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【夜襲 裏】

―― モーガン屋敷  夜9時 ――


ヴィリアム「何でこうなった!」


ヤミン「旦那様。落ち着かれて下さい!」


ヴィリアム「儂は、儂の扱いたい物を扱う!其れの何が悪い!

 儂はモーガンだ!この国で〈五商家(ごしょうけ)〉に数えられる大店!モーガン商会のヴィリアムだぞ!

 儂に逆らうのが悪い!おまけにあの小僧すら始末出来ないだと?どういう事だ!」


ヤミン「魔法使い達は確かな実力者です。その魔法使いの魔法が一切効かなかったようです。」


ヴィリアム「クソ!どこからケチが付いた!やっぱり彼奴か?あのシグレとか言う小僧が黙って儂の言う通りにしてれば!」


「其れは無理だな。」


―― カチャ!


ヤミン「誰だ?」



―― 10分前 ――


「そろそろ倍返しに行こうか。みんな、これを!」


 サクラ達に渡したのはイサドラ様が収納に入れてくれた〈黒蚕のローブ〉だ。ローブは次元収納で複製した。


 黒蚕の糸で織られた生地は闇に溶けると言われるほど黒い。サクラ達には認識阻害と気配遮断のスキルをペーストしているから闇に溶ける黒蚕のローブで全身を覆い侵入すれば、まあ見つからないだろうね。


「ツバキ、ヴィリアムの屋敷を監視してた奴は眠らせたんだよね?」


ツバキ「はい。先ほど屋敷の場所を確認したときに【睡眠】を施しました。まだしばらくは起きないと思います。」


「了解!じゃあマスターリングだ。」


ツバキ「お預かりします。こちらのゲストリングを。」


「向こうに着いたら俺が屋敷全体に認識阻害を掛ける。屋敷の使用人は全て眠らせてくれ。」


ナナイ「さっきの魔法使いのような奴らは?」


「あの調子じゃ護衛や警護の奴らはヴィリアムの命令で人を殺してる奴らだ。容赦しなくて良い。」


「「「「「了解です!」」」」」


「みんな用意は良いか?」

「「「「「はい!」」」」」



―― 5分前 ――


門番「誰だ?」


「【風刃】」


――ザン!


ヴィリアム屋敷 正門の中


「【認識阻害】!これで周りからはいつもと変わらない景色だ。打ち合わせ通りだ。俺は執務室に行く。みんなは屋敷を制圧してくれ。」

「「「「「はい!」」」」」




―― カチャ!


ヤミン「誰だ?」


「うちの馬車は丈夫なんだ。あの程度の魔法じゃビクともしない。」


ヴィリアム「貴様はシグレ!どうやって――」


―― スッ!  キン!

 執事のヤミンが気配を殺して斬りかかってきた。


「おいおい問答無用か?」


ヤミン「良く受けましたね。」


―― キン!キン!キン!


ヤミン「どうしました?顔から余裕が無くなりましたよ?」


「呆れてるだけさ。お前、人をいたぶるのが好きだろ?さっきから狙い所が随分嫌らしいな。」


ヤミン「ならどういたします?それとも実力差を知って後悔しているのですか?」


「いや全然。決着ならもうついてる。ランクの高い魔物だと自分の実力を測りたくなるのが俺の悪い癖だけどな。」


ヤミン「何を言ってるか解りませんが、言うだけなら幾らでも出来ます!あなたが死んで終わ―― くっ・・・」


―― ガン! ヤミンが胸を押さえ膝をついた。


ヤミン「胸が・・・息が・・・」


ヴィリアム「ヤミン!どうした!小僧をやれ!」


「無理だよ。この執事はもう死ぬだけだ。【細氷(ダイヤモンドダスト)】、極低温の氷の粒を吸い込んだんだ。既に肺は凍り始めてる。目の前がキラキラ輝いてたろ?その時に気づくべきだったな。」


ヤミン「な・・何だ・・と・・」


「お前はいたぶって殺すのが好きらしいが、俺はお前らのような外道には躊躇しない。俺に打ちかかってきた時に終わってたんだよ。」


―― バタ!


ヴィリアム「ヤミン!ヤミン!・・・貴様!儂はモーガン――」

「【麻痺】」


ヴィリアム「う、が、あ、あ、ぶ・・・」


「モーガン?何だそれ?渡り人の俺にお前の家の事なんて知ったことか!俺の馬車を襲撃させたときにお前が死ぬことは決まったんだよ!」


ヴィリアム「う、あ、あ・・・」

 麻痺で動けないヴィリアムを覗き込むと涙を流している。


「お前の前で、何人がそうやって泣いたんだろうな?その人達をお前は助けたか?涙をみせた人を助けたのか?」


ヴィリアム「あ、あ、あ、ぶ、え、あ・・・」

―― カチャ!


サクラ「シグレ様。終わりました。」

アカネ「3階に性奴隷にされてる子が2人いました。」


「どうした?」

アカネ「鎖を壊して眠らせました。」


ナナイ「1階に居た警護の奴らはみんな()()()()貰ったよ。」

ボタン「2階で寝ていた奴もです。」

ツバキ「使用人は全て眠っています。」


「ご苦労さん。聞いたか?これでお前だけだ。」


ヴィリアム「う゛、あ、う゛、あ、あ・・・」


「じゃあな。」

―― シュ!  ゴト!

 ヴィリアムの首が床に転がる。


「さて、金庫を探してくれないか?」


ナナイ「えっ?お金を盗んでいくの?」


「人聞きの悪いことを言わないでよ。此奴は人を騙したり脅したり時には殺しもしていた奴だ。野盗や盗賊と一緒なんだから此奴の溜め込んだ物は退治した俺達の物だろ?」


サクラ「そうですね!その通りです。」

アカネ「遠慮は要りませんね。」


「それに、盗賊に襲われたことにした方が俺達には都合が良いんだ。」


ナナイ「あっ!そう言うことね。ボタン探しに行こう!」

ボタン「はーい。」

ツバキ「待って下さい。シグレ様、その机の後ろの本棚を横に引いてみて下さい。」


「これ?この本棚?」

 ツバキに言われた通り執務机の後ろの本棚を横に押すとズ、ズ、ズっとずれていく。


「なんだ?・・地下に降りる階段がある。」


ツバキ「ここを監視していた一族のものが見ていたんです。」


 階段の魔石灯をつけ下に降りていくと階段下に執務室ほどの部屋が有り人がくぐれるほどの金庫扉ともう一つ扉があった。


「これが金庫?デカいな。」


ナナイ「シグレくん。この金庫相当厚いよ。」


「まあ大丈夫でしょ!」


 骨喰を出して薙刀モードにし、鍵と蝶番を縦に一閃する。

―― キン!キン!


「よいしょ!」

―― ゴドン!

 ノブを掴んで手前に扉を引き倒した。


サクラ「やりましたね。」


「流石オリハルコンの刃だ。」


 中に入ると、5m四方の金庫室にとんでもなく溜め込んでいた。


アカネ「これは・・・幾ら有るんでしょ?」

ボタン「凄い・・・」


 白金、金、銀のインゴットが山積みされている。その他数えるのも嫌になるほどの硬貨に宝石類も有った。


「お金に困ってるわけじゃ無いけどめぼしい物は貰っていこう。」


サクラ「シグレ様。これは何でしょう?唯の魔石には思えないんですが?」


「これは、〈魔導石〉だ。」

 魔導石が3つ、他の物とは分けて台座の上に置かれていた。


アカネ「シグレ様。変わった弓があります。」


 アカネから白銀の弓を渡された。


魔導弓〈羽〉 埋め込まれた魔石に魔力を込めると【命中補正】【遠見】【暗視】の効果。総ミスリル製のコンパウンドボウ。


「〈魔導弓(まどうきゅう)〉と言うらしい。」


アカネ「魔導弓?」


「この魔石に魔力を込めると【命中補正】【遠見】【暗視】の効果が有る。コンパウンドボウってこの小さな滑車を使って弦の張りを調節してるんだ。弦の弾き始めから構え終えるまで同じ力で無理なく弾けたはずだ。

 無駄な力を掛けなくて良いから狙いも正確になるし滑車の作用で威力も上がるんだ。」


アカネ「面白そうな弓ですね。」


ツバキ「シグレ様。これを見て下さい。」


「ん?これは契約書か――パラパラ―― アカネ、これ後で燃やそう。残してたら困る人がいそうだ。」


アカネ「はーい!」


ナナイ「シグレくん!こっちにお願い!」


 奥に続く扉を開けて確認しに行ったナナイに呼ばれ扉をくぐった。


「どうした?なにが・・・子供?」


ナナイ「安心して、みんな眠らせたから。おそらく攫ってきた子供だと思う。ヴィリアムの奴、闇の奴隷商だったのよ。」


「巫山戯たことを・・・」


ナナイ「こっちに来て。この子、折檻されて手と目が・・・」

 目は潰されたのか眼窩が黒ずみ、片腕も切り落とされ布も巻かれず血止めがされた様子も無い。

 サクラやアカネ、ボタンの姿がフラッシュバックしてくる。


「あの外道!ナナイ。みんなを呼んできて檻の鍵を壊して枷を外してやって。」


ナナイ「解った。連れて行くの?」


「いやこのままここに居て貰う。ここの領主様に責任を取ってもらうよ。」


 ナナイがサクラ達を呼びに行ってる間に折檻を受けた子に世界樹の雫を一滴落とす。


「う・・う・・・ううう・・」


「よく生きていたな。もう大丈夫だ。

 ただ、悪いがもう一度寝ててくれ。【睡眠】」


 15人ほど居た子供達の檻を壊し枷を外した後、もう一度金庫に戻り全て収納にしまい込んだ。

 空になった金庫の中で書類を火魔法で燃やし、1階に戻り地下への階段を隠していた本棚を壊して階段を露わにしておいた。


ナナイ「領主に責任を取らせるってどうするの?」


「まずはみんな外に出よう。だがその前に。」


 ヤミンの死体の前に行き

―― ガッ!

 蹲るように倒れたいたヤミンの死体を蹴り上げて仰向けにした。


―― ドスッ! 

 ヤミンの額にヤミンの持っていた剣を柄まで突き刺した。


ナナイ「どうしたの?」


「あの子の手と目を潰したのは此奴だよ。剣を交えた時此奴の外道っぷりが伝わってきたんだ。どうにも許せなくてさ。」



 豪勢な玄関から外に出る。


「認識阻害解除!【炎弾】」


―― ヒュー・・ボン!ドガン! ボン!ボン!

 炎の玉を次々に放つ。

門に放った1発は門扉を吹き飛ばし、他は門の周囲に有った木を燃やしていく。


―― ヒュン!ヒュン! ガン!ガン!

 それから【風刃】を玄関や建物に放ち大きな音を立てた。


ツバキ「シグレ様。周りの屋敷に灯りがつきました。」

サクラ「人が来ます。複数です。」


「モーガン邸で何か燃えてるぞ!」

「門が吹き飛んでる!警邏隊に連絡しろ!」


「これで良いな。帰ろう。【転移】」




「さあ、お風呂に入ろうか!」

「「「「「はーい!」」」」」


「先に入ってるよ!」

ツバキ「お着替えお持ちしますね。」

「はーい!」


 洗いっこをしていた時だった。

ツバキ「シグレ様。地下への階段を警邏隊が発見しました。」


「そうか。あの子達がちゃんと保護されるまで監視を頼む。」

ツバキ「お任せ下さい。」


 洗い終え湯船に浸かる。

サクラ「やっぱり露天風呂は良いですね。」

アカネ「本当!落ち着きますね。」


ナナイ「シグレくん。金庫の中にどれくらいあったんだろうね?」


「えーとね。白金のインゴットが32本。金が80本。銀が124本。硬貨が全部で白金貨8200枚分くらいかな。それから――」

ナナイ「シグレくん!何かいいや。感覚が変になりそう。」


「ははは、そうだね。でもこれだけじゃないだろうな。あの手の奴は用心深く1カ所には置かないと思うからね」


ボタン「じゃあまだまだ有るって事?」


「間違いなくね。さしあたって店の金庫だろ。その店だって支店は幾つもあるだろうし、それと屋敷だって1つや2つじゃないはずさ。だって、あの屋敷に家族は居なかったんだろ?」


アカネ「そう言えば、女の人は使用人と性奴隷の2人しかいませんでしたね。」


「だから、あの金庫分を俺達が貰っても領主や商業ギルドは他から回収するんじゃないか?」


ツバキ「シグレ様。ラディス辺境伯とグスタフ殿がモーガン屋敷に来ました。」


「あの子供達は?」


ツバキ「辺境伯が来る前に地下から1階に運ばれています。少しお待ちください・・・辺境伯から警邏隊宿舎に連れて行くようにと指示されたようです。」


「警邏隊宿舎に入ったら心配ないな。ツバキ。其れまで頼むよ。」


ツバキ「お任せを。シグレ様。今辺境伯からモーガン商会の店の捜索が命じられました。」


「流石に早いな。今日中に支店も全部抑えられるんじゃないか。」

サクラ「支店もですか?」


「ツバキ、グスタフから指示は出てないか?」

ツバキ「使いを商業ギルドに出したようです。」


「やっぱりね。グスタフの指示は商業ギルドの支部を通じて支部の有る領主に報告、迅速にモーガン商会の接収を行えって感じかな。」

ナナイ「商業ギルドは傭兵を抱えてるから単独で動くんじゃない?」


「流石に大店に単独で押し込んだら唯の襲撃に見えると思うよ。まあ、対応は領主によって違うかも知れないけど支店の金庫を商業ギルドと分けられるんだから領主も協力はするでしょ。」


ボタン「どうしてシグ兄はそんな事まで解るの?」


「ん?・・・そう言うものだから。としか言いようがないな。」


ボタン「私にはまるで解んないや。」


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