【そんなに簡単で良いの?】
「アグネーゼ・セレゴス。セレゴス王国第2王女が何故あんな姿で奴隷に?」
サクラ「えっ?王女様?」
アカネ「ご主人様は、私で鬱憤を晴らそうと思ってるのですか?」
「そんな気は無いよ。アカネに会ったのは、本当に唯の偶然だ。偶然が出来すぎてたからほっておけなかった。アカネのあの姿、あのバカ2人が関わっているんだろ?」
アカネ「・・・はい。あの王家はメチャクチャなんです。第1王女メーベラの母親は現王ルーロフの実の妹です。そのメーベラの母は、メーベラによって殺されました。自分より権勢を誇っていたのが気に入らなかったからです。そして、今はルーロフと枕を並べて正妻気取りなんです。」
「おいおい・・・どんだけ血が濃いんだよ。」
アカネ「あの一族はそうやって一族だけの栄華に執着してきたんです。あまりに血が濃くなり過ぎて、同じ血統からは子供も出来にくくなっています。」
「いや・・言葉がないな。」
アカネ「私の母は王宮のメイドでした。ルーロフは世継ぎのために手当たり次第に手を付けていたんです。」
「で、どうしてアカネは?」
アカネ「私がルーロフの子供でないことが解ったからです。」
「王の子じゃない?」
アカネ「母から聞かされました。本当の父は宮廷魔道士だと。ただ誰なのかは父が殺されるまで知らされませんでしたけど。
母と父は母がルーロフに手を付けられる前からの付き合いだったそうです。私が実の子じゃないとわかって、ルーロフは激怒し父と母を殺しました。それはもう惨たらしく・・・私はメーベラに足を切られ顔を焼かれ惨めに死ねと奴隷として売られたんです。」
「ごめん。辛いことを思い出させたね。」
アカネ「気にしないでください。今の私はご主人様の奴隷です。嘘はつけませんから。」
「で、アカネはどうしたい?あのキチガイ共に復讐したいのかな?」
アカネ「復讐は・・・したくないと言えば嘘になります。ですが、もう関わりたくないというのが強いんです。
ご主人様。私もご主人様の側に居てはいけませんか?私は魔法が使えます。冒険者も問題ありません。」
「アカネも居てくれるなら俺としてはこんなに嬉しいことはないんだけど。
サクラも含めて、実は問題があるんだ。」
サクラ「私もですか?」
アカネ「やはりセレゴスに縁があっては・・」
「セレゴスのことは問題ないよ。そうじゃなくて・・・実は俺エッチなんだ。」
「「エッチ?」」
「2人に手を出さない自信が無い。」
「「・・・・・」」
2人が鳩に豆鉄砲の表情で固まった。
「一緒に居て貰えたら嬉しいんだけど、2人が魅力的すぎて何もしないで我慢する自信がない。
実は奴隷商で言ったことを盛大に後悔してるんだ。」
サクラがホーっと息を吐いた。
サクラ「良かった!そんな事ですか!」
「いやそんな事って、大事なことだと思いますけど?」
アカネも同じように息を吐いていた。
アカネ「ご主人様。私は覚悟してました。私は問題有りません!」
「えっそうなの?だって、今日会ったばかりだよ。」
するとサクラとアカネが顔を見合わせて頷き合う。
サクラ「ご主人様。教会で祈っている時、女神様の声が聞こえたんです。
女神様がご主人様から離れるなと。ご主人様に身を預ければ必ず守ってくれると。
でも好みじゃなかったらゴメンナサイしなさいとも言ってました。アカネさんにも、女神様の声がしたそうです。」
アカネ「女神様は、セレゴスのことは話せばわかってくれる。だからご主人様を信じなさいと。
私にも好み?ってきいてましたけど・・」
『おいおい、好みじゃなかったらどうしてたんだよ・・』
「えーと・・・・・じゃあ、そう言うことで良いのかな?」
「「はい。宜しくお願いします。」」
なんだか話が呆気なく――良いのかな?――纏まってしまった。
なろうならちゃんとわかりあってからとか奴隷に手を出すのはちょっとが定番なんだろうが、そんな綺麗事に何の意味があるんだ?って思ってた。
俺は奴隷の子の事をちゃんと考えてるとか俺って良い奴を誰かに言いたいのか?でも、それってタダの自己満足でしかないよな。
異世界行ったらハーレム!なんて思ってたわけじゃ無い。綺麗な獣人の子やおっぱいの大きな綺麗な女を前にしてはっちゃけたわけでも無い。ただ、せっかく流れが出来てるのに拒否する理由が俺には無いだけだ。
少なくともサクラもアカネも俺を受け入れてくれると言っている。そこには自分を守って欲しいという打算が当然ある。そんな事わかってる。だから、その打算ごと引き受ける。それで良い。
とにかく、何処かの48人も居るアイドル?が泣き散らして逃げていくほど綺麗で、太ってもいないのにツンと上を向いた大きなおっぱいの2人が目の前に居るわけで、理性?なにそれ美味しいの?だよ!
と言う事で必要な物を買いに街に出た。
まずは冒険者になって貰うので武器屋に向かった。
看板を目印に適当な武器屋に入り、2人の戦闘スタイルに合わせて武器を購入した。
銀狐族のサクラは、種族的に身体能力が高くその分魔法は苦手らしい。双剣使いというので鋼鉄のショートソードを2本買った。
アカネは魔法が得意らしいので杖かと思ったら本人の希望は弓だった。後衛からの飛び道具は必要だな。
ついでに俺も鉄の剣から鋼鉄の片手剣に変えた。
その他全員にナイフと予備として短剣を一本ずつだ。
防具も買った。
最近の流行は所謂〈防具〉ではなく、防御力に優れた革で作られたジャケットやズボンと言ったバトルスーツらしい。女の子はバトルドレスだ。
俺は何とかと言う魔物の革のジャケットとズボン?パンツ?
俺と前衛にまわるサクラはスカート丈が短いバトルドレスにパンツだ(これが格好いい)
アカネはロング丈のバトルドレスを買った。因みにスカートの中はスパッツだ。なぜか防具屋で普通に売っている。
異世界の基準が解らない・・・
武器が金貨10枚。防具が金貨5枚。これも安いのか高いのかわからない。
防具屋を出て向かったのは雑貨屋だ。生活に必要な物を買う。
まず湯呑みというかコップ。2人のタオルに洗面道具。
「歯はどうするんだ?」と聞いたら、歯ブラシらしき物を教えてくれた。
そもそも歯磨きは、この歯磨きのような物で磨くか、口をすすいで生活魔法のクリーンを掛けるかどっちからしい。
『あれ?そう言えば昨日は歯磨きしてない・・・今日は宿に帰ったら必だな。うん。お口臭いは嫌われる。』
「生活魔法?」と言う俺の疑問に、宿に帰ったら実演してくれることになった。
そして石鹸も買った。これが質がイマイチなわりに高かった。
雑貨屋の次に行ったのは服屋。此処は長かった・・・
正直俺は童貞で、宿ではあんなことを言ったが内心ドキドキが心臓してた・・・ああ、今も何言ってるかわからないほど上がってた。
デートもしたことが無い俺に女物の服は皆目なので、着替えを数着と下着を選ばせたらたっぷり1時間待たされた。良いけどね。
しかし、チラッと見たがこの世界の下着は色気が無い。なにせなろう定番の、お決まりカボチャパンツだから。
その内紐パンを提案して稼ごうかな。
取り敢えず必要な物は揃ったというので冒険者登録にギルドに行った。
ギルドに入ると、受付のメリンダが終始不機嫌だった。
俺が何をした?
この世界では奴隷も普通に冒険者登録が出来る。むしろ、奴隷でパーティーを固める冒険者も多いらしい。
理由は、なろうお約束の報酬の分配だ。報酬が単純に人数割りできれば良いが毎回上手くは行かない。それじゃ、パーティーの運営資金にしようと言っても、頭の弱い冒険者たちは使った使ってないで揉めるんだそうだ。
2人は問題なくGランク冒険者に登録された。
一通りお決まりの説明を聞いた後、俺には無かった特典があった。
避妊の魔法を掛けてくれるんだそうだ。
これにはちゃんとした理由が有る。冒険者は荒くれ者が多い。気を許した仲間と言えど、極限の状態になると何をするか解らない。そして1番の理由がゴブリンやオークに捕まると苗床にされてしまうからだ。
冒険者を止めたり避妊を止める時は有料で解除してくれるらしい。
サクラとアカネの2人はもちろん掛けて貰っていた。
サクラ「ご主人様。これで大丈夫です・・」
「あっ・・はい?」
アカネ「優しくしてくださいね。」
『ちょっと君たち、揶揄ってないか?』
メリンダ「ウォッホン!」
「えーと、明日からまた依頼を受けに来ます。それじゃまた。」
何かいたたまれなかったので即行でギルドを出た。
宿に戻り買ってきた物を整理させ、早速生活魔法を実演して貰った。
この世界の者は誰でも大小の差はあっても魔力を有している。
そして基本誰でも魔法が使える。ただし、向き不向きがあるだけだ。
生活魔法は誰でも使える魔法で【ライト】【点火】【クリーン】の3つを総じて生活魔法と呼んでいる。あまりにオーソドックスでスキルとしても認識されていないそうだ。
【ライト】は指先に光が灯る魔法。
【点火】は火起こしの魔法。枯れ葉に燃え移る程度らしい。
【クリーン】は体や部屋を綺麗にする魔法。但しその範囲は魔力量に依存されるそうだ。最低限は綺麗に出来るらしい。
話を聞きアカネに実演して貰うと、やっぱりというか俺も使えるようになった。
【全魔法才能】のおかげらしい。
と言うことでアカネに治癒魔法を使って貰う。
丁度良いから2人の奴隷契約の時に傷つけた親指を差し出してみた。
アカネ「よろしいですかご主人様?癒やしよ・・・」
傷ついた部分がホンワカ温かくなった感覚がした後、あっと言う間に傷が治った。
スゲーよ!異世界!
感覚が無くならないうちに【回復魔法】を使ってみる。詠唱が解らないので回復しろと念じてなろう定番の【ヒール】と唱えると、掌に魔力が集まっているのが感じられた。
「ありがとうアカネ。【ヒール】ああ【回復魔法】を覚えられたようだ。」
「「えっ?」」
サクラ「ご主人様。普通はそんなに簡単には覚えられません。それに【ヒール】というのは?」
「イサドラ様のおかげだよ。俺には【全魔法才能】って言うスキルがあるんだ。さっきの生活魔法と奴隷商が使った隷属魔法も実は使えるようになってる。
【ヒール】は回復魔法のことさ。回復魔法って呼ぶのが面倒くさいから俺の国で使われてる言葉に置きかえたんだ。意外と上手くいったよ。」
アカネ「それって・・とんでもない才能ですね。これから私もご主人様にならって【ヒール】と呼ぶようにします。」
「はは、スキルのおかげな。頼むから誰にも言わないでくれよ。」
「「はい。もちろんです。」」
「さて、もう1つのスキルを確認しておきたいんだが、つき合ってくれるか?」
「「はい。」」
ずっと気になっていた【パーティー】と言うスキルだ。
『【パーティー】』
この時点で驚いたのが、目の前に透明な板状になってステータス画面が出てきたことだ。
〈現在パーティー申請は3人出来ます。誰をパーティー申請しますか?〉
1.サクラ
2.アカネ
3.
サクラを選んで画面を指で触れた。
―― カチ!
サクラ「あっ?ご主人様これは何ですか。〈パーティー申請が来ています。はい / いいえ〉と有りますが」
「サクラ。はいを意識してくれ。」
サクラが頷くと俺のステータス画面にサクラが追加された。
名前:シグレ
種族:人族
年齢:17
レベル:6
称号:英雄
スキル:【偽装】【高速思考】【並列処理】【多言語理解】
【パーティー】【気配探知】【剣術】【隷属魔法】【回復魔法】
アイギス:【全魔法才能】【全スキル才能】【次元収納】【鑑定】
名前:サクラ
種族:銀狐族
年齢:18
レベル:7
スキル:【双剣術】【俊足】
『凄い!身体能力が更に底上げされたことが解る!』
〈【パーティー】派生スキル【成長促進】を取得しました。〉
〈【パーティー】派生スキル【コピーandペースト】を取得しました。〉
〈【パーティー】派生スキル【通信】を取得しました。〉
「うぉ!」
サクラ「ご主人様?」
アカネ「大丈夫ですか?」
「ああ、ちょっと凄いことになってる。先にアカネにもパーティー申請をするから受けてくれ。」
アカネ「はい。」
アカネをパーティーに入れる。
名前:シグレ
種族:人族
年齢:17
レベル:6
称号:英雄
スキル:【偽装】【高速思考】【並列処理】【多言語理解】
【気配探知】【剣術】【隷属魔法】【回復魔法】
【パーティー】
【成長促進】
【コピーandペースト】
【通信】
アイギス:【全魔法才能】【全スキル才能】【次元収納】【鑑定】
名前:サクラ
種族:銀狐族
年齢:18
レベル:7
スキル:【双剣術】【俊足】
名前:アカネ
種族:人族
年齢:20
レベル:10
スキル:【弓術】【風魔法】【回復魔法】【魔力操作】
『なるほど、一人増える毎に身体能力が上がるのか。そして派生スキルね。』
2人に【成長促進】【通信】のスキルをコピペしてみた。
《サクラ?アカネ?》
「「えっ?・・ご主人様?」」
《ああ、2人に通信って言うスキルをコピーした。声に出さないで応えてみてくれ。》
《サクラです・・聞こえますか?》
《ああ通じてる。》
《ご主人様。アカネです。》
《アカネも聞こえるよ。》
「良し通信できるな。2人とも、パーティーを承諾してから体に異変は無いか?」
サクラ「そう言えば、体に力が湧いたような感覚が。」
アカネ「私も体が熱を帯びたような感じがしました。」
「俺の【パーティー】と言うスキルの影響だと思う。【パーティー】のメンバーが増えるとそれぞれの身体能力が底上げされるらしい。」
サクラ「それって凄いことですよね?」
アカネ「じゃあご主人様。メンバーを増やせば増やすほど強くなるって事ですか?」
「そうでも無いみたいだ。今は後1枠しか空きが無い。3人で一杯なのか、何かの要素で枠が増えるのか?その辺はゆっくり様子を見よう。」
「2人には【成長促進】のスキルもペーストしたから、明日からその辺りの効果も確認していこう。」




