⁑ 交流再開(2)
それから十数時間後…
特に何事も無く、平和な交流が続いていた。
交代の時間になった。
前回の戦闘のときに、ルイスやヒューと一緒に最前組に上がってきた4人が、僕らの元にやってきた。
「お疲れ様でした」
「交代します」
そのうちの2人は、今回が初めての外警備だった。
緊張の面持ちで、彼らは言った。
「さっきみたいに、急に邪魔が入ったら…どうしたらいいんだろう…」
「俺たちに対処できるかな…」
そんな彼らに向かって、カイトは言った。
「君たちの今の実力なら問題ない」
「…っ」
少し顔を赤くした2人に向かって、僕らは続けた。
「安心して任せるよ」
「イヤホンが必要になったら、呼んでくださいね」
「あ、ありがとう…カイト」
「わかった、リューイ…いざとなったら助けてね」
「新生リューイも、すっかりNo.2の貫禄が戻っちゃったわね」
僕に向かってルイスが言った。
「そ、そんな事はないですよー」
「いや、あの最後の…とんでもない攻撃力と言い…以前のリューイより、むしろパワーアップしてるし」
「…あれは、本物のおかげです」
「えっ?」
「僕の中の本物のリューイが、勝手にやってくれたんですよ…」
「…そんな事ってあるの?」
「…はい」
ルイスは、ふふっと笑いながら、小さく溜息をつくと…僕の頭を撫でながら続けた。
「とにかく、お疲れ様…私たちは戻るけど…2人はどうするの?」
僕はハッとして、カイトの腕を掴んだ。
「レオの所に行こう」
「…ああ」
そして僕らは、その場を離れると…何はともあれ、医療センターに飛んだ。
中にいる彼らを驚かせないために、やはり廊下に着地した僕らは、静かに扉を開けて…中に入った。
「あ、リューイ…カイト…」
ベッドの傍に座っていたジョシュアが、振り向いた。
「まだ目が覚めない…」
「そうか…」
僕らは、目を閉じてベッドに仰向けに横たわる、青白い顔のレオを見下ろした。
そこへエルンが入ってきた。
「レオの容体はどうなんだ?」
カイトが訊いた。
「とりあえず命の危機は脱したよ」
「…よかった」
僕らはホッと胸を撫で下ろした。
ジョシュアは目を伏せて、レオの手を握り締めながら言った。
「本当にごめんなさい…僕のせいで…」
「何言ってんだ、お前の応急処置が良かったから、レオは助かったんだぞ」
「…でも」
「お前のせいじゃない」
「そうだよ、言ったら僕らだって共同責任だ…ジョシュアお願い…自分を責めないで」
言いながら僕は、ジョシュアの頭を抱きしめた。
「…」
彼は、僕の腕の中で…小さく震えていた。
「う…うーん…」
と、そのとき…レオの声がした。
慌てて振り向いた僕らに見守られて…彼は少しずつ、目を開いた。
「レオ!」
「レオ…」
エルンは急いで、彼の腕を取ると…巻き付けた機械を覗き込んだ。
「…」
レオは、ボーッとした表情で…僕らを見上げた。
「レオ、大丈夫?!」
「俺たちがわかるか?」
「…」
まさか、レオまで偽物になっちゃったりして…
そんな僕の心配をよそに…レオは小さく頷いた。
「あーよかった…」
「ごめんね、レオ…」
「…交流は…どうなったんだ?」
「無事再開したよ」
「…ホントか…あいつらは?」
「2人の代わりに、ルイスとヒューが来てくれて…何とか撃滅する事が出来た」
「…そうか…よかった」
「ていうか…最終的には、リューイがとんでもない力で、根こそぎ掃討したんだけどな…」
「…っ」
「うん、数値も回復してきてる」
腕の機械を見ながら、エルンが言った。
「傷が完全に治るには、少し時間がかかると思うが…とりあえずは大丈夫そうだな…意識も戻った事だし」
それを聞いて、僕らはホッと安堵の溜息をついた。
「だから、安心して行ってこいよ」
エルンが…僕とカイトに向かって言った。
「…」
「えっ」
「俺が看てるから…心配するな」
「でも…」
共に戦ったレオが、こんな状態なのに…
僕らばっかり、相手のステーションに遊びなんて行っていいんだろうか…
エルンは続けた。
「楽しみにしてたんだろ?…特にカイトが」
「…っ」
カイトは、顔を赤くした。
ジョシュアも言った。
「行っておいでよ…僕もここにいる…もともと僕らは行く予定なんて無かったし…何も気にしないで楽しんできてよ」
「…」
レオも、僕らを見上げて…
力無く笑いながら頷いていた。
しばらく顔を見合わせた僕らは、やがて小さく頷きながら、
「わかった…行ってくる」
「ありがとう、エルン、ジョシュア…レオをよろしくお願いします」
「うん…いってらっしゃい」
そして僕らは扉に向かった。
「あ、リューイ…」
エルンが僕を呼び止めた。
「…その…あの…」
彼らの前で、言うのを躊躇っている様子のエルンに向かって、僕はニヤッと笑って言った。
「例の件は、ヴィンセントさんにお願いしました」
「ほ、本当か!」
「ヴィンセントさんに選んでもらって、僕が運ぶ約束をしてありますから…安心してください」
「そうか…あ、ありがとう」
「レオを頼んだぞ」
「任せといてくれ!」
僕らは、エルンに見送られて部屋を出た。
そして再び最上階に戻った。
ウィルフリードとマテルの…思い出のステーションを訪れるために…




