【依頼前日】
護衛依頼を受けた翌朝、サクラのおっぱいでいつもの日課をこなし朝食を食べていた。
サクラ「シグレ様。今日はどうしますか?」
「そうだね。午前中はダンジョンに行こうか。」
アカネ「そうですね。依頼の準備もほぼ終わってますから。」
ツバキ「シグレ様。早朝サラケスの東門から人相の悪い男20人程が馬車2台で出ました。」
「人相の悪い男が20人ね。セグルド側で変わった様子はない?」
ツバキ「大人数の馬車はないようです。」
「セグルドに目立つような奴はいないか。」
ツバキ「それと、昨日から辺境伯邸を見張っていた者が交代しました。」
「戻った場所は解った?」
ツバキ「はい。――屋敷です。」
「それは興味深いな。ツバキ食事の後そこに連れて行ってくれないか。」
ツバキ「心得ました。」
食事を終えるとツバキが飛び立ち15分ほどで戻ってきた。ツバキと転移のリングを交換しツバキが確認した屋敷の裏に転移して、ざっと周囲を確認して馬車に戻った。
それからみんなで馬車を出て途中冒険者ギルドによって伝言が無いか確認しダンジョンに向かった。
因みに今のところ変更は無かった。
ダンジョンでは2基目の11階層から始まる転移門に並ぶ。
アカネ「シグレ様。13階層に行きますか?」
「いや、今日は11階層から始めよう。」
ナナイ「11階層?」
「ああ、準備運動って感じかな。無理はしたくないからね。」
「「「「「了解です!」」」」」
11階層に降り、ホブゴブリンを探しながら前回とは違う右側キープで階段まで進み12階層に降りた。
12階層に進んでも前回と違うコースを取る。まあ、同じじゃつまらないからね。
「サクラ、そこを左に行くと広くなってる場所がある。」
サクラ「広い場所?私の探知だと行き止まりなんですが?。」
「そうなの?もしかしてまた隠し部屋かな?」
アカネ「可能性有りですね!」
30mほど進んで左に曲がるとサクラの言う通り行き止まりだった。
「なるほど、この壁の向こうに部屋が有るみたいだ。やったな、ビンゴだ!」
ボタン「シグ兄、ビンゴ!って?」
「当たった時に使う言葉さ。概ねワクワクした時に使うんだ。」
ボタン「ビンゴね。ビンゴ!」
「ハハハ! 5階層だっけ、あそこの隠し部屋みたいに中にはこの階層の上位種が居るかもしれないね。」
ナナイ「そうね。何が出てきても良いけど問題は数ね。確認されてる魔物部屋には100匹潜んでた部屋も有ったそうよ。」
「まあ、入ってみるしかないか。」
前回と同じように解析鑑定で塞いでいる壁を眺めると右上、ボタンが背伸びをして届く場所にスイッチがあった。
「ボタン、この上の少し色が赤茶けた所を押してみてくれ。」
ボタンが背伸びをして赤茶けた箇所を押す。
―― ガコッ! ギ、ギーー!
「俺から入る。」
開いた扉から中に入る。魔石灯が輝き状況が見えた。
「ホブゴブリンより大きくて筋肉質なのが・・・20匹か?」
ハイゴブリン レベル25~28
「入って良いぞ!」
サクラを先頭にメンバーが入ってくる。
最後のボタンが入るとボス部屋のように扉が閉まった。
「ハイゴブリンらしい。」
「「「「ギャ、ギャ、ギャーーー!」」」」
「来るぞ!アカネ、ツバキ魔法は無しでいこう!」
アカネ・ツバキ「「はい!」」
アッと言う間だった。サクラ、ナナイ、ツバキ、ボタンが駆け出すとアカネはその場から弓を放つ。
打ち合わせでもしていたように1人4匹づつ倒して終わってしまった。
「俺の出番が・・・」
サクラ「シグレ様。ハイゴブリンから剣が4本ドロップしてます。」
ナナイ「黒鋼の剣よ。C級やB級には垂涎の剣だから高値で引き取って貰えるわ。
そうそう、ハイゴブリンってダンジョンでしかお目に掛かれないのよ。」
「そうなの?ハイゴブリンって森には居ないんだ?」
ナナイ「ダンジョンでも限られた場所にしか出ないのよ。それに、黒鋼の剣は滅多にドロップしないレア物よ。それが1度に4本よ!どんだけ幸運なんだか。」
「そう言われてもなぁ。」
ツバキ「シグレ様。こちらへ。」
ツバキに呼ばれて行くとやっぱり宝箱があった。前回と違うのはその横に1本の剣が鞘ごと置かれていた事だ。
「鞘に収まった・・・刀だ。」
拾い上げる
「重い!」
〈水切り〉 隕鉄で打たれた刀。【筋力強化】【俊敏強化】
鞘から刀身を抜いた。
『〈水切り〉って銘なのかな。片刃で刃渡りは90cm位か。刀身が青黒い直刀・・じゃないな、僅かに反りがある。それに、鍔は鞘から僅かにはみ出す程度の〈喰出鍔〉って奴だ。』
アカネ「シグレ様。その剣は?」
「俺の骨喰と同じ刀だ。この世界で作られた物らしい。【筋力強化】【俊敏強化】が付与されてる。」
ナナイ「この刀身の色見た事ないわね。」
「ナナイ、隕鉄って素材聞いた事有る?」
ナナイ「隕鉄?聞いた事無いけど。その刀の素材なの?」
「そうらしい。持ってみてくれ。」
ナナイ「どれどれ・・・何これ?この刀重くない?私なら問題ないけど扱いやすいとは言えないわね。」
「筋力強化が賦与されててもナナイが重いと感じる刀か。おそらく同じサイズの刀に比べて数倍重いんだろうな。」
アカネ「シグレ様。宝箱を!」
アカネに催促され〈水切り〉を収納に納め宝箱を開けた。
「あっ、また鍵だ。これで2本目だ。」
サクラ「もしかして、まだ発見されてない鍵が他にもあるかも知れませんね?」
「俺もそんな気がしてきたよ。このダンジョンは時間を掛けた方が良さそうだ。」
取り敢えずハイゴブリンの魔石とドロップ品を全て収納にしまい入ってきた壁に行くと自然に扉が開いた。
「うぉ!吃驚した!そんなところに居たのか?」
「突然消えたと思ったら・・・」
隠し部屋を出ると男の冒険者が5人いた。
サクラ「朝からずっと付けてた人達。」
アカネ「あっ月光仮面!」
「月光騎士団だ!この間の礼をさせて貰うぞ!テメエのおかげで手首を治すのにどれだけ金が掛かったと思ってる!」
リーダーらしい男が文句を言ってくる。ラ何とかって名前だったと思うが、まあどうでも良い。
「知らないよ。お前の手首が脆いのが悪いんだろ。」
「俺達は、テメェがダンジョンに出るのを待ってたんだ!ここならテメェをぶっ殺しても誰にもバレねえからな!」
ナナイ「あれ今ぶっ殺すって言った?」
「ひゃひゃ、安心しろ!殺すのはテメェだけだ!女どもは動けなくして後でタップリ可愛がってやるよ。」
「骨喰?何がゴブリンロードの骨を喰らった男だ!話の盛り過ぎだろーが!」
「ああ俺もそう思うよ。喰うわけ無いっての。」
呆れ口調で言い返してやる。
ツバキ「でも首の骨を引き抜いたのは事実です。」
ボタン「その後しゃぶってなかった?此の血美味ーって。」
「ボタン、止めなさい。信じるんじゃ無いぞ!嘘だから。」
「とにかくテメェはここで死ねや!」
「死ねや?そっちの奴はさっきぶっ殺すって言ったよな?
その言葉、お前らも殺されて文句は無いんだな?」
威圧を込めて言い放つ。一瞬息を呑んだリーダーが何とか言葉を発した。
「し、死ぬのはテメェだ!やれ!」
―― トン!
収納にしまった黒鋼の剣を取りだして奴らの間合いに飛び込んだ。
―― シュ!スン!ザン!ズッ!ザン!
「「「「「うあ!ぎゃ!げぇ!うっ!がゃ!」」」」」
話にならない。C級が弱いのか、此奴らが弱いのか。動きが鈍間すぎだ。
全員の手足のどれかを切りつけて戦闘力を削ぐのに1分もかからなかった。
此奴らは昨日から俺の馬車を見張っていた。最初はブルーポピの相手と勘違いしたが、サクラが臭いから月光の一味だと気がついた。
大方この間の仕返しだろうと思ったので今日ダンジョンに誘い込んだが、此奴らは狙い通り俺達が何も知らずにダンジョンに出たと思ったらしい。
頭の弱い此奴らは、俺が仕掛けやすそうな場所を探してやってたのも気づいていない。もっとも隠し部屋は予想外だったけど。
こんな奴らの事より
「なるほど。この黒鋼の剣は扱いやすくて良い剣だ!1本売らずに取っておこう。」
ナナイ「変な事に感心してないで。此奴らどうするの?」
「ああ、はいはい。明らかに殺意を持ってたんだ、情けは掛けなくて良いよね?」
ツバキ「どうしますか?」
「ナナイ。隠し部屋の魔物って復活するの?」
ナナイ「宝箱は無くなるけど魔物は繰り返し湧くわよ。だからドロップ品ほしさに挑戦するパーティーが結構いるのよ。」
「そうか~~ ――あっ!シグ兄悪い顔してる!―― ボタン、隠し部屋を開けてくれ。」
あぁ、口角が上がってしまう。
ボタン「はーい!」
隠し部屋に月光屋を次々に放り込む。最後に武士の情けで武器も放り込んでやった。
中からホブゴブリンだ、いやハイゴブリンだとか色々叫んでいたが扉が閉まると聞こえなくなった。
「運が良ければ助かるだろ。」
サクラ「無理ですよね?」
「無理だね。あんなの殺す価値も無いから丁度良かったよ。」
これで依頼の前に面倒くさいのが片づいた。後顧の憂いを断つ!これ基本だよね。
13階の転移門から地上に戻りギルドに向かった。
「ジャネットさん。素材の換金をお願いします。」
ジャネット「じゃあ奥の買い取りカウンターにお願いします。」
買い取りカウンターに魔石と牙そして黒鋼の剣を出していく。
ジャネット「・・・シグレさん。今日は何階層に行ったんですか?」
「今日は11階層と12階層だけど。」
ジャネット「はぁ、また記録を・・・ハイゴブリンは何階層に居たんですか?」
「ああ、12階層にも隠し部屋があったんだ。その中に20匹ほど。此の黒鋼の剣はそこでドロップした物だよ。」
「ブーーーーー!く、黒鋼の剣?」
「おい、12階層って言ってたぞ?」
「彼奴は・・・骨喰だ!ハーレムパーティーの骨喰だ!」
「彼奴5階層でも隠し部屋見付けて、ゴブリンの短剣売ってたぞ。」
「知ってるよ!あれから5階層に入り浸って隠し部屋を探してるパーティーが何組も居るからな。」
なに?結局ハーレムパーティーって事になってるの?
ジャネット「12階層ですね。査定しますから少しお待ちください。」
ジャネットの仕草からイヤイヤな感じが漂うのは気のせいか?
「そうだ、ジャネットさん。セグルドまでの地図は無いかな?」
ジャネット「地図ですか?ああ護衛依頼で必要なんですね。有りますけど有料になりますけど良いですか?」
「えっ!地図有るんだ。」
意外な事に地図があった。有ると言われて吃驚してしまった。なろうの定番だと地図が無いからだ。
ダメ元で聞いた地図に驚いたらジャネットとナナイに地図くらい普通にあると呆れられてしまった。
ジャネット「シグレさん。こちらが素材の硬貨と地図です。地図の代金は素材の分から引いておきました。」
「問題ない。へーあの黒鋼の剣は1本金貨5枚になるんだ。」
ジャネット「先に言っておきますね。あの剣はギルドで白金貨1枚で直接売りに出します。今日入荷の案内を出せば明日には抽選です。」
「抽選?」
俗っぽい言葉に反応してしまった。
ジャネット「欲しがる冒険者が多いんです。明日昼頃まで申込を受け付けて午後一で抽選です。絶対毎回揉めるんですよ。今回は1度に3本も・・・はぁー気が重い。」
なるほど、イヤイヤ感は間違っていなかったようだ。
顔を暗くしたジャネットに挨拶をしてギルドを出た。因みに予定に変更は無さそうだ。
「ナナイ。買い物はもう良いんだっけ?」
ナナイ「必要な物は揃えたわよ。」
「じゃあどこかでお昼ご飯を食べて馬車に戻ろう。」
サクラ「あのジャネットさんから聞いたお店が良いです。」
アカネ「賛成!スイーツが美味しかった!」
ボタン「サク姉、アカ姉に賛成!スイーツ食べたい!」
「了解。そこに行こう。」




