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【パーティー会議】

「ナナイ。色々今後のこととか打ち合わせしたいんだ。朝食をエバンスさんから貰ってきて此処で食べよう。」


ナナイ「良いわよ。じゃあ着替えたら下に行ってくるわね。誰か一緒にお願い。」

サクラ「私が行きます。」


ツバキ「では、紅茶の用意をしておきます。」

アカネ「ツバキ、私も手伝う。」



 パーティーボックスの中で朝食をとりながらパーティー会議を始めた。


ナナイ「それでどんな話?」


「まあ色々なんだけど、最初はスキルのことかな。ステータスを見直して考えたんだけど、スキルのコピペをしていこうと思う。

 まず、【気配探知】と【気配遮断】は全員にペーストする。両方とも身を守るのに有効だしね。」


ナナイ「そうね。得手不得手でスキルの効果に強弱はあるけど当然無いよりは良いわね。」


「そう思ってさ。それとみんなにペーストするのは俺が持ってる【体術】かな。」


サクラ「体術って言うのは格闘術とは違うんですか?」


「【格闘術】は無手で戦うスキルだね。【体術】は体を動かすこと全てに有効なスキルだよ。体の動かし方の基本が詰まってるってところかな。」


サクラ「なら私は【格闘術】も頂けますか?」


「構わないよ。他に【格闘術】の希望はあるかな?」


アカネ「私もどんな時でも自分の身は守りたいので。」


「そう言うことね・・ならこの2つも全員にペーストだな。」


 この辺で全員サンドイッチを食べ終わりツバキとアカネが紅茶のお代わりを配り始めた。


「次はアカネになんだけど。ツバキが持ってる【遠見】と【暗視】をコピーさせて貰おう。」


アカネ「【遠見】と【暗視】ですか?」


「せっかくゲドの弓って言う強力な弓が手に入ったからね。視力が強化された方が良いと思ってさ。ツバキ。コピーして良いかな?」


ツバキ「もちろんです。」


「そして魔法だな。最初に魔法について報告があるんだ。」


ナナイ「なんか重そうな雰囲気ね。」


「重いかどうかは解らないけど、ダイモンの本で解ったことを教えるよ。

 この世界の魔法はおよそ1万年前に廃れてそこから復活してるんだけど、どうも1万年以前より劣化してるらしい。」


「「「えっ?」」」


「ツバキは知ってたみたいだね。」

ツバキ「はい。ダイモンから聞いていました。」


ナナイ「ねえどういう事?」


「簡単に言えば呪文を忘れてしまったって事かな。」


 この世界の魔法は1万年前に時の統一帝国皇帝に禁止され全ての記録や術式の処分から魔法使いまで殺されてしまった。その為統一帝国が滅び魔法の復活が始まった時に参考になる物がなくなっていた。って事になってるが、例外ってのは何にでもある物で、秘密裏に隠し通した物も者もあった。まあ、目に付かないようにしたわけだから中々見つからないわけだけどね。

 そんなわけで、統一帝国崩壊後の魔法研究者はようやく見つけた?見つかった?僅かな文献を頼りに小さな光や火を灯すことからはじめた。それが今の生活魔法となる。


 そして研究者達が辿り着いた魔法の起動方法が、発動後の効果をイメージして魔力を練り上げることだった。その為、術者は起動の度に声に出したり呟くようにイメージを口にするようになったそうだ。


 イメージの現し方、表現は人それぞれ違う。だから今この世界の魔法は同じ()()()を作る場合でも起動時間に効果や威力もまちまちになっている。


 そして、イメージできない物は魔法として発動できなくなった。例えば雷魔法は雷が何故ひかり落ちるのか解らないとされている。わからない物はイメージできないので雷魔法の使い手が現れていないらしい。


アカネ「なんとなく解りましたが、それでもイメージさえ出来ていれば効果も威力も上げることが出来ると思うんですが?」


「そうだね。ただ簡単に確実にイメージが構築できれば遥かに効果や威力に差が生まれるんだ。時間のかけ過ぎが良くないのさ。」


ナナイ「それが呪文って事?」


「まあ厳密には呪文じゃない。〈名付け(なづけ)〉さ。」

「「「()()()?」」」


()()()()()()()()()()()()()()()だけで良いんだ。ただし最初は頭でイメージを作り上げる必要はある。

 1度発動した魔法に名前を付けるとイメージと名前がリンクしてより強力な効果を発揮するんだ。」


アカネ「シグレ様は初めて魔法を使った時から呼び名を付けていましたよね?」


「ああ偶々ね。本当に偶々イメージしやすく呼びやすいように名前を付けてただけなんだ。結果それが良かったんだけど。」


アカネ「確かに【炎渦】も名前を付けてからの方がスムーズで威力が大きいとは思っていました。」


ナナイ「それって凄い発見なんじゃないの?」


「んーそうかもね。でも、みんなの他に話す気は無いよ。」


サクラ「どうしてですか。」


「まず公表しちゃったら俺がどうやってその知識を得たか話さなきゃいけない。そうなるとダイモンのことを話すことになる。それは嫌だ。せっかくツバキが守ってきた物を荒らされそうだからね。

 それにどこかの莫迦な国が絡んできそうだし。面倒くさいのはやだよ。」


ナナイ「シグレくんらしいね。私はその考え賛成だけど。」

サクラ「魔法は今でも使えてるわけだし。私も賛成です。」

アカネ「では名付けの起動方式は私達のオリジナルですね!」

ツバキ「私はシグレ様の思うままに。」


サクラ「もうツバキは従順すぎです。そんなに何でも受け入れたら、昨日のあんなことやこんなこと毎日されちゃうわよ?」

ツバキ「毎日は・・でもサクラは嫌なの?」

サクラ「全然嫌じゃないけど・・私も毎日は・・」

ナナイ「はいはい、私は2日に1度ならオッケーよ!」

アカネ「ナナイ、ズルい!私も2日に1度なら・・」


「おいおい・・・話を戻します。魔法なんだが、雷魔法を覚えた。ダイモン曰くイメージで構築できない物は魔法陣を覚えるんだそうだ。その魔法陣がこの〈雷魔法〉の本に書いてあった。」


ナナイ「魔法陣は見かけることはあるけど、シグレくん魔法陣を読めるの?」


「読めた。魔法陣は魔法文字って言うので書かれてるらしいんだ。俺には【多言語理解】って言うスキルがあって魔法文字が読めたんだ。もっとも読めただけで魔法陣を構築することはまだ難しいけどね。」


ナナイ「読めただけで凄いことじゃない!シグレくんって()()()だよね。」

ツバキ「()()()ですね。」


「ツバキ。何処でそんな言葉を?」


サクラ「チートって何ですか?」

ツバキ「反則って意味らしいです。」


「「「あーー。」」」


「変な納得はしないように・・・続けるよ。雷魔法はツバキにペーストする。これで後衛の戦力が厚くなる。」


ナナイ「そうね。前衛があたし。シグレくんが中衛でサクラは前衛と中衛の間。後衛がアカネとツバキ。バランスは悪くないわね。でも私の前衛も完全に敵を止める盾じゃないから、今後増やすなら盾役が理想的ね。」


「そうだね。唯その辺は臨機応変だな。そもそもみんなと合わないのにメンバーに入れたくないしね。」


サクラ「何より、シグレ様が気に入ってくれないと。」

アカネ「おっぱいは必須ですね。」

「あのね・・・」


ナナイ「でも意外とすぐ必要な子が見つかると思うわよ。」

「どうして?」

ナナイ「勘かな。ふふ、女の勘よ。」


「さいですか・・・ああそうだ、実は【空間魔法】を覚えてたんだ。」


ツバキ「空間魔法ですか?」


「多分だけど転移したからだと思う。ただ、使い勝手が解らないんだ。だからまだ検証段階だね。

 しかし、この世界は何かチグハグだよね。」

サクラ「どういう事ですか?」


「うん。例えば【空間魔法】も【魔法付与】も固有名詞にすれば失われた【古代魔法】だと言われるんだけど、そのくせ拡張鞄や拡張馬車は作られてる。これって“空間の付与”だよね?」

「「「あっ!」」」


「でしょ?ところが職人が【錬金術】で作ってることになってるから誰もおかしいと思ってないんだ。

 とまあ、俺から見れば“おかしくない?”って事がいっぱい有るってことさ。まあ、別に良いんだけどね。」

アカネ「そんな事、考えもしませんでした・・・」


「ははは・・じゃあ次の話ね。レベルアップなんだけど。ナナイ、ヨスの森で良いか?」


ナナイ「それなんだけど、北の森に行こうと思うんだけど?」


「北の森?」


ナナイ「サラケスへの街道沿いの森をそう呼ぶの。オークが居るのよ。ヨスの森よりは効率的にレベルアップが出来ると思うわ。」


「ナナイに任せる。じゃあ明日からはギルドで北の森方面の依頼がないか確認してみよう。」

「「「「了解。です。」」」」


「北の森でレベルアップしたら他の街に行きたいと思うんだけど、その前にこの世界の国のことを教えてくれないか。」


ツバキ「私がお話ししますね。

 まずこの大地、大陸をエギンバラと呼んでいます。今シグレ様がいるのがカールスブルク公王国。この大陸の西にあり大陸一の大国です。

 この国の南で国境を接しているのがゲスキア王国。この50年で何度か北進を企ててカールスブルク公王国に軍を進めて撃退されています。

 カールスブルク公王国の南東には黒の森と呼ばれる広大な森があって、その黒の森の先にエマル獣王国。その南にセレゴス王国が海に接する形であります。

 エマル獣王国とセレゴス王国の東がミサロニア帝国。版図はカールスブルク公王国の次を誇ります。カールスブルク公王国とも一部国境を接しています。

 セレゴス王国とミサロニア帝国に挟まれるように自由諸国連合が存在しています。

 カールスブルク公王国の北、ローデリア山脈を越えるとデュラト聖道国があります。」


「ありがとう。国の位置関係はだいたい頭に入れたよ。さて、この後は何処に行ったら良いかな?」


ナナイ「そうね、候補としては北のサラケス。管理された大きな迷宮があるの。南に行くと港町のトントね。セレゴスや自由諸国連合との貿易で栄えてる街よ。後は東に行ってセグルドね。此処はネールやトント、サラケスから商品が集まる公王国一の商業都市なの。」


「みんなは何処に行きたい?」


サクラ「そうですね。取り敢えず興味があるのは迷宮ですね。」

アカネ「私も迷宮は入ったことが無いので行ってみたいです。」


「と言うことはサラケスか・・・了解だ。」


ツバキ「シグレ様。マッフェオが手下が戻ってこないと荒れているようです。確認に人を出すみたいですね。」


「そうか。ほっといて俺達は買い物がてらお昼を食べに行こう。」


サクラ「買い物ですか?」

「ああ、まずはツバキの防具と服だな。服はみんなも買って良いからね。」


アカネ「私達も良いんですか?」


「もちろんだよ。依頼を受けて稼いだお金はみんなの分でもあるんだから。それにアカネ達には綺麗でいて欲しいからね。」




 宿を出た俺達は、最初に防具屋に行きツバキのバトルドレスを購入した。

 防具屋を出た頃には三の鐘もすぐだったので、ナナイお薦めの店で昼食を取った。

 朝が軽かったので昼からステーキだ。


 昼食を食べ街をブラブラと歩きながら服屋を物色し(女子達が)此処と決めた店でたっぷり1時間。俺は時々試着して見せに来るサクラたちに相づちを打つお仕事だ。


ツバキ「あのこんなに買って頂いて宜しかったんですか?」

「構わないよ。サクラ達も喜んでるしみんなの笑顔が見られるんなら安いものさ。」


 宿に戻ると奴隷商のレンドンから伝言が届いていた。


サクラ「レンドンさんからはどんなお話しなんですか?」

「出来れば四の鐘に合わせてきて欲しいらしい。」


アカネ「まだ間に合いますね。」

「そうだね。行こうか。」


 

 俺達は宿を出てレンドン商会へと向かった。


ツバキ「シグレ様。マッフェオが街に私達がいることに気づいたようです。激高しているそうです。」


「ふーん。忙しい奴だな。」

ナナイ「シグレくん。買い物は必要だったけど街をブラブラしたのはわざとでしょ?」


「はは、気づいた?」

ナナイ「もう性格悪いんだから。わざとマッフェオに気づかせたんでしょ?」


「どんな反応をするかと思ってね。これで何か行動を起こしてくれたらそれも良いかなって。決着を付けるなら早い方が良いだろ?」


ツバキ「私達を見張れと指示を出しました。」

「そうか。ああ、着いたね。」


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