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【護衛依頼2日目】

ナナイ「さて、ここからが本題よ。シグレくん?」

「本題?」


ルシエラ「シグレ様。あの日私が涙を流したのを覚えていますか?」


「覚えてますよ。」


ルシエラ「涙は涸れたと思っていました。それなのに、シグレ様の手が私の焼けただれた髪に置かれると涙が溢れたんです。

 温かくて優しくて、火傷を気にせず私の頭をさすってくれる人がいた事が嬉しかった。」


イルカル「私も覚えています。()()()()()と言って私の頭に乗せられた手の温もりを・・・」


ボタン「シグ兄、キザ!」

「考えて言った事じゃないから!」

 ボタン、()()()()()()()()()()みたいな目は止めなさい。


ルシエラ「目が覚めて、掌を見て、体を見て、夢でなかったと実感しました。すぐにイルカルも目覚めて2人で抱き合って泣きました。

 でも嬉しかったからだけでは無いんですよ。シグレ様。」


「そうなの?」


ルシエラ「半分は決意の涙です。ラディス家を出る。これから私の人生を生きると。そしてもう一つ固く決心したんです。」


「何をですか?」


ルシエラ「私を治してくれた方。シグレ様を絶対探し出すことです!」


イルカル「ルシエラ様が泣き止むと『私は此の家を出てあの方を探しに行きます』と仰ったんです。私も一緒にお連れ下さいとお願いしました。」


「因みにですが、俺を見付けてどうしようと?」


ルシエラ「お仕えするためです!」

イルカル「はい!」


「ん?・・・お仕えするとは?俺は貴族でも何でもないんですが?」


ルシエラ「私達を()()に加えていただけませんか!」

「はい?」

 ルシエラのニコニコ笑顔に過去最高の圧力を感じるのは気のせいだよね?


サクラ「シグレ様、そう言うことです!」

アカネ「私達と暮らしたいと言ってるんです。」

ナナイ「ルシエラさん、ルシエラもイルカルもシグレくんのものになりたいの。」

ツバキ「シグレ様の女になりたいと言ってるんです。」

ボタン「シグ兄、気づいてなかった?」


ルシエラ「みなさんと一緒に暮らしたいんです!」

イルカル「私もご一緒させてください!」


 みんなが何を言ってるのか?どういう事なのか?理解が出来ない。


「いやいやいや!まってまって!ちょっと待って!落ち着こうみんな!ねっ?落ち着いて!」


サクラ「シグレ様が1番落ち着いて下さい。」

アカネ「私達はもう納得してますよ。」

ナナイ「ルシエラもイルカルも間違いなくシグレくんの為になるわ。」

ツバキ「私がいるんですから歳は関係ありませんよね?」

ボタン「シグ兄。無理だって。納得するしか無いと思うよ。」


ルシエラ「やっぱり子供を産んだおばさんはダメでしょうか?」


「子供?・・・いやそれは無い!それは無いんですよ!ルシエラさんは十分魅力的です。何しろ治ったルシエラさんを見て綺麗だと思ったし、歳より若く見えるって思ったし、イルカルだって綺麗だって思ったし、肌の白さに見とれたほどだから。」


 ふーーーっとルシエラが長い息を吐き、イルカルは胸の前で両手を重ねて俺を見ている。

 

ナナイ「ねっ言ったでしょ!シグレくんは結構年上好きなのよ。」

ルシエラ「良かった!ホッとしました!」

サクラ「そう言えば魅力的な年上の事をなんて言うんでしたっけ?」

ツバキ「()()です。シグレ様は熟女好きです。」

アカネ「幼い子が好きな言葉もなかった?」

ツバキ「()()()()です。シグレ様はおっぱいが好きですからロリコンではありませんね。」

ボタン「私は?年下だけど?」

ツバキ「ロリコンは幼女、歳で言ったら10歳くらいまでが守備範囲です。」

イルカル「あのー、私この中では1番胸が小さいんですけど。大丈夫でしょうか?」

ナナイ「大丈夫よ!小さいって言ってもここでの話だし。ちゃんとシグレくん好みの大きさよ。」

イルカル「ああ良かった!」


「まてまてまてまてまてまてまて!ちょっとまって!」

 話が早い!ツバキの知識が凄い!さすが長生きは伊達じゃない!

 いやいやそうじゃない!そう言うことじゃないんだ!


サクラ「何ですか?」

「そう言うこと?()()ってサクラ達と同じって言うことなの?」


ツバキ「そうですよ。他に何があるんですか?」

ボタン「シグ兄、今わかったの?」


「えっ?だって・・そうだよ、ルシエラさんとそうなるのは色々問題があるよね?そもそも辺境伯になんて言ったら良いか。」


アカネ「それなら大丈夫ですよ。辺境伯から()()()()()って言われたんですよね?」


「でもそれは依頼の件で――」

ルシエラ「違いますよ。私はデランドにシグレさんのお世話になるつもりですとちゃんと話して出てきましたから。デランドの宜しく頼むはこれからの私の事ですよ。」


「そうなの?そう言えばあの時妙な間があったような・・・でもほら、ルドリックもいるし。」


ルシエラ「ルドリックにも話してます。母はこれから()()()()()()()()()()()()()()()と宣言してきました。あの子ももう二十歳。子供じゃありませんから意味は十分わかっているはずです。」

 なんとまあストレートな・・・


「いやしかし・・・あのですね、サクラ達と一緒って事は諸事情があって俺の奴隷になるって事ですよ?」


ルシエラ「承知してます。問題ありません。それとも・・・そんなにシグレ様は私がお嫌いですか?」

 俺を見上げる瞳に涙が見えた。しかし、綺麗だよな。とても40歳には見えないんだよね。


「いやいやいや・・・嫌いじゃないです!そりゃ嫌いか好きかって言われたら好きですよ。ルシエラさんもイルカルも申し分ないです。」


ルシエラ「ああ良かった。ツバキさんからシグレ様が契約魔法を使えると聞きました。()()()()っと奴隷契約をしてしまいましょう!」


 あれ?涙は?そんなにすぐ乾いちゃう物?


「それは無理です。今日ここでやったら俺が契約魔法を使える事がアルバータス卿にバレてしまいますから。」


ナナイ「そうね。手の内を知られるのは拙いわね。」


ルシエラ「それなら、コルの街の奴隷商で契約をしてはどうでしょうか?」

ツバキ「コルの街なら奴隷商も居ますね。」


ナナイ「じゃあそれで良いわね、シグレくん?」


「あぁ・・・解った!解りました!受け入れます!ただし、契約を結ぶのはセグルドまで待って貰います。理由はルシエラさんをセグルドのお母さんのお墓に連れて行くのが依頼だからです。依頼が終わるまではこのままでお願いします。これはけじめです。それとアルバータス卿が何処まで聞いているか確認しますから。」


ルシエラ「はい!問題ありません。ですがお願いが1つあります。」


「お願いですか?」


ルシエラ「契約の時名前を下さい。新しい名前でやり直したいんです。」

イルカル「私も是非お願いします。」


「・・・解りました。考えておきます。」


ナナイ「良いな!良いな!」

「だから・・・」


サクラ「でもそうなると暫く寝室は別々ですね。」

アカネ「そうなるわね。」


「それはしょうがないよ。でもこの先寝室では眠れないと思うよ。夜は野営か騒がしくなりそうだから。」


ナナイ「そうなんだ。じゃあ依頼が終わったらセグルドでだね。」

ツバキ「それが良いですね。落ち着いてゆっくりがいいですね。」

ボタン「シグ兄大丈夫?」

「なにが?」




 目が覚めた。


「あれ?俺昨日いつ寝たんだろ?」

 サクラ達もみんな側で寝ている。言っておくがここパーティーボックスの寝室にはルシエラとイルカルはまだ居ない。馬車の寝室に居るはずだ。


サクラ「あ、おはようございますシグレ様。ん・・・」

「ん・・・おはようサクラ。ねえサクラ、俺いつ寝たんだ?」


サクラ「覚えてないんですか?お風呂に一緒に入って私達が寝室に来たら珍しく寝ていたんです。」


 それから次々に起きたアカネ達に何もしないで寝たため逆に体の心配をされる始末だった。


「多分精神的に疲れたんじゃないかな。昨日はほら、色々あったから。ははは・・・」


アカネ「あまり心配掛けないで下さいね。シグレ様に何かあったら私は生きていけませんから!」


ナナイ「みんな同じよ。でも、何もしないで心配されるのもシグレくんよね。」


ツバキ「そうですね。可愛がって貰えないのも寂しい事が良く解りました。」


ボタン「そうだね。シグ兄、ハイおっぱい!」

―― ボフ!

 ボタンのおっぱいが顔を包む・・・

「わぉ、ありがとボタン!」

「「「「ハイ!」」」」

―― ボフボフボフボフ!

 ん。充電完了!



 パーティーボックスを出て馬車のリビングに行くとルシエラ達は既に起きていた。


ルシエラ「おはようございます。シグレ様。」

「おはよう。イルカルもおはよう。」

イルカル「おはようございます。」


「俺は館に行ってアルバータス卿に会ってくる。」

サクラ「解りました。朝食の用意をしています。」


 馬車を出るとロレンが剣の素振りをしていた。


「おはよう。ロレン。」

ロレン「おう!おはよう。館に行くのか?」

「ああ、今日の打ち合わせをしよう。」

ロレン「了解だ。俺も行く。」


 館でアルバータス卿とクレイマンを入れて軽く1日の打ち合わせをし、それぞれが朝食を取ってニケス村を出発した。



 今日の目的地ラツーは公王国が独自に設けている野営施設だ。

 50m四方を2m程の土壁で囲み、壁の中に井戸とトイレが設置されている。たったこれだけでも壁があるだけで魔物の脅威は半減するしトイレや井戸は実にありがたい。


 ニケス村を出てまもなくすると街道は登りになる。ギルドで手に入れた地図には標高までは書かれていないが登りになる事は記されていた。


「結構な登りだね。」


ナナイ「ラツーとその次のウクがこの辺じゃ1番標高が高いからね。ねえねえシグレくん。さっきからお尻触ってるけど良いの?緊張感が無くない?」


「ここは大丈夫。勝負はラツーから明日の日中だよ。触っちゃダメだった?」

ナナイ「幾ら触っても良いけどロレンや侯爵に見られたら怒られるわよ。」


サクラ「それより、ラツーから明日の日中というのは?ナナイ交代よ。」

ナナイ「それよシグレくん。宜しくねサクラ。エッチな手に気をつけてね。」

サクラ「はーい!」


「間違いなく明日仕掛けてくる。その仕掛けがラツーから始まるのさ。」


ナナイ「でも普段通りにしてれば良いんでしょ?」

「その通り。みんなにも伝えておいて。」

ナナイ「了解です。」


 さっそくサクラの尻尾に手を伸ばした。

「ああサクラの尻尾は癒されるな・・・」


サクラ「どうぞ沢山癒されて下さいね。でも根元はダメですよ!()()ですからね!」

「はーい!」


 馭者がサクラからツバキに変わり1時間程して昼休憩に入った。

 ラツーまでは山道のためお昼を取りやすいように途中にも平地が作られている。

 馬車を止め昼食の前にアルバータス卿とロレンに今後の推測を話した。


エイステン「シグレくんは明日のウク湖の辺りが怪しいと読んでるんだね?」


「はい。ラツーにそれらしい集団がいれば、間違いなくウク湖の辺りで仕掛けてくると思っています。ナナイに聞きましたがウク湖の周回路がこの街道で1番道幅が狭いそうです。襲うには最適でしょう。」


エイステン「なら・・・どうやって仕掛けてくると思う?」


「具体的には――――――」


クレイマン「どうしてそんな事が言える?」


「襲ってみたからです。」


クレイマン「何だと?襲ったとはどういう事だ?」

エイステン「落ち着きなさいクレイマン。机上戦だろ?」


「はい。幸い地図がありました。この路を何度か利用しているナナイがいました。地図とナナイの情報から自分が襲うなら何処でどうやって襲うか、何度もやって出た結果です。」


クレイマン「しかし襲う方法まで何故言い切れる?」


「単純な事です。我々の持っている物は敵も持ってる。そして我々が出来る事は敵も出来ると仮定して襲いやすい場所と方法を推測して、その中でもっとも()()()()()()()()()()が今話した内容です。」


エイステン「良いね。僕には至極納得出来る話だ。ならどうする?」


「はい。――――」


エイステン「良いだろ。ロレンくんも良いかな?」

ロレン「もちろんです。」


 昼食の後、馬車は3時間山道を登った。


アカネ「見えました。ラツーです。」


 開けっぱなしの門から中に入る。ラツーの中には既に2台の馬車がいた。

 1台は典型的な荷馬車で幌が掛かっている。20代くらいの男と女が野営の準備をしていた。夫婦で行商をしているようだ。

 もう1台も商人のようだ。箱馬車だが後ろにも扉があり荷物専用の拡張空間がある商人用のタイプだ。店主らしい30代の男と護衛が3人いる。

 感心したのは2台とも引き馬がバトルホースだった事だ。行商の馬車が1頭。商人の馬車が2頭引きだ。


 俺達は貴族専用に指定された場所に馬車を止めた。


エイステン「クレイマン!」


クレイマン「ハ!シグレ、ロレン!一緒に来てくれ。」


 クレイマンに呼ばれ一緒に向かったのは先に入っていた2台の馬車だ。


クレイマン「セグルド領主アルバータス侯爵の護衛長クレイマンだ。各馬車の代表に今日の見張りについて聞きたい。」


商人「アルバータス侯爵様の御一行ですか。セグルドではいつもお世話になっています。私共はこの3名が交代で見張ります。」

 護衛の3人が軽く会釈をしていた。


夫婦の男「俺達は夫婦で夜通し外にいる。まあ交代で寝てるんだが。」


クレイマン「了解した。我々も交代で見張りに着く。何かあったら連絡を取り合おう。それと、侯爵様の馬車には近づかんでくれよ。役目上剣で対応する事になる。」


商人「承知しました。おい!頼むぞ。」

「「「へい!」」」


 結局クレイマンの言いたかった事は侯爵の馬車に近づくなと言う事だ。これはいつもの事なんだろう。


 あっさり解散になりそうだったので夫婦の行商人に尋ねてみた。


「護衛も付けずに2人で行商をしてるんですか?」


夫婦の女「ええ。2人とも元は冒険者なの。D級止まりだけどね。旦那が商売に興味を持ったから止めたけど剣の腕には自信が有るのよ。」


「夫婦で行商か、それも良いな。」



 馬車に戻り野営の準備に入った。

 食事をしながら順番を決め、夕食後交代で見張りを行った。


 そして、何事も無く夜は明けた。


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