【護衛依頼7日目】
―― ボフ!
「ん・・・ん?おっぱい!これはボタンのおっぱいだ!」
ふふ、自慢じゃないが俺は目を瞑っていても感触だけで誰のおっぱいか解る!この弾力と肌触りはボタンに間違いない!
ボタン「当たり!一の鐘がなったよ。」
「そうか。んんん・・・良い気持ち!」
ボタン「ふふ良かっ・・・あっダメ・・ダメだよ・・」
―― カチャ!
ツバキ「はいはい、終わりですよ!」
「はーい!」
馬車をでて背伸びをしているとロレンが出てきた。
「おはようロレン。」
ロレン「ふぁ・・・おはようシグレ。」
ロレンと挨拶をしているとクレイマンまでやって来た。
クレイマン「おう!おはよう。侯爵様が朝食が終わったら屋敷に来て欲しいそうだ。」
「了解です。8時で良いですか?」
クレイマン「伝えておこう。」
軽く体を動かし馬車に戻り、朝食を済ませてロレンと一緒に馬車蔵を出るとリーズが立っていた。
「侯爵夫人、どうしたんですか?」
リーズ「貴方に謝りたくて。昨日は良く知りもしないで貴方に失礼をしてしまったから。」
「そんな気にしないで下さい。俺は冒険者です。1つ依頼が終わればまた次の依頼をこなすだけ。侯爵様ともそう言うお付き合いだということです。」
リーズ「私はルシエラの事も誤解していたから。」
なるほど、侯爵夫人はルシエラと仲直りがしたいわけだ。
「そうだ、馬車で紅茶でもどうですか?」
ロレンに待ってて貰ってリーズを馬車に案内する。
リーズ「でも・・・」
「まあまあどうぞ!」
―― カチャ!
ルシエラ「あれシグレ様。忘れ物ですか?」
「丁度良かった。ルシエラさん、侯爵夫人にお茶をご馳走して下さい。―― ささ、どうぞ侯爵夫人。」
バツが悪そうに立っているリーズを馬車に誘った。
リーズ「ルシエラ。」
ルシエラ「おはようリーズ。入って、お茶を入れるわ。」
リーズ「ありがとうルシエラ。」
リーズを馬車に入れロレンと侯爵屋敷に向かった。
エイステン「おはよう。」
「「おはようございます。」」
エイステン「良い報告があるんだ。王都の騎士団から早馬が来て今日の昼過ぎにはセグルドに着くそうだ。」
「えっ、今日ですか?」
エイステン「ああ、行軍が速い理由は解らないが早馬はそれを伝えるために夜明け前から駆けて来たそうだ。
と言う事で、今日中には君たちの依頼も終わるよ。」
「ようやくホッと出来そうですね。ところで引き渡しはどうするんですか?」
エイステン「それなんだが、今の馬車をそのまま引き渡す。ただ、そうなるとロレンくん達の帰りの足がなくなるんだ。」
ロレン「それならご心配なく。シグレが盗賊の馬車を使って良いと言ってくれたんで、この後検分しながら掃除して使えるようにしようと思ってます。」
エイステン「そうか。なら帰りは良いな。あと、盗賊の頭ギアドの死体をセグルドの冒険者ギルドに持って行ってくれないか。話は通してあるから。どっちにしろ依頼が完了したら証明書を持ってギルドで手続きする事になるからね。」
「解りました。ギアドに賞金がついてたらどうしますか?」
エイステン「それは君の物だよ。君が討伐したんだから。それとシグレくん、昨日はリーズが失礼したね。夫として謝らせてくれ。」
「気にしてませんよ。そう言えば奥様は今俺の馬車でお茶をしているはずですよ。」
エイステン「えっ?リーズが?」
「はい。馬車蔵を出たらいらっしゃったので、ルシエラさんがお誘いして。」
エイステン「そうか。ははは、それは良かった。ありがとうシグレくん。」
「俺は何もしてませんよ。」
「じゃあ馬車を出すぞ!」
ロレン「おう!頼む。」
広い馬車蔵の中にギアド達が使っていた馬車を出した。
「あらためてみると良い馬車だな。造りはしっかりしてるし・・あれ?意外に新しいかも!」
外装は黒地に濃茶のツートン。派手さはないが商人を装うには丁度良い。驚いたのは仕上げが綺麗な事だ。
ロレン「20人くらい入ってたから広さはあると思うんだけどな。」
ロレンが扉を開けて中に入っていく。
ロレン「へー此処は普通の馬車と同じなんだな。奥に扉がある。どれ――おおースゲー!」
「おおー広いな!十分じゃないか!」
最初の部屋が15m×10mほどのリビングで、テーブルを挟んで大きなソファが2客ある。そしてうちの馬車もそうだが何故か暖炉がある。
何故かの理由は、人が使う拡張空間は気温その他が快適に保たれるからだ。つまり、寒くならないから暖炉は必要ないなずなのに豪華な拡張空間には決まって暖炉が有るらしい。まあ、この世界の様式美なんだろうな。
ロレン「シグレ、ほら階段がある。」
ロレンが目線で示した階段は暖炉の有る壁の端に有った。
「この拡張空間は2階建てみたいだな。」
1階は暖炉の反対側がダイニングで、此処には作業台のような大きなテーブルとベンチのような長椅子が置かれていた。
「片側に10人は座れそうだ。」
ロレン「なんて言うか、食事する場所に気取ったテーブルと椅子は要らないってことなのかな?」
「せっかくの内装なのに、このテーブルと椅子はないよな。」
そう!リビングもダイニングもニューヨークのカフェ風と言った感じで非常にセンスが良いのだ!
これはギアドのセンス、いや彼奴にそんなセンスが有るはずないな。きっと職人のセンスが良いんだろう。
カタリナ「ウソー!」
ロレン「どうした?」
カタリナ「此のキッチン、最新の奴だ!見てみて魔導コンロよ!」
広いキッチンにカタリナがはしゃいでいる。
ツバキ「使いやすそうなキッチンですね。」
ナナイ「魔導オーブンに魔導冷蔵庫も付いてるわよ。」
シュゼ「食料庫が一杯!」
キッチンに併設されている食料庫でシュゼが喜びの声を上げている。
サクラ「あの人数が食べる量ですから相当な量ですね。」
アカネ「トイレが3つも並んで付いてますよ!」
「トイレ?アカネ!バッチイから離れなさい!」
アカネ「えっ?きれ――きゃ!」
トイレの扉を開けたアカネを扉から引き剥がした。
アカネ「どうしたんですか?シグレ様?」
「あんな盗賊共がトイレを綺麗に使うわけがないんだ!アカネ見るな!目が腐るくらい汚いぞ!俺が――」
アカネ「シグレ様!シグレ様!」
「はぁはぁ・・・・なに?」
アカネ「トイレ。綺麗ですよ。」
「なっ!汚い・・・えっ?」
アカネ「ほら。」
トイレは綺麗だった。3つのトイレはもちろん水洗で意外なほど清潔だった。
「あれ?なんで?」
ナナイ「多分ギアドね。彼奴ああ見えてトイレの使い方に五月蠅かったのよ。男メンバーが汚すとすぐ喧嘩になってたの。」
「へ、へーー。彼奴、潔癖症だったんだ。」
ルシエラ「潔癖症ってなんですか?」
「ちょっとした汚れも絶対許せない病気みたいな物かな。」
ナナイ「ああ解る!そんな感じだった。あいつ部屋のゴミを拾って歩くのよ。最初は新人だからやってると思ってたんだけど、その内どんどん口うるさくなってみんなゲッソリしてたのよね。」
イルカル「そんなにですか・・・」
アージア「ロレン!お風呂があるよ!」
ロレーヌ「キャー!広い!」
お風呂を発見したアージアとロレーヌが興奮している。
声のする方に向かうと、洗濯場が併設されている脱衣所とその奥の扉を開けると広い洗い場と5m×5m程の湯船があった。
カタリナ「凄い!湯船が広い!」
ロレン「人数が多いからこんなに広くしたんだろうな。」
「ロレン、広くて良かったな。みんな一緒に入れるぞ。」
ロレン「何言ってるだよ!一緒に入るわけないだろ!」
カタリナ「私は良いわよ。」
シュゼ「気にしない。」
アージア「洗ってあげようか?」
ロレーヌ「昔は裸で一緒に水浴びしたじゃない。」
ロレン「子供の頃だろ!今は状況が違うだろーが!」
「まあまあ、後でゆっくり話し合ってくれ。」
1階にはリビングやダイニングの他にそこそこ広い部屋が4つと小さな部屋が有った。
4部屋にはベッドが5台ずつ置かれ、それぞれのベッドの下に私物が収納されていた。
面白いのはベッドのある部屋全てにトイレが付いていた事だ。この世界はトイレが多い。うん。ファンタジーだ!
「小さい部屋は・・・これは予備の装備かな。高そうなのはないが使えそうなのは取っておくと良いんじゃないか。」
ロレン「そうだな。」
「しかし、どの部屋も綺麗だ。掃除が行き届いてる。お頭様の指導が厳しかったんだろうな。」
ナナイ「盗賊に同情したくないけど、堪んなかったと思うわ。そう言う奴なのよ。」
2階には3部屋あった。
まずトイレとシャワー付きの広い寝室にキングサイズのベッドとクローゼット、ドレッサーが置かれていた。
カタリナ「クローゼットの中身は・・全部あの2人の着替えね。」
シュゼ「派手!無理!」
アージア「此のドレッサー凄く良い物じゃないのかな?」
ロレーヌ「中身は・・・要らない。」
「要らない家具は家具屋が引き取ってくれるぞ。俺の収納で運んでやるから、どれを残すか考えておくと良い。」
カタリナ「良いの!ありがとう。じゃあ・・・」
「ロレン。ベッドはもっと広くても良いんじゃないか?」
ロレン「なんで?カタリナ達4人がこの部屋を使うなら、別々に4台で良いだろ?」
「4人?5人で此処で寝るんだろ?ああ、ロレンを入れて4人で良いのか。ロレーヌは妹だしな。」
ロレン「はぁ?お前何言ってるんだ?」
カタリナ「5人でベッド1台よ。」
シュゼ「そもそも問題ない。」
アージア「そうそう、妹って言っても義理だしね。」
ロレーヌ「私、母の連れ子なんです。私達の両親は再婚ですから。」
サクラ「やっぱり!」
アカネ「そうだろうと思ってた。」
ナナイ「雰囲気あったもんね。」
ツバキ「気づいてないのは、2人だけですね。」
ボタン「納得!」
ルシエラ「そうだったんですね?」
イルカル「頑張るべきです。私も頑張りました。」
ロレン「ご、5人って・・・」
「さあ次の部屋に行くぞロレン!」
隣は執務室だった。
「さて何が出てくるかな。―― これは、取引の詳細が書かれてる!凄いな・・・」
執務机の上に、盗んだ日付から商品の詳細に数、取引相手の名前に金額まで書き込まれた台帳が置かれていた。
ナナイ「コティスね。昔から受けた依頼は細かく記録をとってたから。お金にも五月蠅かったしね。」
「潔癖症に几帳面のコンビか。手下共は大変だ。俺も盗賊共に同情したくなったよ。」
ルシエラ「几帳面?」
「細かな事に気を使う性格の事を言うんだ。こんな物までここに有るって事はこの馬車が彼奴らのアジトだったんだな。移動するアジトか、発想は悪くないな。」
ナナイ「変なことに感心しないで。」
「はーい!」
ロレン「シグレ!金庫だ!」
執務机の後ろに並ぶ書庫の下に厳つい金庫が置かれていた。
「鍵が掛かってるな・・・ロレン、此処にコティスの死体を出して良いか?」
ロレン「えっ?良いけどなんで?」
「ナナイ、お金の管理はコティスだと思うだろ?」
ナナイ「間違いないわね。ギアドは有るだけ使う奴だから。」
隣の寝室のシーツを持ってきて広げ、その上にコティスの死体を出して調べると呆気なく鍵が見つかった。
―― カチャ!
ロレン「凄いな!幾らあるんだろ?」
白金貨に金貨が積まれている横に
「ブルーだ。サクラ!ここまで此の馬車の中でブルーの臭いはあった?」
サクラ「有りません。」
「と言う事は、ギアドは使ってもいないし売ってもいない。これは偶々手に入れたか・・・まあいい、侯爵に渡そう。
そうだ何人かで此の硬貨を数えてくれないか?ロレン半分ずつにしよう。」
ロレン「此の馬車を貰うんだし、これはお前が取っとけよ。」
「依頼は一緒に受けたんだ。討ち取った報酬は別にしてもこういうのは分けよう。その方が後腐れがない。」
コティスの死体を収納に戻し隣の部屋に入った。
「此処は収蔵庫か。絵が多いな。」
ナナイ「ここに有るのは売れなかった物なんじゃない?」
ルシエラ「この絵は・・・肖像画が多いですね。関係ない人の絵を飾りませんから。」
「持ってきたは良いが扱いに困ったものかな。でも・・・こっちの棚は違うようだぞ。」
棚に並べられていたのは銀製の食器や燭台、この世界ではまだ珍しい白磁の食器もあった。
ナナイ「これもコティスね。あの子上流階級に憧れてたから売らずに取って置いたんじゃないかしら。」
ロレン「武器がある。剣に槍、双剣が多いな。これはバスターブレードかな?」
ナナイ「ギアドね。武器類が好きだったから。」
「武器マニアか。」
ルシエラ「マニア?」
「収集家って言ったところかな。」
「カタリナ。使うなら銀と白磁どっちが良い?」
カタリナ「えっ?銀かな。憧れてたのよね。」
「なら銀製品はそっち、白磁は俺達で使わせて貰おう。」
アカネ「宜しいんですか?」
「いいだろ?なあロレン。」
ロレン「ああ問題ない。此の武器はどうする?」
「全部やるよ。そうなるとこっちが予備で下のは全部売るか?」
ロレン「それは良いけど、これ全部貰って良いのか?」
「良いよ。そのかわりガラクタも任せる。」
ロレン「そんなの此処に押し込んどくさ。」
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