【お約束だ!】
ネールを発った俺達はオウコとコハクを早足程度に走らせ時々森から顔を出すオークを見つけてはティナ達のレベルアップにあてていた。
サクラ「シグレ様!オークが5匹です!」
「ティナ。どうする?」
ティナ「やります!イデリナ!」
イデリナ「はい!紫蘭玉樹出るぞ!」
「「「「はい!」」」」
今朝、妖精の樹で朝食を済ませエバンスさんに発つことを告げに行くと・・・
エバンス『シグレくん。昨日は寝てて正解だよ。お客もいなくて貸切状態だっただろ?あれからうちのかみさんまで加わって女の子達の会話が・・・君と僕の夜の個人情報は筒抜けだからね。』
と小声で言われた。
ティナ達の俺を見る目が変わったのはそのせいか?
サクラ達は何を言ったんだろ?
聞いたら藪蛇そうだし、恐い!
モヤモヤを抱えながらギルドに行きカードを出して精算するとゴブリンロードだけで白金貨10枚になった。
ロードの持っていたデュアルソードも買い取りの場合白金貨20枚と言われたが売るのを止めた。面白そうな武器だったから。
ゴブリンに限らずジェネラル以上になると固有の武器と一緒に生まれ出る。その武器がたとえ棍棒でも滅多に手に入らない素材だったりするらしい。
今回ジェネラルは黒鋼の大剣や棍棒を、キング3匹はそれぞれミスリルの剣と斧を持っていた。
そして俺が倒したロードのデュアルソードはアダマンタイト製だった。
因みに、ティナの倒したキングは白金貨2枚で買い取られ、ミスリルの剣は売っていない。
キングの剣はティナからイデリナに『いずれこの剣を自在に扱って欲しい』と渡された。
ティナ達を馬車に案内すると拡張された室内には驚かなかったがコの字型のソファに感心していた。
ボタン曰く、ティナ達もサラケスに置いている自前の拡張馬車で寝泊まりをしていて造りの豪華さは負けていないらしい。さすが貴族!
馬車以上に感心されたのがオウコとコハクだ。武を尊ぶヘンウッド家では馬をそれは大事にするらしく、ティナ達も例外なく馬が好きらしい。オウコとコハクに素晴らしいを連呼していた。
「お疲れ。それにしても随分危なげなくオークを狩れるようになったじゃないか。」
イデリナ「いやまだだ。距離があるとティナ様の魔法しか対応出来ない。魔物に距離を取られた時の戦法をもっと詰める必要がある。」
「はは、何日か前とは違って随分前向きになったな。」
イデリナ「そ、それは・・今は強くなりたい。私達が強くなければティナ様の為にならない。シグレ殿の言葉を痛感してるんだ。」
ティナ「シグレ様。みんなで話し合ったんです。強くなろう、文句を言わせない強さを身に付けようって!」
「良い答えだと思うよ。ところで聞いてなかったがティナはレベル幾つになったんだ?」
ティナ「はい。キングを倒した後レベル20になりました。」
アカネ「凄いじゃない!」
ボタン「やりましたね。ティナ様。」
ティナ「ボタン。ティナ様は止めてとあれほど昨日言ったのに。」
ボタン「すいません。でも呼び捨ては私には無理ですよ。」
イデリナ「私もティナ様の恩恵でレベルが26になった。他の者も24だ。」
「レベル差の賜だな。もうダンジョンに潜る必要もないだろ。王都に戻るのか?」
イデリナ「ティナ様とも相談したんだが、時間の許す限りサラケスのダンジョンに潜ろうと思っている。私達はまだまだ弱い。出来るだけ強くなって戻るつもりだ。」
「そうか、無理はするなよ。」
ティナ「はい。それは身に染みてますので。取り敢えずサラケスに戻ったら8階層からやり直そうと思っています。」
「良いんじゃないか。さっきの遠距離の話もイデリナ以外の4人に弓を持たせるのも良いかもな。当たらなくても、牽制するだけでも良いかもしれない。」
イデリナ「なるほど!相手の動きに合わせて剣に持ち替えれば良いのか!」
「まあ時間があるなら色々試してみると良い。但し調子に乗ってたら死ぬぞ。そこは注意してだ。」
ティナ「シグレ様はダンジョンの最下層を目指してるんですか?」
「いや、まったく目指してないよ。」
「「「「「「えっ?」」」」」」
ナナイ「シグレくんは、ダンジョンの制覇より色んな所に行ってみたいんだって。」
こんな会話をしながら馬車を進めているとサラケス側の村の手前で野営をすることになった。
オウコとコハクを馬車から放し、馬車の周りに以前に購入した結界魔道具を置きティナ達に内緒で人にも有効な認識阻害の魔法を張る。
夕食は馬車内で作って外にテーブルを出して食べた。野営だしね。
寝る時は馬車の部屋をティナ達に提供し、お風呂も自由に使って良いと言っただけなのにティナ達の顔が途端に真っ赤になった。解せん。
俺達は隠し部屋が有ることにしてパーティーボックスに入り、いつも通りお風呂で5人を念入りに洗った後、もちろんいつも通り最高の夜を過ごした。パーティーボックスの音は外に漏れないからね。
アカネがキスで起こしてくれた。
「あっ、また・・ダメ・・みんな待って・・あ・・」
どんな時もおっぱいの攻略は忘れない。
ツバキにベッドから剥がされ、用意をして外に出るとテーブルに朝食の用意が出来ていた。
「サクラ、おはよう。」
サクラ「おはようございます。ん・・・」
ナナイ「ん・・・おはようシグレくん。」
「おはようナナイ。ボタンもおはよう。」
ボタン「おはようございます。ん・・・」
「あっ!・・・忘れてた。」
視線を感じて振り向くとティナ達が俺を凝視していた。
ティナ「おはようございます。」
「「「「「おはようございます。」」」」」
「お、おはよう。恥ずかしいところを見られたな。」
ティナ「そうですか?人様のキスを見たのは初めてでしたけど、でも良いなって思いました。みなさんとっても自然で、羨ましいなって・・」
「ははは、恥ずかしいから忘れてくれ。」
朝食を食べ終わり馬車を走らせ三の鐘の前にはサラケスに着いた。
入場待ちの間に三の鐘が鳴ったのは初めて来た時と同じだ。
入場して南門の馬車溜まりに馬車を止めティナ達とサラケスの冒険者ギルドに報告に向かった。
ジャネット「あっ!シグレさん!ご苦労様でした!」
「5日ぶりかな。ネールの依頼を終わらせたんで報告に来たんだ。」
ジャネット「聞いてますよ!ゴブリンロードを討伐したそうですね。」
「おい?今ゴブリンロードって言わなかったか?」
「なんだガキじゃねえか。」
「ロードって?あんなガキに倒せるわけねえだろ!」
『ジャネット声デカいよ・・』
ジャネット「ティナさん達もキングを討ったそうですね?」
ティナ「あの私達は大したことしてませんから・・それよりパーティー名が正式に決まったのでお知らせしようと。」
ジャネット「それも報告が来てました。〈紫蘭玉樹〉ですね。」
ティナ「はい。宜しくお願いします。」
「ジャネットさん。今日は報告だけなんでこれで失礼するよ。」
ジェネットに挨拶をしたところで後ろから声を掛けられた。
「おい小僧!ちょっと待て!」
振り返ると30前後の厳つい冒険者が立っていた。
『さっきブツクサ言ってた奴だ。』
「随分沢山女を連れてるじゃないか。それも小僧にゃ勿体ない女ばっかりだ。俺が引き取ってやる。置いてけ!」
『スゲー!なろうのお約束だ!初めて絡まれちゃったよ!うん。面倒くせーのもお約束だ!』
顔は見たが無視することにした。
「帰ろう。」
「「「「「「はい。」」」」」」
ティナ達「「「「「「はい。」」」」」」
「待てよ!」
おっ?バカタクか?
「テメー!この月光騎士団のラドスワケ様を無視するとは良い度胸だな!」
「ジャネットさん。こちらどなた?」
直接話したくないのでジャネットに聞く。
ジャネット「えーと、最近サラケスに来たC級パーティー月光騎士団のリーダーさんです。」
「面倒くさいから絡まないでくれって伝えて貰える?俺達は帰るから。」
やっぱり口が臭そうなのでジャネットに振った。
ジャネット「えっとー、ラドスワケさん。シグレさんが絡まないでくれって言ってます。」
「テメー!随分舐めたことしてくれるじゃねえか?どうやら教育的指導が必要なようだな?」
そう言ってラドスマケが俺の肩を掴んだ。奴のパーティーメンバーらしきのもニタニタしながら集まってきている。
『肩を掴んで力を入れてる?なに?肩でも揉んでくれるのか?』
「男に触られて喜ぶ趣味は無いんだ。」
ラドスボケの手首を掴んで肩から外し、そのまま握って捻っていく。
「ラドコボケさんでしたっけ?」
―― ミシ! 「ぐっ・・」
「何でしたっけ?女を置いていけでしたっけ?」
―― ミシ!ミシ! 「うっあっ・・」
「お前、どんなバカなことを言ったか自覚はあるんだろうな?」
手首を掴み握力を加え威圧を込めて言い放った。
―― ミシ!ミシ!バキッ! 「ギャーーーー!」
『脆い手首だな。マクシムと握手の時程も力を入れてないけどな。』
ジャネット「シグレさん!ストップ!ストップです!」
「ナニモシテナイヨ!」
視線でジャネットに訴えた。
「肩を掴まれたから離しただけだけど?」
ジャネット「解ってます。私見てましたから。でもそこまでにして下さい。」
ジャネットが取り成す間も俺はラドボケボケの手首を放していない。
ラドボケナスは必死に俺の手を払おうとしている。その後ろで月光騎士団のメンバーがオロオロし始めた。
ナナイ「シグレくん!」
ナナイの声で手首を離してやった。
手首を押さえ蹲るボケカボチャ?なんだっけ?他のメンバーが奴を囲む。
サクラ「シグレ様。帰りましょう。」
「はーい!」
ティナ達と一緒にギルドを出た。
イデリナ「バカな男だ。ロードとシグレ殿の戦闘を見たら絡もうなどとは思わなかったろうに。」
ティナ「そうですね。人は見かけによりませんから。」
「どういう事?」
ナナイ「言葉通りじゃない?ふふ。」
ティナ「シグレ様。また食事でもしましょう。」
「そうだな。無理しないようにな。」
ツバキ「何かあったらシグレ様を頼って下さいね。」
「おいおい。」
ティナ達は自分たちの馬車に戻っていく。
「今日はこの後馬車に帰ってノンビリしようと思ったんだけど、さっきの月光仮面のおかげでさっぱりしないな。」
サクラ「月光仮面?月光軍団じゃなかったですか?」
「あれそうだった?まあいいや、このモヤモヤは10階層に行ってボスにぶつけよう!」
ツバキ「10階層のボスもいい迷惑ですね。因みに月光騎士団です。」
ボタン「10階層のボスに同情しそう。」
アカネ「でも私達のために怒ってくれて嬉しかったです。」
ナナイ「今日はサービスデーかな?」
「えっ本当?サクッと10階層やっちゃおう。さあ行こうか!」
「「「「「はい。はーい。」」」」」




