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【錬金日和】

「ふーーー!朝風呂は良い!このフレーズも何度目だろうな?」


―― カラカラ・・・


サクラ「おはようございます。旦那様。ん・・・」

「ん・・・おはよう、サクラ。みんなは?」

サクラ「もうすぐ来ますよ。」


―― カラカラ・・・

「「「「「「「おはようございます!」」」」」」」

「おはよう!」


エリザ「シグレ。6日に1回じゃなかったのか?」

「えっ?」


エリザ「2日も続けてあんなに何度も・・・」

「それはみんなが魅力的なのが悪い!俺のせいじゃない!」


エリザ「何じゃその言い訳は!」

サクラ「エリザ。私達がしっかりお相手しないと娼館に行かれちゃいますよ?」


エリザ「シグレ!妾達妻がおるのに娼館に行きたいのか?」

「えっ?昨日ハノーク達に誘われたけど行く気は無いよ。」

エリザ「ならいいが、浮気もお遊びもゆるさんからな!」


アカネ「ハノークさんですか。」

ツバキ「釘を刺しておかないと。」

フジナ「ガッチリとですね。」

シユナ「最初が肝心です。」

ボタン「恐い・・・」

 あっ・・・ごめんハノーク。


 因みにハノーク達赤い連檄の男3人がうちの嫁と話を聞きつけたロレンの嫁達に囲まれて泣かされたのは朝食の後だった。


ナナイ「シグレくん、今日はどうするの?出発は明日でしょ。」

「そうだった、今日は大門屋敷で色々やりたいことがあるんだ。」

ボタン「シグ兄、私も行きたい!」


「どうする?みんなも行く?」

「「「「「「「「はい!は―い!」」」」」」」」




「おはよう!エルネスさん。」

「「「「「「「「おはようございます!」」」」」」」」


アンマリー「あら、おはようシグレちゃん!」

「えっ・・・」


 驚いた!振り向くとアンマリーがリビングで優雅に珈琲を飲んでいた。


アンマリー「エルネスにお願いして、お先にこの珈琲いただいちゃった!」


「な、なんで此処にいるんだ?」


アンマリー「え~~良いじゃない!此処雰囲気がとっても良いし、この珈琲が気に入っちゃったんだもの。ウフ。チュ!」

「チュ!は止めろ!チュは・・・」


ティナ「おはようございます!・・・シグレ様、この方は?」

「「「「「お・・・・・はようございます・・」」」」」」


「えーとこの人は――」

ファビアナ「ふぁ・・・おはようシグレ――ビクッ!だ、だれだ?」

アニス「おはようシグレくん・・・誰?」

「「「おはようーっす・・・お、おはようございます!アンマリーさん!」」」


アンマリー「おはよう!貴方が赤い連檄のファビアナちゃん?」

ファビアナ「あ、ああそうだ。あんたは?」


ロレン「おはよう!ってアンマリーさん?おはようっす!」

「「「「おはよう・・・ございます。」」」」


 その後、アンマリーを紹介すると女達はアンマリーを囲んで女子会トークに花を咲かせ始めた。

 筋肉マッチョのおネエは女子の心を掴むのが上手いらしい。ファビアナだけは元A級と聞いて憧れと尊敬の目をギラつかせてたけど。


ティナ「シグレ様。シグレ様は明日サラケスに帰るんですよね。」

「そのつもりだけど。」

ティナ「私達もご一緒して良いですか。」


「構わないけど・・・ティナの馬車はバトルホースだよね?」

イデリナ「我らは馬には手間とお金を惜しまん。」


「ロブラン!」

ロブラン「何じゃ?」


「頼みがある。ティナ達の馬車の車輪と車軸をロブランオリジナルに改良してくれないか?」

ロブラン「構わんぞ。半日あれば出来る。」


ティナ「何か違うんですか?」

「車軸が丈夫になるからバトルホースのスピードを活かせる。それにロブランはバネを付けるから振動が減るんだ。」

イデリナ「振動が減るのか?それは助かる。」




エリザ「此処は・・・ウリアスの大森か?いや、まだ入り口じゃな。」


「エリザ、頼りにして悪いんだけど色々頼みたいことがあるんだ。」

シユナ「エリザ。旦那様のお願いを聞いてあげてくださいね。」


エリザ「いまさらじゃ。直接の頼みはシユナからしかきけんが、嫁が夫の頼みを聞くのは仕方なかろう。」


「頼りにしてるよ、奥さん。」

エリザ「ふん。・・・で何をするんじゃ?」


「まずは此処に庭を造りたいんだ。」


 午前中は馬車に籠もるとクランの連中に伝えて俺達は大門屋敷に来た。

 ティナ達は侯爵の屋敷に挨拶に出かけ、赤い連檄とレナスの疾風は西の森にボア狩りに出かけた。ファビアナが定期的に契約している依頼が有るらしい。


 大門屋敷で最初に取りかかったのは屋敷の裏の庭造りだ。


「木を切り倒したら整地できるか?」

エリザ「切った木は何かに使うのか?」


「当面はないな。俺の収納に入れて何か考えるよ。」

エリザ「なら、切る必要は無かろう。どれ・・・」


―― ズ、ズズ、ズズズ・・・

 エリザが手を差し出すと木々が動き出した。ズシンズシンと根っ子で歩くわけじゃなく、ズズズっと根が地中を這うようにどんどん奥に進んで行く。

 あっと言う間に野球場ほどの平地が出来た。


「相変わらず無茶苦茶だな・・・」


エリザ「何じゃ無茶苦茶とは!必要も無いのに切るのはしのびないからの。それに奥に密集させたから塀の役目もするじゃろ。」


 奥に進んだ木が寄り集まり、さながら野球場のバックスクリーンのような壁に見える。


「フジナ。薬草園を作るならやっぱり温室が良いのかな?」

フジナ「そうですね。薬草は温度の変化に敏感な物が多いですから小屋の中のほうが管理は楽です。」


「そうか。なら薬草園は材料を探してからだな。

 エリザ、アデラの葉を頼む。」


エリザ「そうじゃったな。前払いで貰っておった。・・・」


「「「「「「「おおおーーー」」」」」」」

 あっと言う間に1本の白い木が地面から生えてきた。葉も着いているが数は多くない。


「白樺みたいだな。フジナ。この葉で良いのか?」

フジナ「はい間違いありません。」


「良し!じゃあこれで昨日言った脱毛クリームを作ってくれ。」

フジナ「脱毛クリーム?」

「毛を抜く軟膏をそう呼ぶんだ。」

フジナ「頑張ります!」


「次は、サクラ。此処の3分の1を畑にしようか?」

サクラ「良いんですか?」

「ああ、屋敷の前は草花の方が良いだろうから奥の方に作って貰おう?」


エリザ「畑か。なら、ピノム!――ポン!」

ピノム「んー、おはよう。エリザ様。」


エリザ「おはようピノム。こやつは土の最高位ピノムじゃ。土をいじるならこやつじゃ。」

「宜しく頼む。エリザ、サクラと場所を決めて畑にしてやってくれ。俺は中でやることがある。」


 屋敷の中に入って俺とツバキ、アカネ、フジナは地下室に向かった。ナナイとボタンはキッチンにいる。最近外食した中で美味しかった物を自分たちなりに作ってみるそうだ。


 地下室の錬金部屋の隣の部屋に実験器具が並べられている。大門が研究に使っていた場所らしい。


「フジナ、アカネ。ここは自由に使って良いよ。アカネはフジナに色々教えて貰うと良い。」

「「はい!」」


 セグルドで買ってきた道具を収納から出して並べていく。今更だが結構な量だった。


「さて、俺も始めますか。」

 今日は思いつくまま時間の許す限り錬金に勤しもうと決めている。


ツバキ「珈琲をお持ちしますね。」

「頼むよ奥さん!」


ツバキ「そうやって・・・ずるいです。」

 顔を赤くしたツバキがパタパタと駆けていった。


「まずはこいつの改良だな。」

 俺が出したのは嫁達に付けてあげた転移のゲストリングだ。少し改良したいと言って預かった物と俺のも含めて9本を目の前に出した。


「その前に確認だな。【転移】」



エリザ「サクラ。畑の広さはこんなもので良いのか?」

サクラ「はい。1度に広くしなくても良いと思います。」

「そうだね。」

「「「きゃ!なんじゃ!」」」


シユナ「いつ来たんですか?」

「いま転移してきた。吃驚した?」


サクラ「脅かさないでください!」

エリザ「転移?シグレ、これ見よがしに右手を上げてるが転移の指輪はどうした?」


「気づいた?付けてないよ。付けずに転移できるか試したんだ。それじゃ!」

エリザ「おい・・・行ってしまいおった。」


「よっ!」

ツバキ「どちらに行かれてたんですか?」


「ちょっとサクラのところにね。ツバキ、リング無しでも転移出来たよ。」

ツバキ「それは良かったです。珈琲を置きますね。」


「ありがとう。でも転移の指輪がないと魔力の負担を感じるな。」


 【時空間魔法】を取得してリング無しで転移できることは解った。ただし、転移の指輪をしてるときに感じなかった魔力の消費が解った。

 転移の指輪が魔力を補っていると考えてあらためて解析鑑定で詳しく調べると、転移の指輪に小さく加工された魔導石が仕込まれているのが解った。


「なるほど。魔導石はこういう使い方も出来るのか。」


 マスターリングとゲストリングの違いは、そもそも【転移】が付与されているのはマスターリングだけで、ゲストリングは転移時にマスターリングとリンクして魔力を補っていたらしい。

「なら、このままゲストリングに転移を付与すればマスターリング無しで転移できるな。」



「転移付与!―― 良し!解析鑑定―― うん。転移が付与できてる!」

 ゲストリングのデザインを変更し、転移を付与した指輪を8本作った。


「指輪はこれで良いな。次は・・・ツバキ!」

ツバキ「はい!」


「わっ!吃驚した・・・ずっとそこに居たの?」

 後ろからツバキの声が聞こえ振り返ると、椅子に座ったツバキがニッコリ微笑んでいた。


ツバキ「ずっと居ましたよ。」

「ごめん気づかなかったよ。」

ツバキ「良いんです。こうしてるのが私の幸せですから。お話しは何ですか?」


「ああ、向こうの倉庫に透明な板がなかったかな?」

ツバキ「・・・ありましたね。見た気がします。」


 ツバキと倉庫部屋に行き売り物にしなかった物が並べられている棚を見ていく。これが数があるので結構大変な作業になる。


「えーっと・・・」


ツバキ「旦那様。これですか?」

「それそれ!」


 ツバキが見付けたのは日本のアクリルにそっくりな透明な板だ。だがよく見ると薄らと何かの羽の様な筋が見える。

「質感はアクリルだよな。・・・あれ?これ裏返すと乳白色だ。反対からだと透けないのか。これはラッキーだ!」


 実はこの板の素材はフォレストメンダーの内羽だったりする。内羽を上下を変えずに重ねるとガラスより軽く衝撃や熱耐性があるアクリルのような板になる。物は非常に優秀だが、これも素材の採取を嫌がって大門は使っていなかった。


 黒い奴のアクリル板を収納に入れてツバキを連れて裏庭に出た。奥のほうでサクラ達が畑を作っている。


「このへんで良いか。」

 屋敷を背にして右手側、エリザが作った木の塀の前に次元収納で増やしたFMフォレストメンダーアクリを積んでいく。


「このくらいかな。」

ツバキ「何をするんですか?」

「まあ見てて。」


 FMアクリに手を添えて、頭の中で以前ネットで見たアメリカのお洒落な温室をイメージして錬金を始める。

 FMアクリがグニャグニャうねりながらイメージを形にしていく。

 暫くして5m×10mほどの家型の温室が建ち上がった。


「どうだ!FMアクリの温室だ!」


 この温室、FMアクリの一体成形なので扉以外に繋ぎがないのだ。そして、FMアクリの特性を活かし外からは乳白で中は見えない。逆に中は外から光を取り込める。入り口は前後に2カ所。中には物が吊せるようにわざと梁を作り柱も立てている。


サクラ「凄い!なんですかこれは?」

 畑から何事かとみていたサクラ達がやって来た。


「ああ、薬草の温室ってとこかな。」

エリザ「こんな物を作れるのか?シグレこそ無茶苦茶ではないか!」


「そうだエリザ。ピノムはもう帰った?」

エリザ「何じゃ?用があるならまた呼ぶぞ。」

「頼む!これからが本番なんだ。」


 さて、俺の言う本番というのはお風呂の改造だ。

 パーティーボックスの露天風呂を知ってしまうとやっぱり大門屋敷にも露天風呂が欲しい。と言うことでお風呂の改造を決意した。

「先ずはこの壁を解体だな。」


 お風呂の壁に両手を添えてくり抜くイメージをすると・・いけた!壁を解体出来た!

 そこに、新たにFMアクリで外側を乳白にして中が見えない壁を取り付ける。外に出る扉は引き戸にして取り付けた。


 扉から外には濡れても滑らない石をピノムに敷き詰めて貰い、その先にエリザから素材として貰っていたヒイロ木――臭いが同じだから檜だと思うんだよな――の原木を加工した檜風呂ならぬヒイロ木風呂を設置した。

 趣を出すために木で庇を作りFMアクリの壁から湯船の半分ほどまでを覆う。湯船の周りには、ピノムに適当に岩を置いて貰い隙間をエリザに植樹をして貰った。

 最後に竹のような植物で柵をまわして貰う。まあ此処には誰も来ないけど柵で囲んだ方が風情が出るからだ。


「おおー良い雰囲気だ!後はお湯の引き込みか。配管が必要だな。」

ピノム「んー、下からお湯を出せば?」


「温泉か。出れば良いけどな。」

ピノム「んー、此処出るよ。」

「えっ!そうなの?」


 ピノムが手をクイクイっと動かすと地面からジワッと湯気が上がり湯船の脇に温泉が滲み出て来た。

「おおー念願の温泉だ!」


 湧き出し口をFMアクリで成形して固め、隣にお湯の調節用に水魔法を付与した魔導石を仕込んだ蛇口を取り付けた。

 湯船には石の隙間からお湯が湧き出ているように見える取り入れ口を付けておいた。

 溢れ出たお湯や体を洗った廃水を何処に繋がっているか解らない屋敷の下水に流れるようにして出来上がりだ。


「おおおーーーー!やればできるもんだな!」


ナナイ「ねえ、そろそろお昼に・・・なにこれ!」

ボタン「わー凄い!シグ兄が作ったの?」


 やって来たナナイとボタンが驚いてる。鼻が高くなりそう。


大変励みになりますので評価やブクマを宜しくお願いします。

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