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【サラケスへ】

ロレン「サクラちゃん。シグレは?」


サクラ「それが、ロブランさんと4階に行って戻ってきてないんです。」


アージア「あっ、来たよ!」

「ゴメンゴメン。お待たせ。じゃあ行こうか!」


ファビアナ「じゃあな!」


「後は宜しく頼む。ロブランもよろしくな!」

ロブラン「おう。任せておけ!」


 昨日の夜、クランハウスで夕食を取った俺達は馬車から大門屋敷に転移した。

 改築した露天風呂に入りたかったからだ。


「この露天風呂は大成功だな!」


サクラ「そうですね。魔石灯の灯りが良いです。」

 サクラが言っているのは、岩の陰においた魔石灯のことだ。


 ピノムに置かせた大きさも形も不揃いの岩の陰に魔石灯をしこんだ。内風呂の魔石灯と紐付けしているので、内風呂の灯りを付けると暗い夜空の下、魔石灯が露天風呂を囲むように光り照らしている。

 演出効果がバッチリだ。


アカネ「これが温泉ですか。」

ナナイ「確かに魔石のお湯とちょっと違うわね。」

ツバキ「気持ちが良いですね。」

ボタン「なんかホッとする。」

フジナ「少し熱めですね。」


「今日はちょっと熱めにしてみたんだ。だから体が熱くなったらこうして湯船の縁に座って外の空気を感じるのさ。」


―― ザバッ

「あーーー。気持ち良い~!」


―― ザバッ

シユナ「本当ですね。気持ちが良いです!」


 全員で湯船の縁に座り、そよそよと流れる風を体感する。


エリザ「これはシグレの世界の温泉の楽しみ方なのか?」


「ん?まあ、誰でもじゃないが温泉好きはこんな感じかな。

 こうなるとクランハウスのお風呂もどうにかしたいな?」

サクラ「お好きにどうぞ。」


ナナイ「ねえ旦那様。明日は早いからもう一度温まったら寝室に行かない?」

「はい!行きます!」

 元気に挙手をして応えた。


エリザ「即答じゃな!」


 と言う流れで、朝食を食べ終えた俺は出発の準備をサクラ達にまかせ、ロブランとギリギリまでクランハウス4階の改築を行っていた。どんな改築かは乞うご期待だ。




 セグルドを8時に発ち、俺達は順調に馬車を走らせていた。

 ティナ達の馬車も昨日ロブランに足回りを強化して貰ったので、俺達はバトルホースのスピードを十分に発揮して進んでいた。


 ロブランオリジナルの馬車は車軸周りが強化され、板バネの効果も加わり通常の馬車よりはるかに振動が少ない。そこにブラトップのカップ部分に使っているフォレストメンダーの羽を支える軟骨を輪っか状にしてタイヤ代わりにロブランに取り付けさせてみた。結果は大正解のようだ。もちろん俺が劣化防止と腐食防止を掛けたことは言ってない。


ロレン《シグレ聞こえるか?馬車の振動が一段と無くなったぞ!》

ティナ《シグレ様。凄いです!こんな速度で馬車を走らせたことがありません!》

《なら予定通り最初の休憩はマルド村で取ろう。》



 予定通り俺達は10時前にマルド村に入った。

 いつもなら面倒になりそうな村を避けて休憩を取るんだが、今日敢えてマルド村で休憩にしたのには訳があった。


ロレン「シグレ!あそこ。」

シグレ「ああ、体は大丈夫そうだな。」


 俺とロレンが見に来たのはあの時の猫人族のデュラト聖教信者だった女だ。

結局彼女は詳しいことは何も知らされていなかった。それならとエイステンは故郷に帰そうとしたらしいが本人が帰りたがらなかったらしい。


 エイステンが対応に困っていると、働いていたときの印象が良かったのかマルド村の宿屋から引き取りたいという申し出があり住み込むことになったそうだ。

 因みに彼女はデュラト聖教の信者を止めている。と言うか、元々信者だったわけでは無く本人曰く気づいたら信者にされていたらしい。


 俺がこの猫人族の子を見に来た本当の理由はあの時掛けた【浄化】がブルーのような薬物にも有効かを確かめたかったからだ。


「薬が抜ければ助かることは解った。行こうか。」



 マルド村を出発した俺達は昼食と休憩を挟み4時にはコルの街の20km手前まで来ていた。


「ロレン。丁度良い場所があったな。今日はここで野営にしよう。」

 俺達は街道脇に丁度良い平地を見付けそこに馬車を止めていた。


ロレン「了解だ。みんな、夕飯の用意を始めてくれ!」

「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」


「ロレン、ティナ、これを渡しておく。」


ティナ「シグレ様、今度は何ですか?」

「ティナ、今度はって・・・まあそうだけどさ。これは野営用の結界の魔道具だよ。唯ちょっと効果が普通と違うだけだから。」


ロレン「そのちょっと違う効果って?」

「まずこれ1本で十分な効果がある。そうだな半径20mくらいかな。馭者台の横にでも刺して使ってくれ。」


ロレン「俺も持ってるが普通は10mが限界だよな。」

ティナ「まずって言いましたが、他にもあるんですか?」

「ああ、この結界の魔道具は人にも有効なんだ。」

「「はぁ!えっ!」」


ティナ「そんな・・・結界の魔道具の認識阻害は魔物にしか効かないはずでは?」


「まあ今更だから言うけど、俺は人にも有効な認識阻害の魔法を使える。それをこの結界の魔道具に付与してる。」


ティナ「はあ・・・もう常識がどうでも良くなってきました。」


ロレン「そう言えば前から気になってたんだがシグレは付与魔法が使えるのか?」

「あれ?話してなかったっけ?」


ロレン「ちゃんとは聞いてない。話の端々でそうなんだろうとは思ってたけど。なあ、俺の黒銀の剣にも何か掛けてないか?」


「あれ!それも言ってなかったっけ?【筋力強化】と【俊敏強化】が掛かってる。他の剣と違う1点物だぞ。」


ロレン「やっぱりな!初めて持ったときから何か違うと思ってたんだ。」


「なんだ、気に入らないなら返せよ。」


ロレン「気に入ってるよ!あんな良い剣手放せるか!」


「ははは、この結界の魔道具を使えば見張りはいらないから。ゆっくり休んでくれ。」


ティナ「解りました。それと明日ですが、予定通り半日この辺で狩りをして午後にコルの街ですね。」


「ああ、うちの嫁達も狩りをしたがってるからね。」


ティナ「うちの嫁・・・良いな・・」

「えっ?なんか言った?」


ティナ「いいえ何でも無いです。では明日は8時集合と言うことで。」

「「了解!」」


 馬車を車座に止め一緒に夕食を食べた後それぞれの馬車でゆっくり休んだ。

 もちろん我が家の夜は平常運転だ。




サクラ「シグレ様。この先にブルベアが1匹です。」


「1匹か。誰が行く?」

フジナ「私が!」

「任せた!」


「グアーーーー!」

―― シュン! パチン! ゴロ!

 ブルベアの首が転がり落ちた。


「フジナの居合いも随分な腕になったよね。」

フジナ「そうですか?シグレ様にそう言って貰えると嬉しいです。」


サクラ「シグレ様。少し距離がありますがブルベアが2匹。右手、あの草むらの向こうの木の間です。」


「アカネ、シユナ。見えるか?」

「「はい!」」


「2人に任すよ。」

―― シュ!シュ!シュ!シュ!

 俺が言った瞬間に4本の矢が飛んでいく。


ツバキ「仕留めましたね。」

「じゃあ回収に行きますか。」


 俺達は朝から四つ足の森に入り狩りをしていた。

 うちの嫁達は中々に武闘派らしく街に3日も居れば狩りがしたくなるらしい。

 それならとコルの街で簡単な依頼でも受けようと提案したらコルでは別な用事があるらしく今日の狩りになった。

 まあコルの街の用事ってのもおおよそ見当は付くけどね。


ティナ《ツバキさん。ロレンさん。聞こえますか?》

ツバキ《聞こえますよ。ティナさん。》

ロレン《ああ聞こえてる。何だティナ?》


ツバキ「旦那様。ティナさんからです。」

 ツバキからアクリフォンを受け取る。

ティナ《グラスタイガーがいます。それも3匹。こちらに来ていただけますか?》


《すぐ行く。そこを動かないでくれ。》

ロレン《俺達もすぐ向かう。》


 アクリフォンを頼りにティナのところに向かった。うん。中々使える機能だ。自分を褒めよう。



「ティナ!」

ティナ「シグレ様。300mほど先にいます。斥候のロゼルが見付けたんですが、獲物を食べているそうです。」


ロレン「シグレ、ティナ!」


「ロレン。この先にいるらしい。」

ロゼル「3匹居ましたが、1匹大きいのが獲物を食べている2匹の後ろで様子を見てました。」


「ナナイ、グラスタイガーってどんな奴なんだ?」

ナナイ「成体は3m位の大型の魔物よ。全身が筋肉で俊敏。そして厄介なのが名前の由来になった毛並みね。緑色の斑模様でこういう草木の中だと消えたように同化するのよ。」


「迷彩色か。じゃあ此処で戦うのは不利か。」

ロレン「来る途中に少し開けた場所があった。そんなに遠くない。」

サクラ「シグレ様!動きました。どうやら私達に気づいたようです。」


「よし引きつけてる間にそこに移動しよう。引きつけ役は俺とロレン、ティナ!いけるか?」

イデリナ「ま、まて!危険だ。私がやる。」


「どうするティナ?やれないならイデリナと代われ。」


ティナ「私がやります。イデリナ!メンバーを頼みます。」

イデリナ「ティナ様!危険です!――」

ティナ「私は強くならねばいけないんです。それに、シグレ様もロレンさんもいるんですよ。大丈夫です。」

イデリナ「しかし・・・」


「カタリナ、その場所まで先導を頼む。紫蘭玉樹はレナスの疾風の後ろ、その後をヒイラギだ。ナナイ。殿を頼む。」

ナナイ「任せて。」


サクラ「シグレ様!近づいてます!」


「良し!迅速に動け。ロレン、ティナ。一旦逆に振るぞ!」

「「おう!はい!」」



―― ガンガン! 骨喰を抜いて木を殴りつけた。ロレンも剣を抜いて木を叩いている。


―― ガサガサガサ・・・


「確かに3匹。俺の気配探知でも解る距離に近付いてる。」


グラスタイガー レベル58 雌

グラスタイガー レベル41 雄

グラスタイガー レベル40 雌


『1匹だけ異常にレベルが高い・・・子育て中か!』


ロレン「どうだ?付いてきてるか?」

「ああ、数が少ない俺達から襲うつもりらしい。鬼ごっこの開始だ。」


 俺達3人は他のメンバーと反対方向に走り、そこから大きく迂回するようにみんなが向かった場所を目指す。


―― ガザッザザ・・・

「流石に森の中は奴らの方が早い!ティナ走りながら【氷針】を撃てるか?」

ティナ「やります!」


「右側に合図をしたら撃て。・・・・いまだ!」

ティナ「【氷針】」

―― バスバスバス・・・


「左にも!」

ティナ「【氷針】」

―― バスバスバス・・・


「ロレン!此処からは最短で行こう!」

ロレン「了解だ!ティナ。大丈夫か?」

ティナ「舐めないでください!」

「「ん。良し!」」



―― 森の中 開けた場所 ――


イデリナ「ティナ様・・・」

ナナイ「イデリナ。信じなさい。」


イデリナ「そうだな。シグレ殿が一緒だった――」

ナナイ「違う!あなたのリーダーを信じるの!誰より貴方がティナちゃんを信じてあげなきゃダメよ!」

イデリナ「ナナイ・・・」


サクラ「来る!後50m!・・・・・20m!」

ナナイ「パーティーごとに広がって!」


―― ガサガサ ザンザン・・・ガサッ!


ロレン「出た!」

 ロレンを先頭に右後ろに俺が、左の後ろにティナが続いた。


「走れティナ!」

ティナ「はい!」

 しかし、ティナの後ろに若いグラスタイガーが1匹迫っていた。


ティナ「シグレ様、ロレンさん先に行ってください!」

 突然ティナが後ろを振り向いた。


ティナ「【氷針】」

 迫ってくるグラスタイガーに【氷針】を放つ。

―― バスバスバス・・・ガン!


「ガン?なんの音だ?」


 大きな音の中大盾の中に身を隠すように支えているティナがいた。


「ガ・・・ガウ・・」

 頭を強打したグラスタイガーが止まっている。


「ティナ!」

ティナ「はい!大丈夫です!」

 大盾をポーチに収納したティナが再び走り出していた。


「やるな!」

ロレン「ああ、見直した!」

ティナ「でも腕がジンジンしてます。」


大変励みになりますので評価やブクマを宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 大変面白くて、時間を忘れるぐらい読ませていただきました。
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