⁑日本酒完成披露会(4)
僕らのステージが終わって…店内では、まさしくLIVE後の打上げ飲み会が続いていた。
「このお酒も美味しいし…カイトの意外な一面も見れたし…今日は本当に楽しかった…ありがとう」
「うんうん、2人の出す音には、本当に感動したよ」
そう言うレオとジョシュアに、僕は言った。
「レオが元気になって、本当に良かった…もう、お酒も飲んで大丈夫なんだね?」
「ああ、もうすっかり」
「まだ万全じゃないんだから…いつもの調子で飲み過ぎちゃダメだよ?」
「わ、わかってるって…」
少し心配そうにレオを窘めるジョシュアを見て…僕は、ほっこりした気持ちになった。
「あの2人は、いつの間にそーいう事になったのー?」
リカルドが、コソコソとエルンに訊いた。
「レオが治療してる間、ずーっと付き添ってたからな…その間に、お互いの気持ちを確かめ合っちゃったんじゃないのか?」
「それって…まさにケガの功名だねー」
「あはははっ…そうだな」
「そーいう事って?」
カイトが、若干ポカーンとしながら言った。
「あーもう、鈍いんだからー」
「全くな…自分はラブラブ円満なくせに、他のヤツらの事にはまるで興味ないんだな…」
リカルドは、若干悔しそうな口調で続けた。
「カイトとリューイみたいな関係って事だよー」
「えええっ…そうなのか!?」
ハッキリ言われて、本気で驚いた様子のカイトに…僕は笑いながら言った。
「だって…僕らが見たときも、しっかり手を繋いで寝てたじゃない」
「いや…確かに、そうではあったたけど…まさか、そこまでの間柄になってるとは…」
「あーあーいいよなー…俺もリューイとラブラブしたかったのになー」
「いい加減諦めろ」
「そうです、諦めてください」
「ちぇー」
言い合いながらも…僕らは、すっかり2人の世界に入っている彼らを、微笑ましく見守った。
「今日…えっと…うた…でしたっけ?…歌ったのって、あの、僕の店のために作ってくれた音と同じですよね?」
ヴィンセントが僕に訊いてきた。
「そうそう、そうです!」
「同じ歌なのに…リューイさんの声があるとないとでは、雰囲気が違って面白いですね」
ヴィンセントさんが、そこに気付いてくれるなんて…
「俺は分かったよ…前にやったのも同じだって」
「ホントですか?」
キーファーは、知ったような口調で続けた。
「リューイがひとりでやったのと…ヴィンセントの所で流れてる歌がないのと…今日、カイトと機械の音と一緒にやったのと…それぞれ皆違って、それぞれの良さがあるな」
まるで評論家のように、つらつらと感想を述べる彼に向かって…僕はニヤニヤしながら言った。
「二胡で弾いたら、また違う良さになりますよ」
「…っ」
評論家は口籠もってしまった。
「リューイ、ちょっとこっち来てー!!」
サバが、理数系テーブルに、僕を呼んだ。
「今日はありがとうございました」
僕は言いながら、彼らと乾杯した。
「すっごく良かったよー」
「うん、本当に良かった」
フリッツは、前のめり気味に続けた。
「あのときに聞かせてくれた、イヤホンの音も心地良かったけど…今日のはまた一層素晴らしかったね…本当に感動した!」
「そんなに言ってくれてありがとうございます…こちらの皆さんも主役ですからね…気に入ってもらえてよかったです」
「うんうん…お酒も美味しいし、すごく楽しいー」
そして、トドメを刺すように、この男が言った。
「本当に忘れられない日になったよ…ありがとう」
「…っ」
ああ…アルバートさん…
そんな甘い声で、そんな台詞囁かれたら…キュンキュンしちゃうよー
「ところで、そっちの調子はどうなんだ?」
僕のキュンキュンを遮るかのように、カイトがずいっと割り込んできた。
「おお、カイト…お疲れ様」
カイトも交えて、再び乾杯してから…アルバートは、少し真面目な顔で言った。
「コアの回りはほぼ完了だ…外壁を全て改修するには、まだまだ相当な時間がかかりそうだけどな…」
「例の…紫のヤツらが動き出す前には、完成させたい」
俄かに戦闘部隊の総リーダーの顔に戻ったカイトは、更に続けた。
「何なら、戦闘部隊からも作業の補佐を出そう」
「本当か?」
「ああ…それも訓練の一貫になるからな」
「それはありがたい…是非ともお願いするよ」
…そうなったら、僕も外で作業したり出来るのかな
僕は少しワクワクしながら、彼らの会話を聞いていた。
「リューイ、本当にありがとうね」
フリッツが、僕に向かってしみじみ言った。
「え、何が?」
「君のおかげで…とてもやり甲斐のある仕事に関わる事ができた」
「いやいや…フリッツさんじゃなきゃ出来ない事だったんじゃないですか!」
「…」
「言ったら…このお酒を作るのは、ヴィンセントさんとノエルさんじゃなきゃ出来なかったし…」
僕は日本酒のグラスを掲げながら力強く言った。
「この世界の人たちは…皆それぞれが、個性的なすごい能力を持ってるんです!」
「…」
「だいたい、手を翳して発酵させるとか、金属取り出すとか…ワケが分かりませんよー」
「……」
「まー手を翳して水が流れるトイレとかは、確かにあったけどな…」
だいぶ日本酒が回ってきていたようだ…
フリッツは、少し面倒くさそうな顔をしていた。




