⁑日本酒完成披露会(2)
ほどなく、次々とお客さんがやってきた。
「よう、調子はどうだ?」
「まあボチボチです」
定型挨拶が、其処此処で乱れ飛んでいた。
キーファーとカジミアの師弟コンビ
エルンはもちろん…リドリーにリカルド
戦闘部隊からは、ジョシュアと復帰したレオ…
ルイスとヒューもいた。
今回は更に…フリッツと、理系男子2人も呼ばれていた。
それから、今回の主役とも言えよう…立役者のパティシエ、ノエルも!
いやーまたも、オールスター勢揃いだなー
次々にやってくる彼らと、定型挨拶を交わしながら…僕はしみじみそう思った。
やがて、ヴィンセントが用意した料理も並んだ。
それぞれが飲み物を手にしたところで、ヨハンが乾杯の音頭をとった。
「今日は…『にほんしゅ』というお酒の、完成披露会です…後で、お楽しみのステージもあります。心ゆくまで、楽しんでいってください」
とりあえず乾杯が済んだところで…ヴィンセントとノエルが、それぞれのテーブルに日本酒を配っていった。
「今日の料理は、この日本酒に合うものを揃えましたので…是非一緒に味わっていってくださいね」
「何か、水みたいみ見えるけど…」
「透明なお酒なんだね」
ジョシュアとレオは、訝しげにそれを眺めていた。
「リューイさんが、前にいた所で人気だったんですって…作り方も、リューイさんが教えてくれたんですよ」
ヴィンセントが解説してくれていた。
「レオさん…身体の調子はいかがですか?」
「ああ…おかげ様で、スッカリ良くなったよ」
「ジョシュアが付きっきりで看病してたからな」
「…っ」
エルンに言われて、ジョシュアはパッと顔を赤くした。
「美味しい!」
「ああ…美味いな」
ルイスとヒューの口には合ったようだ。
「こんな事にまで手を出すなんて…新生リューイの力は、どこまで進化していくんだろう…」
そう呟いたルイスに向かって、僕は言った。
「それもこれも…元はと言えば、ルイスさんが覚醒させてくれたおかげですよ」
「そうだったな…もっと元はと言えば、教習機関に連れてった俺のおかげだろ?」
酔っ払いエルンが、ドヤ顔で言い放った。
あーまあ、そうとも言えなくもないか…
「これって…師匠が隠し持ってたヤツですよね?」
カジミアがキーファーに言った。
「よく覚えてるな…そうそう、それの在庫が残り少ないってんで、リューイが何としても作りたいって言い出したんだよ」
「確かに、独特な美味しさですよね…」
「ああ…これで在庫の心配無く、いくらでも飲めるってわけだ」
「よかったですね…何なら、これが完成して、いちばん恩恵を受けてるのは、師匠なんじゃないですか?」
「…っ」
そんなカジミアの突っ込みに…キーファーの胸の辺りの青い炎が、プッと吹き出すようにチラチラと燃え上がった。
「あのステーションは無くなっちゃったけどなー」
リカルドが呟くように言った。
「でも、ノエルさんが…ちゃんと記録しておいてくれたんですよ…そのおかげで、今回再現に成功したんです」
「でも、ヴィンセントさんの力が無ければ、出来ませんでしたからね!」
僕にそう言われて…ヴィンセントは、少し恥ずかしそうに…でも嬉しそうに顔を赤らめた。
「そっかー…リューイと、ノエルとヴィンセントが協力して、この美味ーいお酒が完成したって事なんだなー」
しみじみ言いながら、リカルドは自分のグラスの日本酒を飲み干した。
「俺も協力したんだけど?」
空いた彼のグラスに、おかわりを注ぎながら…リドリーが突っ込んだ。
「あーそうだったね…リドリーもお疲れー」
「全く…リューイのせいで、変な仕事ばっかり回ってきて忙しくてたまらん」
そうボヤきながらも…リドリーも達成感に満ちた、良い笑顔だった。
「お口に合いますか?」
僕は、理系男子の2人に声をかけた。
「うん、美味いねー」
サバは、しれっと答えながら…美味しい料理をバクバクと食べていた。
「酒も美味いが、このような場に参加するのは久しぶりだ…ありがとうリューイ」
ああ…相変わらず心地良い
アルバートさんの、甘々低音ボイス…
「ちなみに今日は、コア部屋改修お疲れ様会も兼ねてますからね…」
僕は、理系男子の隣の…フリッツに向かって続けた。
「フリッツさんの渾身の金属…外壁にも使われる事になったそうですね」
「ああ…そうみたいだね…」
彼は、照れ臭そうに顔を赤らめた。
「それもこれも、リューイのおかげだよ…本当にありがとう」
「いやいや…フリッツさんの実力ですよ!」
宴もたけなわだった。
まさに勢揃ったオールスター達が、それぞれあちこちで、様々な話題に花を咲かせていた。
それはまさに…僕が知ってるLIVEの打上げ飲み会風景と、何ら変わりが無いように思えた。
しかも、皆が日本酒飲んじゃってるしなー
やっぱり…所詮はヒロが創った世界って事か。




