⁑思い出の交流の前に(1)
キーファー社製の、背負うタイプの守備力発生機の完成を待たずして…次の交流の日がやってきた。
今回も、前回同様に長時間の交流なので、途中で警備を交代しての…乙女なカイトの夢を叶える予定にしていた。
僕は、少しワクワクしながらその日を迎えた。
いつものように訓示を終えて、最上階へ移動し…僕らはいつもの様に、相手のステーションの到着を待っていた。
専門チームの中に、フリッツの姿があった。
彼は僕を見つけると、にこやかに手を振りながら、こっちへ駆け寄ってきた。
「…リューイ、こないだはありがとう」
「フリッツさん…えーっと…」
ちょっとばかり小っ恥ずかしかったけれど…僕は、例の決め台詞を使ってみた。
「調子は…どうですか?」
実際、彼の進化の調子も聞きたかったし…
「すごくいいよ!…あの音のおかげで、力がどんどん強くなっていくのが自分でも分かる!」
「そうですか…よかった…」
「見えてきた…」
モニターを見ていた、他のメンバーの声が響いた。
「じゃあ、また後でね」
「はい」
フリッツは、また手を振って…僕から離れた。
「いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
並んで外へ向かいながら…カイトが僕に訊いた。
「えっ…」
僕は…うっかりドキッとしてしまった。
「いや、あの…例のコア部屋改修の件で…」
思わず、何となくドギマギしながら、僕は答えた。
「そっちは順調なのか?」
「あ、うん…フリッツさんと…あとまたキーファーさんとリドリーさんが、頑張ってくれてる」
「またあいつらが駆り出されてんのか…」
「…」
カイトが、全く何も気にしていない様子なのを見て…僕はホッとした。
そして僕らは、いつものように…外の配置についた。
相手のステーションが、そろそろ肉眼でも見えていい時間だった。
と、そのとき…
「邪魔が入った!!!」
驚いて振り向くと…勢いよくエレベーターを降りてきたリカルドが、血相を変えてバタバタと走ってきた。
そして、専門チームの面々を掻き分けてモニターの前に陣取ると、カタカタと両手でキーを押した。
「本当か?」
彼の背後から、ウィルフリードが訊いた。
「まだモニターにも映ってないけど…ものすごいスピードで急接近してる…」
「…油断したな」
「そりゃーするよ、あのステーション相手に、邪魔が入った事なんて…過去に1度も無かったんだから…」
「直ちに戦闘体制を取る!」
ウィルフリードが叫んだ。
一気にその場は、騒然となった。
「武器を、持ってこれるか?」
カイトが僕に言った。
「うん」
頷くが早いが…僕は、4人分の武器を…彼らの手元に、シュッと持ってきた。
「あ、ありがとうリューイ」
「…流石だな」
僕は、自分のソードくんをギュッと握りしめた。
ソードくんが、キラッと光った。
「来るぞー!」
リカルドの声が響いた。
「上に行こう」
カイトに言われて、僕はまたすぐに、4人の身体をステーションの…屋根の上に飛ばした。
…たぶん、屋根とは呼ばないと思うけど…
肉眼では、まだ見えないなと…思った矢先に…
まるで、どこからとも無く現れたくらいの超スピードで、レーザーのようなものがすっ飛んできた。
ドカーーンッ!!
「うわあぁっ…」
それは見事に、その屋根の…僕らのすぐ傍に命中した。
「どっから飛んできたんだ!?」
「全然見えなかった…」
ドカーンッ!
思う暇もなく…また次が飛んできた。
ヤバい…見えない
僕は必死に、頭の中のメロディーを聞きながら集中した。
そこで僕は大変な事に気付いた。
今日は誰も、イヤホンを着けてないじゃないか…!?
僕は慌てて、他の3人に向かって叫んだ。
「自分の…あのイヤホンを思い浮かべてください!」
「えっ…!?」
「何だって?」
「持ってきます!」
叫びながら僕は、必死に彼らに向かって念を送った。
事の次第をいちばんに理解したカイトの耳に、シュッとイヤホンが装着された。
「あ、ああ…そういう事か」
「わ、わかった」
遅ればせながら、レオとジョシュアの耳にも…それが現れた。
ドカーーンッ!!
そうこうしているうちに、再び僕の足元スレスレの所に、攻撃がすっ飛んできた。
「リューイ!!」
「…っ」
僕はギリギリのところで身体を交わした。
「大丈夫か!?」
「ふうー…何とか…」
…と、そのとき…足元の、要は屋根部分に…ユラユラと、陽炎のような仄かな光が現れた。
それは徐々に、そこかしこに現れ、薄い膜を張るように…ほどなくステーションの外側全体を覆っていった。
「また…皆が守備力を発揮してくれてるんだ…」
ジョシュアがポソッと呟くように言った。
「…っ」
僕らは顔を見合わせた。
「とにかく…集中していこう」
カイトの言葉に、皆が頷いた。
ドカーンッ…
少し離れたところに、またも攻撃が命中した。
僕は、背筋を伸ばして…ソードくんを、それが飛んできた方向に向けた。
そして、必死に集中しながら…
頭の中に…カイトも加わったメロディーを響かせた。




