服に身を包んだ数人が、エレベーターから降りてきた。


「…」


ポカーンと彼らを見ていた僕に向かって、ウィルフリードは言った。

「彼らはコアの専門チームのメンバーだ…」


「…はあ…」


そのチームの面々は、僕らに軽く会釈をすると、機械の前に立った。



やがて…辺りは、何とも言えない、沈黙と緊張に包まれた。



もうすぐだ…


その「交流」ってのが、どんな感じで、どんな風に行われるのか、全く見当がつかなかったが…


それが、あと何分何秒後に始まるのか…

僕には分かっていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ