【少し今後のこと】
今日はもう1話投稿します。
クランの申請も通り、俺達は馬車に帰ってきた。
因みにロレン達は買い物に出かけている。何があったのかロレンとカタリナ達の距離感が変わった気がするのは気のせいだろうか?
クラン申請が終わるとファビアナが宴会宴会と騒ぎ出したが、ティナ達が母親に会いに行く途中だったので明日の夜で折り合いをつけた。
クランになった事でギルド的にもフジナとシユナがヒイラギのメンバーになった。そこで、少しこれからの事を話し合う事にした。
「まずは、フジナとシユナのレベルを上げないとね。おそらく俺の【パーティー】の恩恵で経験値の共有は出来ると思ってるんだけど、ちゃんと確認しないとね。」
ナナイ「そうね。報告もあるしサラケスに戻るんでしょ?ならダンジョンでレベル上げする?」
「それなんだけど、フジナがサラケスが嫌なら報告が終わったら別の街に行っても良いけど?」
フジナ「私の事は気にしないでください。私のいる場所はシグレ様の居るところです。昨日沢山可愛がって貰ってシグレ様の女になったと身も心も実感してますから、今更デランドの前に出ても何も感じないと思います。」
「はは、あーなら報告がてらサラケスに行って予定通り百層宮の20階層まで攻略しよう。その後はその時だな。
じゃあ、取り敢えず武器か。フジナは剣術スキルを持ってたからやっぱり剣かな?」
フジナ「はい。それでお願いが有るんですが、私にシグレ様がギアドを討った技を教えて頂けませんか?あの時見たのが目に焼き付いているんです。」
「あれは俺の世界の刀術なんだけど、あの時は記憶を頼りにやってみたんだ。」
サクラ「記憶だけであの場面でやってみたんですか?」
「ははそう。まあ上手くいって良かったよ。」
ボタン「やっぱりチートだ!」
「うぉほん!実は、あの後あの技がスキルになってたんだよ。【居合い】と【示現流】って言うね。なんで流派がスキルなのか疑問なんだけど・・・まあファンタジーって事で。」
『バグが使った【影術】も持ってたからな。まあ、こっちは検証してからだな。』
「じゃあフジナには【居合い】と【示現流】それと【刀剣術】かな。武器は、あの時使った〈水切り〉を渡すよ。」
フジナ「あの刀をですか?ありがとうございます。」
サクラ「シグレ様。私にも【居合い】と【示現流】を下さい。使えるかより持っていたいんです。」
ナナイ「あっわたしも!」
「「「「はい!」」」」
「全員ね。解りました。じゃあシユナだね。シユナは弓術があったからやっぱり弓が良いよね?」
シユナ「はい出来れば。それと精霊魔法でお役に立てなくて申し訳ありません。」
「だから気にしなくていいよ。それに、多分シユナは精霊魔法を使えるはずなんだ。」
アカネ「そうなんですか?」
「ああ。そもそもスキルとしてある物が使えないのがおかしいと思わない?」
ナナイ「そう言われればおかしな話ね。」
そう、スキルがあるなら使えないはずはない。使えないとしたら理由が有るはずで、例えば精霊魔法なら魔力が足りない事は有り得る。しかし、シユナには十分と思える魔力が有るし魔力操作のスキルも持っている。だとすると、精霊魔法を使えないのは他の要因が有る事になる。
「大門屋敷から持ってきた精霊の本を読んだんだけど、シユナには足りない物が有りそうなんだ。それを補えば多分大丈夫。」
シユナ「本当ですか?なら精霊魔法でお力になれるんでしょうか?」
シユナの表情が明るくなった。せっかく持ってるスキルが使えなかったんだ、どんなに気にするなと言っても割り切るのは難しいよね。
「大丈夫!ああ、シユナはちょっと堅すぎるよね。もっとくだけた話し方で良いからね。」
シユナ「これは元々の性格なので・・・」
「まず、シユナの武器は弓だから【遠見】と【暗視】のスキルを振っておくね。弓はゲドの弓〈蒼〉を使って貰おう。」
サクラ「遠距離が厚くなりますね。」
「そうだね。それで、明日なんだけど装備を調えて簡単な依頼を受けようと思ってるんだ。2人の動きを確認したいからね。」
ナナイ「良いわね。お薦めは北の森か西の四つ足の森ね。」
「南の虫――」
「「「「「「「北か西です!」」」」」」」
ボタンを除いた全員のプレッシャーが凄い。どうやっても南の蠢く森には行きたくないらしい。
「・・・北で。」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
元気な良い返事だ。
「さてと、ここから本題なんだけど。」
ツバキ「本題?ですか?」
「ああ、みんなに聞きたいんだけど、これからやってみたい事はあるかな?
例えばフジナは元薬師だから薬作りを再開したいとか。耕せる場所があるなら野菜を作ってみたいとか。それなら大門屋敷の周辺を耕作出来るように考えるよ。そう言うのない?」
フジナ「薬師を続けても良いんですか?」
「もちろんだよ。むしろ積極的にやって欲しいな。そうだ、フジナが作った薬を売っても良いね。どう?」
フジナ「・・・ありがとうございます。是非やらせてください!」
嬉しかったんだろう、フジナの目から涙が溢れそうだ。
「ああまって、泣かないで!困っちゃうから・・」
ナナイ「シグレくんは女の涙に弱いのよね。私は冒険者としてやって行ければ十分よ。」
ボタン「私も剣を振るのが性に合ってるからナナ姉と冒険者が良い。そうだ、料理が好きだから料理も頑張る!」
ナナイ「あっ忘れてた私も料理が好き!ボタンとコンビで頑張るわ。」
サクラ「私は時間が有る時で良いので土いじりがしたいです。もともと畑をやっていたので。」
「よしよし良いね。アカネは?何かある?」
アカネ「私は・・・治癒士に憧れたことがあって、でもあの姉に邪魔されたんです。」
「治癒士か。それで【回復魔法】が使えたんだね。良いじゃないか頑張ってみようよ。」
アカネ「宜しいんですか?」
「宜しいも何も、アカネが頑張るなら応援するよ。と言ってもこの世界の治癒士がどんな物か俺にはいまいち解ってないんだけど、大門の書物の中に使えそうなのが有ったら遠慮せず読むと良いよ。それと、治癒って事は薬師とも関連が有るのかな?」
フジナ「有りますね。治癒士はポーション類の知識も必要ですから。」
「なら、フジナに薬草について教えて貰うと良いんじゃないか?フジナ。宜しく頼むよ。」
フジナ「はい。アカネ、一緒にやりましょう!」
アカネ「はい!」
「ツバキは?」
ツバキ「私のやりたい事はシグレ様にお茶を出す事です。シグレ様が望む時にお茶を出せるようにシグレ様に侍っているのが私の幸せです。」
「はは、宜しく頼むよ。後はシユナだね。何かある?」
シユナ「私は・・・商売に興味があります。」
「へぇー意外だな!」
シユナ「フジ姉様に生家アムガルド商会の話とか商売の話を沢山して頂いた時から興味を持っていました。」
フジナ「シユナは優秀なんです。計算なんか今では私よりずっと早いんですよ。」
「それは良いな。実は商業ギルドにヒイラギカンパーで登録してるんだ。今は商業ギルドに紙を売ってるだけなんだけど、これから色々商品を増やそうって思ってるからそっちの担当はシユナだな。」
シユナ「宜しいんですか?」
「ダメな理由がないよ。良し!色々見えてきた。どうせならやりたい事をやって楽しくマッタリ暮らしていきたいよね。まあ、今すぐ全部は無理だけど出来ることから少しずつ形にしていこう。」
「「「「「「「ありがとう!ございます!」」」」」」」
「さて、次はこれだな。」
収納からフジナ護衛の依頼報酬としてデランドから渡された木箱を出してテーブルに置いた。
フジナ「それは・・・」
シユナ「フジ姉様!〈宝剣の木箱〉では?」
フジナ「シグレ様、何処でそれを?」
「フジナの依頼の報酬として侯爵が辺境伯から預かっていたんだ。昨日渡されたんだけど、どんな物か解るの?」
どうやらフジナとシユナはこの木箱がどんな物か知っているようだ。
フジナ「おそらく、中に金の短剣が入っています。」
「短剣?―― カパ!―― なんだこの豪華な短剣は?」
フジナに言われて木箱を開けると、鞘にラディス家の家紋が入った総金造りの短剣が入っていた。
フジナ「その宝剣は公王国の貴族がその短剣を渡した者の身分を保障し責任を負う証なんです。
受け取った相手はその剣を翳して渡した貴族の威光を纏う事も出来ます。
その為、貴族は王宮総務局にその剣を渡した相手の名前や素性を報告する事が義務付けられてもいるんです。」
「自らの威光を貸し与える短剣か。渡した相手と本数が公王国に筒抜けになるわけだ。・・・またとんでもない物を寄越したな。」
ボタン「それって何が問題なの?」
「ん?これを渡した人間が、例えばギアドだったら辺境伯はギアドの悪事の責任を問われても逃げようがないってことさ。」
ボタン「あ!なるほど!」
フジナ「貴族の中にはその宝剣を渡したために取り潰された家名が幾つもあります。私が知る限り10年前までデランドは1本も渡してはいないはずです。・・・シグレ様、これを。」
そう言ってフジナが辺境伯家から持っていた拡張ポーチから同じような木箱を出した。どう見ても〈宝剣の木箱〉だ。
フジナ「アルバータス侯爵のお屋敷でリーズから渡された物です。エイステン卿から私に持っていて貰えと言われたそうです。
シグレ様のためになる物だからと言われると返す事が出来ず預かってしまいました。黙っていて申し訳ありません。」
「ああ、謝らなくて良いから。俺のためなんて言ったらズルいよね。しかし、あの2人は俺と心中するつもりなのかな?まったく。」
ツバキ「辺境伯様はフジナへの償いを、侯爵様はきっとシグレ様が好きなんだと思いますよ。」
サクラ「そうね。私もそう思います。侯爵様はシグレ様と話すのが楽しそうだったから。」
サクラ達にそう言われれば悪い気はしないが。
「受け取ってしまった物はしょうがない。収納の奥に仕舞っておくさ。」
話を終えて宝剣を仕舞うと箱の中に羊皮紙が折りたたまれて入っている事に気づいた。
広げると手書きで何か書かれている。
「ん?・・・・どんだけー!だよ。」
「「「「「「「どんだけー?」」」」」」」
7人のどんだけーステレオだ!
フジナ「何が書かれてたんですか?」
「フジナに辺境伯領内、アルクス子爵領内の何処でも好きなところ半径500mの土地をくれるそうだ。」
「「「「「「「・・・・・」」」」」」」
「どこでもとは書いてるけど、そこは良識的にってさ。辺境伯は慰謝料のつもりなのかな。」
アカネ「慰謝料ですか?」
「離婚、離縁したときに原因を作った方が申し訳ないって気持ちで払うお金のことなんだ。
フジナは何も要らないって出てきたんだろ?辺境伯は何かしてあげたくてしょうがないんだよ。だから俺が気づくようにこの中に羊皮紙を入れたんだと思う。
フジナ、どうする?」
フジナ「それなら答えは決まっています。くれるというなら貰っておきましょう。場所はシグレ様が決めて下さい。私の物はシグレ様の物ですから。」
「そう言われてもな・・・じゃあ、お言葉に甘えて大門屋敷から半径500mにしちゃおうか?そうすればあの大池も入るだろ。
あの大池はグレイパッセルの繁殖地だから俺達の土地にすれば丁度良いんじゃないか?」
フジナ「良いですね。そうしましょう!」
ツバキ「シグレ様!・・・ありがとうございます。」
ナナイ「良いんじゃない。でも大門屋敷がバレちゃわないかな?」
「だから暫くは決まってないで通すさ。認識阻害で入って来れないとは思うけど、その他に何か方法を考えて探りに来ても絶対に中には入れないようにしてから報告しよう。
大門屋敷周辺は俺達の聖域だ。誰にも踏み込ませたくないからね。」
アカネ「賛成!あそこで、みんなで暮らせるようにしましょう!」
「良し!じゃあ話はここまで!ナナイ、今日は俺が夕食を作るよ。」
ボタン「えっ!じゃあまた新しい料理なの?シグ兄!」
「新しいのかな。ハンバーグって知ってる?」
「「「「「「「知りません!」」」」」」」
この世界にはハンバーグがなかった。
それならと厨房に立ち、最初にタマネギのみじん切りを大量に作り全て飴色になるまで炒め、ハンバーグの種に入れる分は俺が魔法で急速に冷やした。
ボタン「シグ兄。こんなに必要なの?」
「そう。これから使っていくから大丈夫。ナナイ、ボタン。昨日買ったミノの肉とハイオークの肉を出してくれる。」
ミノ(牛系)とハイオーク(豚系)を合挽にする。2つの肉の塊をナナイとボタンに細かく切り刻んで貰う。そもそもこの世界に挽肉がないんだよな。
その間に俺はデミグラスソース作りに取りかかる。まずボールに水と鶏ガラのスープを入れる。
このスープは作り置きしている物だ。うちではキノコの出汁や鶏ガラのスープなどを暇な時につくってキープしている。
続いてボールにこの世界に有ったソースと、ケチャップが無かったのでトマトをこれでもかと細切れにした物。醤油、砂糖を入れ混ぜ合わせておく。
鍋に小麦粉を入れゆっくり焦がさないように炒め、きつね色になったところでナナイ達の肉の用意が出来たので1度火から下ろした。
ナナイ達が親の敵のように細かく切り刻んで作ったミノとハイオークの挽肉を別なボールに入れて最初に作って冷やした飴色タマネギを合わせる。
「さあボタン、こねるぞ!」
ボタン「こねる?」
「こうするんだ。」
ボールの中の肉とタマネギを音を出しながら掌で捏ねて混ぜ合わせていく。
ボタン「へー面白そう!」
「やってみるか?」
捏ねるのをボタンに任せ、炒めた小麦粉の鍋に飴色タマネギとバター擬きを入れてゆっくり火に掛けていく。
ボタンの作業をチラ見しながら、良い頃合いになったところで
「ボタンそろそろ良さそうだ。ちょっと代わって。」
鍋のかき混ぜをナナイにかわってもらい、ボタンの捏ねたハンバーグの種を適当に手に取って両手のひらで空気を抜きながら成形していく。
―― パンパンパン・・
「こんな感じかな。ボタンやってみるか?」
ボタン「やります!」
ハンバーグの成形をボタンに任せ、程良く混ぜ合った鍋に最初に合わせたておいたソース類を入れゆっくり火に掛けて塩胡椒で味の調整をしていく。
「こんな物かな・・良し、焼いていこう!」
成形し終わったハンバーグを油を引いたフライパンで焼いて仕上げに入っていく。
フジナ「シグレ様は料理も出来るんですね。・・・私も覚えないと。」
「向こうの世界では、1人で生きていくのが決まってたからね。孤児院の料理担当に出来るだけ教えて貰ってたんだ。」
焼き上がったハンバーグを順番にお皿に盛り付けて、ツバキに作って貰っていたジャガイモのフライを付けてできあがりだ。
ダイニングテーブルに配膳してみんなが席に着いた。
「これがハンバーグです。ソースが2種類。ボタンが作り置きしてる醤油とタマネギのソースとさっき俺が作ったデミグラスソースだ。両方食べてみると良いよ。じゃあ頂きます!」
「「「「「「「頂きます!」」」」」」」
それぞれソースを手に取り少しずつ掛けて食べ始めている。
サクラ「お、美味しい!」
アカネ「お肉が柔らかい!こんなの初めて。」
ナナイ「凄い!お肉を切ると油が滴ってる!」
ツバキ「これは・・・食べやすくて、好きです!」
ボタン「うん。美味しい!―― モグモグ――美味しいよ!」
フジナ「美味しい・・・始めて食べた料理です。」
シユナ「美味しいです!デミグラスソースが合いますね!」
「みんなに喜んで貰えて良かったよ。うん。醤油の方も“ザ・和風”で美味いな!」
「「「「「「「和風?」」」」」」」
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