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【スタンピード】

 今日の朝の当番はボタンだ。

 当然ボタンのおっぱいを攻略する。


「ダメだよシグ兄。早く起きて・・・あん・・ダメ・・」


―― カチャ!


ツバキ「シグレ様!時間が余り有りませんからね。急いで起きて下さい!」

「はーい!」


 いつも通りツバキにベッドから出されてエバンスさんの朝食を食べる。

 1階の食堂ではティナ達も朝食を食べていた。


 準備を整えティナ達と一緒に南門を出て防護柵の左側、配置された左翼へと向かった。


ファビアナ「来たか。シグレ、私の左翼は15グループにソロを入れて75人だ。さっきギルマスが来て左翼の動かし方は任せると言われた。どうすれば良い?」


「どうして俺に?」


ファビアナ「あたしは細かいことを考えるのが苦手なんだ。昨日あんな提案をするくらいだ、シグレの方が得意だろ?」


ナナイ「ふふ。シグレくん、任されたら。指示はファビアナに出して貰えば良いのよ。」


 仕方が無いので辺りを見渡し地形を確認した。


「ファビアナ。左翼は森と距離がある。陣を少し前に出そう。

  対処は正攻法で良いと思う。魔物が押し寄せてきたら引きつけて初手は弓。弓の後に魔法だ。目的は先頭を走る魔物を狙って仕留めなくても転ばせば良い。

 その為に弓使いと魔法使いを3つにわけたい。それぞれ数を聞いて左右に割り振ってくれ。中央はうちのパーティーが受け持つ。」


ファビアナ「転ばす?勢いを殺すのか!」


「そうだ。弓と魔法で魔物の前線を崩したら昨日の作戦通りファビアナと俺達は中に切り込む。残った隊は魔物の前線まで押し上げて迎撃だ。」


ファビアナ「それだと他の冒険者も中に入ろうとしないか?」


「勢いでそうする奴も出るだろうな。だから俺達が中に入ったら左翼を見てくれる奴が欲しいんだが誰か居ないか?」


ファビアナ「なら打って付けのが左翼に居る。ラウルス!」


ラウルス「何だよファビアナ。」


ファビアナ「C級のラウルス。石橋は壊して自分で組んで渡る慎重な奴さ。付いた二つ名が〈不動〉のラウルス。こうと決めたら動かないからね。」


「なるほど。頼りになりそうだ。」


ラウルス「なんだよファビアナ。俺に何かさせる気か?」


ファビアナ「ああ、あたし達が魔物に切り込んだら、左翼を任せる。深入りさせないようにしてくれ。」


「もう一つ。キングを倒したら押し上げて欲しい。決着に持って行きたい。」


ラウルス「それまで前線を維持すれば良いんだな?」


「その通り。」


ファビアナ「良し。各パーティーのリーダーとソロは来てくれ!」


 ファビアナの呼びかけにリーダー達がぞろぞろとやって来る。


ファビアナ「ここ左翼を任されたB級パーティー〈赤い連檄〉のファビアナだ。先に言っとく。みんなの命を預かる気は無い。冒険者は命あっての物種だ、死ぬ前に離脱しても文句は言わないから安心してくれ。だが依頼を受けた以上遣り遂げる責任もある。そこを踏まえて協力してくれ。」


「おう。解ってるよ。」

「依頼は好きで受けたんだ。任せてくれ。」


ファビアナ「早速だが弓使いと魔法を使える奴がメンバーにいたら人数を教えてくれ。」


 ファビアナの呼びかけで解ったことは弓使いはともかく魔法使いは16人しかいなかった。俺にアカネ、ツバキとティナを外すと他に12人。その内6人が同じパーティーらしい。魔法使いだけのパーティーも有るんだと感心した。


「しかし魔法使いって意外に少ないんだな。」


ナナイ「物理系との混成パーティーでうちみたいに魔法使いが3人は滅多にないわね。」


 申告のあった人数に合わせてファビアナが左右に割り振っていく。


ファビアナ「魔物が押し寄せたら弓からはじめる。弓、魔法と仕掛けて勢いを殺す。死ななくても転ばすだけで良い。魔物の勢いが削がれたら昨日の打ち合わせ通りあたしのパーティーは中に切り込む。その後はC級のラウルスに任せてある。前線を維持して魔物を抑えてくれ。くれぐれも深入りはするな。ラウルスの指示を守ってくれよ。」


「了解した。」

「かまわねえぞ。」

「指示は任せた。」


 そこに本部からの伝令が来た。


「森の様子が変わりました!布陣をさせて下さい!」


ファビアナ「始まるぞ!配置に付け!」



 森膨れも実際には森が膨れるわけではない。異常な魔素の発生が森を膨れたように見せている。

 魔素の異常発生が収まると森はいつもの様子を取り戻すが、大きく違うのは魔素の異常発生によって多くの魔物が生み出されていることだ。

 ヨスの森は明け方近くにはいつもの様子に戻っていた。

 

 二の鐘が鳴る。


アカネ「シグレ様。森から魔物が出てきました。」


 滲み出るようにジワジワとゴブリン、グリーンウルフ共が森から姿を現した。


「一気には来ないのか?」


ナナイ「私達の左翼側で500はいそうね。」


「小賢しいな。俺達に合わせて3隊に分けてやがる。」


 俺達の前に滲み出た魔物達が左右に100mほどに広がった時叫び声が上がった。

「ギャギャギャーーーーーー!」


ファビアナ「来るぞ!弓用意!魔法もいつでも打てるようにしておけ!」


 魔物達が一斉に駆けだしてきた。

 先頭はスピードに勝るグリーンウルフ。そのなかにちらほら大きな緑の体。


ファビアナ「先頭にホブゴブリンが混じってるぞ!」

「「「おう!」」」


ファビアナ「まだだ!まだ打つなよ・・・・いまだ!打てーー!」

 魔物が残り100mを切って弓を射かけた。


「アカネ!ホブゴブリンを狙え。」


アカネ「はい!」

 アカネがゲドの弓で容赦なくホブゴブリンを狩っていく。


「おいあの女凄くないか?」

「ああ、ホブゴブリンだけを確実に狙ってる。」


 バタバタと倒れていくホブゴブリンやグリーンウルフが邪魔になって後続の魔物の足が遅くなる。


ファビアナ「良し。弓は下がれ!魔法打て!」

 魔物の先頭が50mに近づいてファビアナから魔法の指示が出る。


「じゃあ行きますか。氷槍20連!」

 氷の槍を健気に走ってくるゴブリンに放つ。氷の槍に射貫かれ見る間に目の前のゴブリンが倒れていく。


ツバキ「【雷雨】!」

―― ザー、ビシビシ!・・・「【雷】」

 ツバキの雷雨が視界に入る一帯に降り注ぐ。さすがにそれだけでゴブリンもグリーンウルフも倒れないが、そこに【雷】が響き渡る。


―― バリバリバリ・・・

「「「「「グギャーーー!」」」」」

 雷の近くに居た魔物は黒焦げになり、遠目に居た魔物も麻痺で動けなくなっていた。


アカネ「【炎渦】2連!」

 2重の炎渦が魔物を飲み込んでいく。

―― ゴォーーー!

「「「「「ギャーーーーー!」」」」」

 炎に纏わり付かれ魔物達が吹き飛ばされ焼けただれていく。


「な、何だよあのパーティー!」

「おいおい、とんでもないぞ!」

「雷?雷の魔法なんて初めて見たぞ!」


 そして俺の右側でティナの声が聞こえた。


ティナ「【水弾】!【氷槍】!」


「おい、あのちっこい子も凄えぞ!」

「ああ魔法の構築が速い・・」


「ファビアナ!」


ファビアナ「ああ頃合いだな。赤い連檄出るぞ!」

「「「「はーい!」」」」

「サクラ、アカネ、ナナイ、ツバキ、ボタン出るぞ!」

「「「「「はい!はーい!」」」」」


 ファビアナを先頭に魔物の中に切り込んでいく。

 ゴブリン、グリーンウルフ時々ホブゴブリンを蹴散らしながら進むとすぐに大きなゴブリンが3匹、フォレストウルフが3匹待ち構えるように居た。


ファビアナ「おいおい、ゴブリンジェネラルが待ち伏せか?」


「良いじゃないか。やることは一緒だ。」


 両手剣使いのファビアナが1人で1匹目のゴブリンジェネラルを両断する。


「さすがだな。じゃあ俺も。伸びろ骨喰!」


 骨喰を薙刀モードにして大きな口を開けて迫ってきたフォレストウルフを一太刀に切り伏せる。

 ボタンが2匹目のフォレストウルフの前足を切り落とし、サクラが首を落とした。


 ツバキの雷で動きを止められたゴブリンジェネラルはナナイに袈裟に切られて崩れていた。


 アカネは俺達に他の魔物が絡まないように小物を削っていく。


 気づくと赤い連檄も残りのゴブリンジェネラルとフォレストウルフを狩り終えている。


ファビアナ「何だこんな物か?」


「いや、来るぞファビアナ!」


 そこに今まで見たゴブリンでは最も大きな黒い個体が現れた。


ゴブリンキング レベル42


ファビアナ「出たなランクB!真ん中にいると思ってたけどね。当たりだった!」


 すると遠くから叫ぶような声が聞こえてきた。


「キングだー!ゴブリンキングが出たぞーー!」


ファビアナ「何だって?あそこは中央、漆黒の牙じゃないか!」


「ファビアナ!右翼からも聞こえる。どうやらキングが3匹居るらしい。」


ファビアナ「キングが1度に3匹?そんな事聞いたこと無いぞ!」


「ガ、ガ、ガ・・」


「ファビアナ!此奴笑ってやがる。どっちにしろやることは同じだ。」


ファビアナ「そうだな。赤い連檄行くぞ!」

「「「「はーい。」」」」



 キングに向かう赤い連檄。その様子を見ながら俺は違和感を覚えていた。


ナナイ「どうしたのシグレくん?」


「何かおかしい。何だこの違和感は・・・!冒険者達は?」


ナナイ「左翼は打ち合わせ通り深入りはしてないわ。」

ツバキ「右翼もさほど前には出てないようですが中央は押し出しが速いです。すでに森に迫りそうな勢いです。」


「拙い!拙いぞ!」


ナナイ「どういう事シグレくん?」


「ナナイ、ここまでアーチャーやメイジを見たか?」


ナナイ「そう言えば1匹も見てないわね。でも所詮アーチャーとメイジよ。」


「ああ少数ならね。でも集団にして俺達みたいに引きつけて集中攻撃してきたら?」


「矢だーー!矢が降ってきたぞーー!」


「遅かった!中央!隊を下げろ!森から離れろ!」


「魔法だー!火魔法だーー!」


「森からだ!此奴ら仲間も関係無しだ!」


「逃げろーー!矢も魔法も敵味方関係ないぞ!」


 中央に矢と魔法を放っている森に目をやると、森から赤いゴブリンが走り出て来るのが見えた。


「ナナイ!あの赤いのは?ゴブリンロードか!」


ゴブリンロード レベル54


「レベル54らしい。」

ナナイ「54?本来ならランクはBだけど、ゴブリンロードはその性質上ワンランク上に見做されるの。」

「てことはランクAか!」


「そうなるけど、でもロードまで居るなんて・・・」


「ファビアナ!ロードが出たがどうする?」

 キングを取り囲んで戦闘をしていたファビアナにロードが出たことを告げた。


ファビアナ「このキング、周りの上位種を上手く使ってくるんだ!手が離せない!」


「そのキング任せて大丈夫か?」


ファビアナ「舐めるな!」


「解った!ヒイラギ中央に行くぞ!」

「「「「はい!」」」」


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