⁑思い出の交流の前に(2)
…見えた!
ほどなくソードくんの先から、赤い導線が…肉眼では何も見えない暗闇に向かって、細く長く伸びていった。
そして…そこから、目にも止まらぬ速さですっ飛んできた攻撃に向けて、僕はソードくんを発射させた。
ドカーーーン…
「あ、あたった…」
何とか…ステーションに到達する前に、無事撃ち落とす事が出来た。
ドカーン、ドカーン…
僕より先に要領を得たカイトは…テンポ良く、次々とそれらを撃ち落とした。
「出所が見えて来ないな…」
「一体いつまで続くんだろう?」
同じく、何とか導線を掴んだレオとジョシュアが、不安気に呟いた。
と、僕らの耳に…リカルドの声が響いた。
「本体が迫ってきた…気を付けろ!!」
「…!!!」
その言葉を頭が理解するより先に…相手の戦闘機的なものが、僕らの肉眼に映った。
映ったと思うが早いが…群れを成したそれは、恐ろしい勢いで大きくなっていった。
中に人はいるのか?
それを確認する暇もなく、その群れから雨のように攻撃が降り下りてきた!
「…つ」
「…とにかく撃ち落とせ!」
若干怯んだ僕らに向かってカイトが叫んだ。
それしか無かった。
僕らはとにかく撃ちまくった。
僕らの反撃を交わして、幾つものレーザーや弾丸がステーションにあたったが…包囲された守備力のおかげで、ダメージを受ける事は無かった。
僕らの攻撃を受けた戦闘機は、まるであの、訓練のVRゲームの敵キャラのように、シュッと跡形も無く消えていった。
やっぱり…人はいないんだろうか…
あの黒いステーションのように、機械そのものが意思を持って動いているんだろうか…
頭の隅でそんな事を考えながらも、僕は必死にそれらを撃ち落としていった。
「今見えてるヤツらを片付ければいいのか?」
息を荒げながら、カイトがリカルドに訊いた。
「だいぶ数がいるけどねー」
「了解よ!」
それからのカイトは、まるで1段階レベルが上がったように、俊敏な動きで相手の攻撃を交わしながら、怒涛の勢いで攻撃を放っていった。
僕も負けてはいられなかった。
ソードくんの力を借りて、1度に複数の導線に向かい…テディと本物の力を借りて、波動砲並みの光を撃ち放った。
「リューイ…すごい…」
思わずそう呟いたジョシュアに、一瞬の隙ができた。
「あ…危ないっ…」
思わず叫んだレオが、彼の身体を突き飛ばした。
「うわああっ…」
次の瞬間…眩しく光るレーザーが、一直線にレオの身体を突き抜けた。
「レオーーっ!!」
バターンと倒れたレオに、ジョシュアが駆け寄った。
ダメだ、危ない…
あのままだと、2人ともまた、あたっちゃう…
横目でそれを見ながらも、攻撃の手を休める事ができなかった僕は、心の限りに叫んだ。
「ウィルフリードーー!!」
次の瞬間…2人の姿が、そこからシュッと消えた。
よかった…
「レオ…レオーっ」
動かなくなって、胸からドクドクと血を流すレオを抱きかかえて、ジョシュアは泣きながら叫び続けた。
「僕のせいだ…僕がうっかりボーッとしたから…レオ、しっかりして…レオーっ…」
「落ち着けジョシュア!」
ウィルフリードが冷静に続けた。
「お前の治癒力を、最大限に使え…」
「…っ」
泣きじゃくるジョシュアは、必死に気を取り直しながら…ガタガタと震える手を、レオの胸元の傷口に翳した。
「…レ…オ…」
その場にいる誰もが…息を飲んで、その光景を見守った。
レオの出血は、なかなか止まらなかった。
ほどなく、エレベーターから、ルイスとヒューが駆け降りてきた。
ウィルフリードは、彼らに言った。
「すぐに上に行ってくれ」
「了解!」
レオとジョシュアの代わりに、ルイスとヒューが現れたのを見て、僕はホッとした。
「応戦する」
「あ、ありがとう…」
彼らはすぐに要領を得ると、相手方の攻撃を身軽に交わしながら、凄まじい勢いで、それらを撃ち落としていった。
それでも、頭上を行き交う相手方の戦闘機軍団の数は、最初に比べたら、だいぶ減っているように見えた。
そのうちに…足元を包囲していた守備膜が…ときどきユラユラと、霞んでいくのが目に映った。
「もうちょっとだ…頼む…持ち堪えてくれ…」
リカルドの呟きが聞こえた。
守備力が…弱まってきてるのか…?
と…そう思った、僕の中の本物のコアが…今までに経験した事がないくらいに、激しく打ち震えた。
な、何だ…?
それは、僕の身体の中で、グルグルとパワーを溜め込んだと思うと…そのパワーをじわじわとソードくんに移していった。
「…うううっ…」
僕はその身体の中の衝撃に、必死に耐えた。
ぐんぐんとチャージされるように…ソードくんが、目が眩むほどに輝きを増していった。
(今だ!)
頭の中で、誰かの声が響いた。
僕は、突き動かされるように…渾身の力で、それを空に向かって振り翳した。
「はあああーー!」
満タンにチャージされたソードくんから、まるでトルネードのように大きな円を描きながら、青い光が巻き上がった。
「…!!」
そのトルネードは、辺り一面の空いっぱいに広がったかと思うと…そこらに残っていた、相手の戦闘機を、一気に一網打尽にしていった。
ドガガガーーーン…
ソードくんから放たれた光と、複数の衝撃音で…辺りは一時騒然となった。
カイトも、ルイスもヒューも…思わずポカーンと立ちすくんで、その様子を見据えた。
それらは徐々に終息して…ほどなく辺りは、何事も無かったかのような静けさに包まれた。
「…すごかったね…」
ルイスがヒューに言った。
「あんなのが出せるようになったなんて…」
「…前のリューイより、強くなったんじゃないか?」
「…うん」
(あれが…本物の力か…)
カイトは、眉間に皺を寄せながら僕を見つめた。
(おそらく…本物だけの力では、あそこまでのパワーを出す事は不可能だったんだろうな…)




