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【初錬金】

 1時間に及んだ会食が終わって俺達は馬車に戻ってきた。

 装備を外し、部屋着に着替えリビングのソファに腰掛けるとツバキが紅茶を入れてくれた。


 因みにパーティーボックスの中は土足禁止だ。もちろん日本人の俺の好みだ。

 パーティーボックスの玄関と言った処にコボルトの毛皮を敷きつめ、その上でブーツというか外履きを脱いでいる。

 外履きを脱ぐと、サクラ達は雑貨屋で買ったサンダル?の様な物を履き、俺は【浄化】を覚えてからはもっぱら裸足だ。

 もちろん大門屋敷も広いエントランスにコボルトの毛皮を敷き外履きはそこまでにしている。なので、転移する時はもっぱらコボルトの毛皮の上だ。


 実は異世界に来て早々、妖精の樹にお世話になったときから部屋の中ではブーツを脱いでいた。良く外国映画でブーツのままベッドの上に横になるシーンが有るが、足が蒸れたままなんて俺には考えられない。基本靴下でさえ嫌なのに。


「ふーーー!ブーツを脱いでツバキの紅茶を飲むと落ち着くな。しかし、早く帰りたいってそれしか考えてなかったから何を食べたのか良く覚えてないよ。」


ボタン「お肉は美味しかったよ。百層宮の40階層辺りにいるミノタウロスの肉って言ってた。」


「そう言えば確かに美味かったな・・・40階層かそのうちだな。」


ボタン「シグ兄。結局今日は何で呼ばれたの?」


「ん?そうだな・・・じゃあ答えがわかる人?」


サクラ「ハイ!」

「サクラくん!」


サクラ「まずはヴィリアム襲撃犯の確認ですか?」


「それもあるな。あの二人はほぼ俺がやったと思ってたのは間違いないよ。」


ボタン「じゃあどうして捕まらなかったの?」


「ハハハ、捕まえる気なんて更々ないさ。むしろ感謝してるくらいじゃないか?ヴィリアムへの面倒くさい査問が無くなって公王国内の全ての店から蓄えを巻き上げる事が出来たんだから。」


ボタン「でも、どうしてやったのがシグ兄だって解ったんだろ?」


アカネ「ハイ!」

「アカネくん!」


アカネ「捕まってた子を治したから。」

ボタン「ああそうか!」


「そうだね。あの子の証言が決め手だろうね。その前に辺境伯も昨日この馬車が襲われたのは知ってただろうしその辺も理由かな。」


ボタン「じゃあ食事会はお礼だったの?」


ナナイ「ハイ!」

「ナナイくん!」


ナナイ「シグレくんへの意思表示ね。」


「たぶん其れが本命だろうね。」


ボタン「どういう事?シグ兄。」


ツバキ「ハイ!」

「ツバキくん!」


ツバキ「グランドマスターの()()発言ですね。辺境伯も便乗してましたが。」


「その通り。グランドマスターは俺が使えそうだと考えたのさ。だから自分は俺の味方だと、後見すると言ってきた。そこにチャッカリ辺境伯も乗っかってきたのさ。」


ボタン「んー何だが面倒くさいです。もっとハッキリ言っちゃえば良いのに。」


「ハハハ、そうだよな!」


ナナイ「2人の思惑は解ったけど、シグレくんはどうするの?」


サクラ「シグレ様を利用しようとしませんか?」


「するだろうね。そこは許容出来る物は利用されようと思ってる。」


ナナイ「へぇー、意外!」


「1も2も無く突っぱねると思った?」


ツバキ「はい。私も意外でした。」


「確かに面倒くさいよ。でも俺はこの世界が気に入ってるからね。ここで生きていく為に、ある程度この世界の長いものにも巻かれようと思ってさ。

 それなら、なるべく権力を持ってる側が良いだろ?」


アカネ「流石です。まあいざとなったら大門屋敷で暮らしていけますから。」


「正解!ボタンくん。答え合わせは出来たかな?」


ボタン「ハイ!」



 コントのような答え合わせを終えて俺達は大門屋敷に転移してきた。


「有った有った!この鍋だ。」


ツバキ「素材をアルミと言ってました。」


―― コンコン!


「そうだね。これはアルミだ。何で売りに出さなかったのかな?錬金台帳を見てみるか。」


 ありがたいことにダイモンは自分が行った錬金の全てを1冊に纏めていた。俺はそれを〈錬金台帳〉と呼んでいる。


「ツバキ。これからご飯はこっちを使って。昨日買った銅の鍋は味噌汁用にしよう。」


ツバキ「承知しました。」


「それから、今日はこれから錬金を始めるから。」


ツバキ「夕飯までですよ。宜しいですね!」

「承知してます・・・」



「錬金するのは初めてだな。さて、まずは此奴を素材に戻すか。」


 大きな机に広げたのはサクラ達が愛用しているショーツだ。

 使い心地は申し分ないことは知っている。サクラ達にはこれと言って問題は無いらしい。

 問題があるのは俺だ。もう少しセクシーなデザインにしたい!


 そこで、まず製品のショーツを素材に戻す。


 手を翳す!―― ふん!

 ショーツを覆った光が収束していくと

「・・・おお、素材に戻った。我ながらチートだ!」


 俺の場合、製品から素材に戻す方法が2つ有る。1つは【次元収納】で戻す方法だ。いたって簡単、ただ次元収納に入れて素材に戻れと思うだけで良い。

 もう1つが錬金術で戻す方法だ。今回は、俺自身錬金が出来るのか半信半疑だったので錬金術の手法を取ってみた。うん。出来たよ!


 さて、ショーツに関してだがデザイン的にどの位の素材が必要か解らないので3枚を素材に戻した。戻してみて解ったが素材は繊維とゴムの2種類だけだ。


「これを新しいデザインで再構成する。イメージは暇な時書きためたデザインから――ガサガサ――これだ!」

 我ながらこの辺がマメだと思う。サクラ達の目を盗み、コツコツと書いてたんだから・・・


「やっぱりハイレグにしたいよな!どりゃ!」


 素材をボワッと、まさに言葉通りボワッと光が包み静かにゆっくりと光が消えると、机の上にイメージ通りのショーツが2枚出来上がっていた。


「おぉーーー!やった!初錬金成功だ!初錬金がショーツ・・・まあ良いか!」


 そこからはハイレグの角度を変えたり、レースを付けたりほぼレースにしたり(?)

色を変え大きさを変えて乗り乗りで作っているとあっと言う間にツバキのチェックが入った。


ツバキ「シグレ様!夕食の時間になります。そこまでですよ。」

「はーい!」



 ダイニングに行くとステーキが並べられていた。


ボタン「昨日シグ兄が言ってたお醤油のソースを作ってみたの。」


「其れは楽しみだな。」


ナナイ「それと今日はパンにしたんだけど、パンも小麦で作ってみたわ。」


サクラ「ふわふわなんです!吃驚しました。」


「おおーー良いね!早速食べよう!」


 この世界のパンは基本バゲットかカンパーニュと呼ばれる丸いパンだ。ライ麦の堅いカンパーニュはスープと一緒に食べるととても美味しいが、ステーキの時は堅くて食べ辛い。

 小麦で作った丸パンはハ○ジの白パンだ。おばあさんが涙を流す柔らかいパンが出来上がっていた。


「このパンも美味しいけど、醤油のタマネギソースが良いね!」


アカネ「本当に美味しいよボタン。」


ボタン「良かった!」


「そうだ。食事が終わったらみんなに見せたい物が有るんだ。」


ナナイ「さっき錬金してた物?楽しみ!」


「期待してて!」



 楽しくご飯を食べ終わり後片付けが終わってサクラ達もリビングで落ち着いた。


「これなんだけど、見てくれるかな。」


 収納から錬金で作ったばかりのショーツを出して見せていく。


サクラ「これは・・・私達のショーツですか?」


「そう。デザインを変えて色々作ったんだ。」


アカネ「なんか随分切れ上がってるというか、角度的に大胆なのがありますね?」


ツバキ「これは全部レースですか・・・ほぼ見えそうですけど?」


「ああそれは夜専用って事で。」


ボタン「色もデザインも随分いっぱい作ったんですね。」


「もう乗っちゃって!お風呂上がりにどれか試着してみてよ。」


ナナイ「それは良いけど・・・ちょっと問題がありそうね。」

サクラ「はい。」

アカネ「そうね。」

ツバキ「おそらく。」

ボタン「・・・あっそうか!」


「そういう問題点を遠慮しないで言ってくれないかな。あと日中も試して感想を教えて欲しいんだ。みんなの意見を取り入れて製品にしようと思ってるんだ。」


ナナイ「商品にするのね。なら頑張って協力するけど、さしあたって今日はこのレースのは無しね。」


「そうなの?」


サクラ「そうですね。根本的な問題点から指摘しないと。」

アカネ「そうね。ちょっと恥ずかしいけど。」

ツバキ「其れには・・・この辺りが良いと思います。」

ボタン「でも、差も解って貰わないとダメかも?」

「「「「「そうね・・じゃあ・・みんな穿いて・・だったら・・」」」」」


 女子の意見交換が激しくて入っていけなくなった・・・



 お風呂で洗いっこをして湯船で取り留めの無い会話をして俺は先に寝室に向かう。


 すると珍しく1階の更衣室からサクラ達の騒ぐ声が聞こえた。

「「「「「キャー!・・やっぱり!・・こっちはもっと・・」」」」」


 待つこと暫し。


―― カチャ!


 ネグリジェを着たサクラ達が入ってきた。


サクラ「お待たせしました。一応はいてきましたけどお願いが有ります。」


「なんだい?」


アカネ「これからお見せしますけど、顔が燃えるほど恥ずかしいんです。」


ナナイ「シグレくん。約束して。私達を嫌いにならないでね?」


「何でナナイやサクラ達を嫌いになるのさ?」


ツバキ「それくらいちょっと・・・」


ボタン「サク姉が1番頑張ってくれてるから最後ね。シグ兄私のから見て。」


 ボタンがネグリジェの裾を上げた。


「!・・・そう言うことか。」


ツバキ「次は私を。」

 ツバキが裾を上げる。


ナナイ「シグレくん。私から角度が変わってるから。お願いだから嫌いにならないでね!」


「大丈夫だよ!こうやって協力してくれるナナイやみんなを愛おしく思うけど嫌いになるわけ無いだろ!」


ナナイ「じゃあ・・・」

 ナナイが恐る恐る裾を上げた。


「・・・なるほど。」


アカネ「シグレ様。私もナナイと同じ物です。」

 アカネが決心したかのように勢いよく裾を上げた。


「最後はサクラだね。ん?どうしたサクラ?」

 サクラが泣きそうな顔をしている。


サクラ「本当は泣きたくなるくらい恥ずかしいんですからね!シグレ様だから見せるんですからね!もぅ・・・いいですか?」

 サクラがゆっくり裾を上げていく。


「そうだよな。これが1番切上がってるからこうなるよな。でも後ろはどうなのかな・・・」


 サクラの腰を掴んで後ろ向きにする。

「キャ!・・・」


 アカネ、ナナイ、ツバキ、ボタンと順番に後ろからの姿を確認していった。


サクラ「シグレ様・・まだですか?恥ずかしいんです・・」


「ああごめん!良く解ったよ。みんなありがとう。」


 種明かしをしよう。サクラ達が恥を忍んで訴えたのは、無駄毛の処理だ。この世界には()()()()()という概念が無いからだ。

 サクラ達の名誉のために言うと、サクラ達は決して毛深いわけではない。女性はサクラ達しか知らないが、獣人のサクラでさえショーツの下の毛は()()()()()()だ。

 それでも、例え産毛程度でも女性は気になるわけで、1番ハイレグ仕様をはいたサクラはさすがにはみ出し方がハンパない。


 実はサクラ達は脇の下を剃っている。これは俺の好みだ。最初は脇毛が汗で臭うからと言いくるめて剃った。ハイ!剃ったのは俺です!

 結果、実際に汗の臭いがしなくなったと好評で、ナナイもツバキもボタンもパーティーに加わってすぐサクラ達の勧めで処理をした。(俺が)

 それ以来、定期的にみんなの処理をしている。(俺が)


「良し!みんなお風呂に行こう!さぁさぁ!」


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