表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/325

【馬車職人】

「今日は俺も1つ話があるんだ。」


エイステン「うーん・・・いい話かい?」


「それはどうかな?話は侯爵が飲んでる、その珈琲についてなんだ。」


エイステン「そうだった!これ何処で手に入れたんだい?」

 侯爵様はお気に召したようだ。珈琲に食いつきが良い。


「俺が作った。と言うか探した物だ。侯爵が知らないってことは新しい商品になるよね。

 侯爵、この珈琲を侯爵家の事業にするきはないかな?」


エイステン「えっ?・・・事業って事は単純に販売するだけの商品じゃ無いって事かい?」


「そうなると思う。その前に、侯爵が珈琲を商品としてどう思うかなんだけど、簡単に言えば売れると思う?」


エイステン「それは愚問だよ。この珈琲は悪くない。新商品としてはとても魅力的だ!」


「なら、侯爵家としてこの話に乗るって事で良いかな?」


エイステン「勿論だ。シグレくんへの見返りは?」


「アイデア料として売り上げの1割。それを約束してくれるなら製法を教える。」

 

エイステン「そんな物で良いの?」

 安かったかな?エイステンが意外そうな顔をしてる。


「1割にはちゃんとした理由が有るんだ。

 理由は、誰でも買える値段で販売して貰うから。これは契約の第一条件になる。

 紅茶並に公王国中に定着すればどうなるか侯爵なら解るでしょ?その1割なら十分だと思うけど。」


エイステン「なるほど良い回答だよ。この珈琲を知ってる者は?」


「今此処にいる者だけですよ。」


エイステン「乗った!これから商業ギルドやら色々予定があるから3時にもう一度ここに来るよ。」


「俺達も冒険者ギルドで精算があるから終わったら此処に戻ってます。」


エイステン「良し!じゃあそう言うことで。」


 エイステンがクランハウスを出て行った。足取りが軽やかに見えるのは気のせいかな?



ファビアナ「ナナイ姉さん。あんたの男はほんと何者なんだい?どうして侯爵様を相手にあんな交渉が出来るんだ?」


ナナイ「ふふ。だから惚れたのよ。」


「はは、交渉って程のことじゃないよ。さて、ロブランさんは此処の管理人をしてたんですか?」


ロブラン「儂は馬車職人じゃ。」

「馬車職人?馬車の整備をしてたんだ?」


ロブラン「馬車に関する一切を請け負って、モーガンの店主に雇って貰っておった。」


「ロブランさん。あらためて聞くけど俺が雇って問題はあるかい?」


ロブラン「構わん。寝る場所と最低限喰えればそれで良い。」


「エルネスさんは家事は大丈夫ですか?」


エルネス「以前は屋敷住みのメイドでした。一通りは何でも出来ます。」


「決まりだ。正式にクランハウスの管理人として雇うよ。給金は月に金貨2枚。食事はクランで用意した物を食べてくれ。」


ロブラン「2人で金貨2枚もくれるのか?」


「違うよ。1人金貨2枚。食費はクランの予算で出すってことさ。」


ロブラン「良いのか?」


「ファビアナ、ロレン、ティナ、クラン運営費として月に金貨2枚な?」


ファビアナ「そんなんで良いのか?」

ロレン「まあそれ以外は必要があったらその都度で良いだろ。カタリナ?」

カタリナ「大丈夫よ。ロレンのお小遣いが減るだけだから。」

ロレン「えっ?そうなの?」

ティナ「ふふ。問題ありません。」


「ほら、2人の給金と食材用の資金が確保出来た。それから2人の給金は2人のために使うこと。食事は腹一杯食べること。おかわり自由だ。

 それと管理に必要な出費は報告すること。無駄遣いは拙いがケチるつもりもないから。その辺の管理を・・・」

 誰にしようかと周囲を見回すとファビアナと目があった。


「ファビアナは無理か。」

ファビアナ「どう言う意味だ?」


アニス「そう言う意味でしょ。あなた細かいこと出来ないじゃない。」


「ああ、アニスがいた!アニスに相談してくれ。

 アニス、此処の金庫を任すよ。良いか?」


アニス「しょうがないわね。補佐にハノークね。あと持ち逃げしても怒らないでね。」

ハノーク「俺も?」

アニス「あたしが居ない時どうするのよ?」

ハノーク「うぉい!」


 管理人が決まったので次だ。


「じゃあ此処の中を確認するか。この辺のソファも数は有るけど正直痛みが凄いし、食堂やキッチンもどんな様子か見た方が良いよね?どうせ使うなら使い勝手も居心地も良くしたいからね。」


ナナイ「ならキッチンを見てくる。」

ボタン「ナナ姉、私も行く!」

ツバキ「そうですね。さっき見ましたが私ももう一度見ておきたいですね。」


サクラ「エルネスさん。此処の上には何があるんですか?」

エルネス「はい。従業員が使っていた部屋が有ります。」


「良し!手分けしてクランハウス内の情報収集だ。使えそうな物、直した方が良い物、各々確認して後で意見交換しよう。

 それぞれ好きなところを見てきてよ!」

「「「「「「「「「「はい!はーい!おう!」」」」」」」」」」


ロブラン「シグレ・・様。」

「ロブランさん、様は良いよ。どう考えてもロブランさんが年上なんだから。シグレで良い。そう呼んで。」


ロブラン「良いのか?儂らドワーフの男はどうも敬語というのが苦手でな。助かる。それと儂もさん付けはやめてくれ。

 シグレ、このソファは買い換えるのか?」


「うーんどうしようかと思ってるんだ。でもこの状態はちょっとね。穴が空いてるのもあるし。」


ロブラン「なら儂が直そう。皮を買って張り替えれば良いだけじゃ。テーブルも直せる。」


「そう言えば侯爵が優秀な職人って言ってたもんね。」


ロブラン「儂は拡張馬車の職人じゃ。馬車の車輪から中の内装まで全て作る。備え付けの家具もな。皮の張り替えなど朝飯前じゃ。」


「凄いな!拡張馬車を作れるんだ!」

ロブラン「此処でも作っておった。実は馬車蔵においてるのがある。」


「丁度いいや、馬車蔵を見たかったんだ。案内してくれないか?」

ロレン「シグレ俺も行く!」

ファビアナ「私もだ。」



「あらためてみると、広い馬車蔵だよな。」


ロブラン「此処馬車蔵には、荷馬車に荷物を積んだまま入れておったんじゃ。」

「なるほど、効率を考えて荷馬車で在庫管理をしてたわけか。」


ファビアナ「一体何台の馬車が入るんだ?」

ロブラン「この蔵の中に入れてたのは50台だ。それでも余裕がある。」

「当然だな。目一杯入れることはしないだろ。」


ロブラン「此奴だ。」


 ロブランに連れて行かれたのは広い馬車蔵の一番奥、内扉が付いて居るところだ。

 扉を開けて中に入ると、飾り気のない商人が好みそうな箱馬車が3台置いてあった。


ロレン「あれ?この馬車俺のと似てないか?」

「ロレンもそう思った?俺もそう感じたんだ。ロブラン、この馬車もう1台作ってない?」


ロブラン「作った。この馬車はモーガンの店主に言われて作っていたものだ。最初の1台は店主が売ったはずだ。」


 ふと思い出し馬車の下に潜ってみた。


「やっぱり!車軸が太いし、この板バネ。ロブラン、この車軸の構造は一般的な物なのか?」


ロブラン「いや。これは全部儂のオリジナルだ。儂は自分の工房を持ってたんだが火事で焼けてな。借金が出来てモーガンの店主が肩代わりしてくれた。それから此処で雇って貰った。」

 エイステンが言っていた色々あったってのはこの火事の事らしい。


「随分都合の良い話だな。ロブランこの3台はもう出来上がってるの?」


ロブラン「2台は出来てる。3台目も内装を少しいじれば終わりじゃ。」


「ロブラン、この馬車も俺達が貰って良いのかな?」


ロブラン「いまさら構わんだろ。」


「ファビアナ、拡張馬車は?」

ファビアナ「持ってない。アニスにずっと言われてるんだが宿住まいで不便が無かったからな。」


「なら、ファビアナが1台使えよ。」


ロブラン「厩舎にバトルホースも2頭おるぞ。」

「良いじゃないか。そのバトルホースも一緒に使えよ。」


アニス「えっ!良いのシグレくん!やったー!ねえねえ、どれ?どれを使えば良いの?」


 どこから湧いたのか、今にも拡張馬車に乗り込みそうにアニスが騒ぎ立てていた。

「いつのまに・・・」


ロブラン「そっちの2台ならどっちでも良い。中の造りはさほど変わらん。部屋数も同じじゃ。」


アニス「ファビアナ!ほら一緒に見ようよ。」

ファビアナ「あ、ああ・・・凄い勢いだな・・」


「荷馬車もあるんだね?」


ロブラン「モーガンが潰れた時ここに荷馬車が33台あった。荷を積んだままのが30台。そこの3台は故障中で儂が直してたんじゃ。

 引き馬もさっき話したバトルホースが2頭と馬が2頭残った。故障した馬車で使っていた馬だ。」


「まずは荷物優先で回収したわけか。さすが商業ギルドだ。良くこの拡張馬車を持って行かれなかったもんだ。」


ロブラン「直前で儂が使い物にならんと思う位にバラした。自分で作ったんじゃ簡単なもんじゃ。」


「良いね、好きだよそう言うの!仲良くやれそうだ!」


 リビングに戻ると丁度三の鐘が聞こえてきた。


ナナイ「シグレくん。此処でお昼の準備をしたいんだけど?」


「ああそれが良いね。みんなで食べよう。そうだ、準備してる間にギルドに行って精算しちゃおうかな。」


ロレン「そうだな。帰りに馬車溜まりに寄って貰えれば俺達の馬車を此処に持って来るよ。」


「ファビアナ、ティナも一緒に行こう。精算に立ち会ってくれ。」

「「おう!了解です!」」


 素材の精算はジャイアントスパイダーが1匹大銀貨4枚で大銀貨400枚。アラクネの幼体はかなりレアらしく1匹白金貨1枚で白金貨20枚になった。そしてアラクネの成体も数年に1匹の希少品な上にアラクネは糸袋から堅い皮膚に至るまで無駄が少ないらしく1匹白金貨30枚4匹で白金貨120枚になった。結果、パーティー毎に白金貨36枚の儲けだ。


「シグレさん。クランカードを作れますよ!」

 どうやらクラン口座専用のクランカードと言うのがあり、クランで受けた報酬をそのカードで管理出来るらしい。クランの運営管理に便利そうなのでクランカードを発行して貰う事にした。



 1時を回ってみんな揃って昼食になった。


「アニス。さっき見たら事務所部屋に金庫があったからお金はそこで管理してくれ。それとクランの維持費1年分渡しておくよ。」

カタリナ「うちも1年分渡しておくね。」


ティナ「イデリナ、うちもそうしましょう。」

イデリナ「そうですね。その方が楽です。」

アニス「うちもそうしようと思ってたんだ。そうだ帳簿はちゃんと付けるから安心して。」


アカネ「シグレ様、建物は古そうですが頑丈な造りみたいです。壁が厚いみたいで部屋の中の音が廊下から聞こえないんです。」


ロブラン「ここは倉庫も兼ねとったからの、床も壁も通常より厚く頑丈なんじゃ。部屋の中の音など聞こえやせん。

 モーガンは4階全部に商品を入れておったが、商業ギルドが全部もってったぞ。」

「全部?そりゃ凄いな。」


ナナイ「キッチンは、設備は古いかな。出来れば魔導コンロと魔導オーブン、それと魔導冷蔵庫を新しくしたいところね。」


ボタン「食料庫は大きすぎるぐらい大きいよ。何も入ってなかったけど。」


ツバキ「大きなお風呂が男女別だったのか2つ並んでありました。どちらも1度に20人は入れそうな湯船が付いてます。」


フジナ「食事中にあれなんですが、トイレはとても清潔とは言えませんでした。」


―― ガタッ!

「どこだ?ケリを付けてくる!」

ナナイ「落ち着いて!シグレくん、食べてからで良いから。ねっ!」


エリザ「なんじゃ?何でシグレは殺気立ってるんじゃ?」

シユナ「アカネから聞きましたが、シグレ様はトイレが汚いのが許せないらしいです。」

エリザ「ほう!まあ綺麗好きは良い事じゃ。」


サクラ「シグレ様。2階から上に5m×10mほどの2人部屋が階段を挟んで左右に16部屋ずつ有りました。」


「それって、ひとつの階に32部屋?4階建てだから2階から 3階ぶんで96部屋も有るの?」


サクラ「2階の奥に大きな部屋が1つありますけどエルネスさんご夫婦が使ってるそうです。」


ロブラン「此処の番頭が使っていた部屋だ。トイレにシャワー、小さなキッチンが付いてる。侯爵様に言われて使っていた。必要なら空けるぞ。」


「その必要は無いよ、そのまま使ってくれ。むしろ不自由があったら直していいから。遠慮は無しだ。」

ロブラン「解った。」


 みんなが調べて解った事は広いけど古いってことだ。此処で快適に過ごすには相当手を入れる必要がある。


「さてどうするか。直すにしても人を雇わないと無理か。」

ロブラン「材料を買う金を貰えれば儂が改築出来る。」


「ロブランはそんな事も出来るんだ?じゃあお願いするとして、どうせやるなら全面的に改築して貰おうか。

 ロブラン、お金は出すからキッチンは最新設備にしてこの食堂も小綺麗にしてくれないかな。

 それとリビング、()()()()()ってくつろげるのが理想かな。」


ロブラン「拡張馬車職人の腕を見せよう。任せろ。」


ティナ「上の部屋はどうしますか?」

「どうしようか?俺達の寝泊まりは拡張馬車があるし。」


アニス「うちらも拡張馬車にそれぞれ部屋をもてたからね。」

ロレン「うちも拡張馬車で十分だ。」

ティナ「私達もです。」


「そうだよな。ロレンも気兼ねの要らない環境が良いだろ?」

ロレン「ど、どう言う意味だよ!」


「ロブラン、取り敢えず2階の半分と3階は4部屋ずつ纏めて広くしてくれないかな。使うにしても今のままじゃ不便そうだ。

 それに、俺達以外に誰かを泊めたりとか有るかも知れないから、落ち着ける部屋にして欲しい。」

ロブラン「問題ない。」


「4階は当面保留だな。」

ロレン「良いんじゃないか。」


大変励みになりますので評価やブクマを宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ