【ナナイさん】
「剣を収めろ!兄上もこのような天下の往来で何をされているんですか。」
マッフェオ「ルドリックか。大貴族家の者に不敬を働いた者を成敗するところじゃ。黙っていろ!」
ルドリック「ダメです。そもそも貴族と言えどこのカールスブルク公国では裁判も無く処罰は出来ません。ましてやいきなり切り伏せては貴族と言えど話は通りません。そもそも事の発端は何ですか?」
面倒くさいが突然現れたルドリックという若い貴族風の男に此処までの成行を告げた。
「ハッキリした理由は知らない。何も告げず其奴らが俺達の行くてを塞いだんだからな。ああ、俺を殺して俺の大事な仲間を自分の物にすると言ってたな。」
ルドリック「どういう事ですか兄上?」
マッフェオ「その女は銀狐族だぞ。大貴族の私が愛でてやろうと言ってるんだ。有りがたい話ではないか。それにその首、奴隷ではないか。所詮奴隷、問題なかろう。」
なにかがプチンときてマッフェオに踏み出した俺をルドリックが制した。
ルドリック「お待ちを!お待ちください!兄の無礼はお詫びします。」
ナナイさんやサクラ、アカネも俺の手を両脇から掴んで押さえている。
ルドリック「兄上!いい加減にしてください。父上から立場を履き違えるなと散々言われたではありませんか。それに今の兄上は反省を求められ父上の温情でアルクス子爵に預かりの身なのですよ。此処で問題を起こせばアルクス子爵の顔に泥を塗ることにもなるのです。」
マッフェオ「ふん。アルクスなど所詮父上の子分ではないか。そもそもお前が何故此処ネールにいる?また父上の説教の代役か?」
ルドリック「それもあります。が、今は引き下がってください。此処は私が収めます。」
マッフェオ「ふん。興が冷めた。帰るぞ!」
「「はい!」」
フーフー言いながらマッフェオは馬車に乗り込んで去って行った。
ルドリック「あらためて、ルドリック・ラディスと申します。此度は兄が大変不愉快な思いをさせてしまい申し訳ありません。」
「シグレだ。お前は収めたつもりだろうが不愉快極まりないな。貴族だろうが俺の仲間や身内に手を出したらこの国を敵にしても殺すぞ!次は無い。良く言っておけ!」
ルドリック「この国を敵にしてもですか?」
「何か問題があったか?」
ルドリック「簡単な事のように仰るので。」
「簡単なことだ。何を取るか。何が大事か。基準が違えば物の軽重も違う。ルドリック殿にとって国や家が大事なら俺の言ったことは絵空事だろう。だが俺にとってはサクラやアカネ、俺の仲間以上に大事な物は無い。重さが違うんだよ。」
ルドリック「・・・重さの違いは人それぞれですか。確かにそうですね。」
「面倒事は嫌いなんだ。失礼する。」
その場を離れながら、右腕を掴んでいたナナイさんが話しかけてきた。
ナナイ「シグレくん。格好良かったよー!」
ああナナイさん、その豊満な胸を押しつけないで・・
「勘弁してください。実はかなり無理してたんですから。もう足がガクガクで。」
サクラ「あの・・シグレ様、私のせいで・・」
「サクラは何も悪くないだろ。銀狐族ってだけでどうにかしようとしたあの莫迦が全て悪い。だから気にするな。」
アカネ「あの、シグレ様。私達をあそこまで思って頂いて・・・とっても嬉しいです。」
ナナイ「いいなーサクラちゃんもアカネちゃんもシグレくんに愛されて。あーお姉ちゃんも仲間に入れてくれないかなー!」
「ナナイさん、冗談言わないでくださいよ。」
ナナイ「冗談じゃ無いよ。シグレくんと初めてあった時感じたんだよね。
ちょっと嫌なことがあって冒険者を休業してたけど、シグレくんなら一緒について行きたいなって思ったんだよね。」
「えーと、冗談じゃないんですか?」
ナナイ「冗談言ってるように見える?それにサクラちゃんとアカネちゃんにはもう言ってあるんだよね。許可も貰ってるし。」
「えっ?そうなの?」
サクラ「はい。ナナイさんが本気でしたから。それに戦力の補強も考えるならナナイさんが良いと。」
アカネ「ナナイさんならシグレ様の為にこれ以上ないと思います。」
サクラ「それに、シグレ様が・・夜どんどんお強くなるので・・」
アカネ「私達は嬉しいんですよ!でも・・・体力的に・・」
サクラもアカネも顔を真っ赤にして俯いてしまった。
ナナイ「ふふ。どうシグレくん?もちろん夜も問題なしよ。」
「いや、あの・・ナナイさん胸ぐりぐりしないで・・一度宿に帰ってゆっくり話しましょう。」
宿に帰り俺達の部屋にはナナイさんもいる。
「ナナイさん。本気なんですか?」
ナナイ「本気よ。何度も言わせないで。」
「じゃあ言いますが、1つ問題があります。
俺のスキルに【パーティー】というのが有るんです。このスキルでパーティーを組むと色々恩恵があるんですが、問題というのはパーティー申請の欄にナナイさんの名前が出て来てないんです。」
ナナイ「出てきてない?」
「はい。サクラとアカネは申請欄に名前があったんです。で、俺が考えるにですね――」
ナナイ「奴隷契約すれば良いんでしょ?良いわよ全然問題ないわ。」
「えっ?良く解りましたね。」
ナナイ「だって2人と私の違いってそれくらいでしょ?問題なし!
サクラちゃんやアカネちゃんを見てれば、シグレくんの奴隷はただ奴隷紋付けてるのと一緒だもの。それに私の全部シグレくんにあげるつもりだったし。それともシグレくんは私が嫌い?」
「いやいや、嫌いなわけ無いじゃないですか。むしろ色っぽいお姉さん過ぎて俺で良いのかなーって。」
ナナイ「じゃあ決まりね。シグレくん、サクラちゃん、アカネちゃん宜しくね。ああ、私は3番奴隷で良いからね。」
「ああもう・・・じゃあ宜しくお願いします。」
サクラ「ナナイさん。宜しくお願いします。」
アカネ「ナナイさん。良かったですね。宜しくです。」
「あっ!お兄さんは?エバンスさんが奴隷に反対したら?」
ナナイ「するわけないわよ。それに早く出て行けって言われてたのよ。ああ、邪魔にされてたんじゃないわよ。はやく目的を見つけろって。もう一度しっかり生きろって言われてたのよ。」
そうと決まればと言うことで、俺達は再びギルドに行きナナイさんのパーティー登録をした。
メリンダが顎が外れるほど驚いていた。
ギルドを出て向かったのはサクラ達がいた奴隷商レンドンのところだ。
俺も隷属魔法は使えるが、あまり色々出来すぎるのも拙そうなのでお金は掛かるがナナイさんの奴隷契約をして貰う。
レンドン「これはこれはシグレ様。丁度良いところへ。実は先日のお願いの件でお話しがあったんです。」
「あっ!思い出した。ラディス辺境伯だ!」
レンドン「はい。その件ですが、なにか?」
「ああ。さっきラディスの長男と揉めたんだ。サクラを奪おうとしたんでな。」
レンドン「なっ・・・長男?マッフェオですか?」
「そうだ。デブっとしたオークのような奴だ。」
レンドン「良かった。それなら問題ありません。あれは父上のデランド様から持て余されているのです。もちろん爵位の継承権もありません。殺していないなら大丈夫です。」
『凄い辛辣だな。ここまで言い切るか。』
「じゃあ、願いの話って言うのは?」
レンドン「はい。私の話の確認にサラケスから使者が来ました。1度会っては頂けませんか?」
「直接条件を話せって事か?」
レンドン「いえ、条件は話しています。概ね了解も取り付けたのですが、とにかく1度会わせてほしいと。」
「・・・良いだろう。会うよ。その方が店主の顔も立つんだろ?」
レンドン「ありがとうございます。これで肩の荷が下ります。」
「ああそうだ。この話をしに来たんじゃないんだ。」
レンドン「そうでした。申し訳ありませんこちらの話ばかり。で、御用向きは?」
ナナイさんに奴隷契約をして貰った。その時ナナイさんが俺から名前が欲しいと言い出した。
「新しい名前はダメです。」
ナナイ「どうしてよ。不公平じゃない。」
「それは・・・俺がナナイって名前を気に入ってるからです。だからナナイが良いんです。」
ナナイ「もう・・しょうがないな。シグレくんがそう言うなら。」
宿に帰りナナイさんはエバンスさんに報告に行った。
『しまった!これ逆だよね。身内に話してから奴隷契約だよね・・』
そんな事を考えていたら『入るわねー!』とナナイさんがやって来た。
ナナイ「兄さんが、3階の4人部屋に移りなさいって。鍵を貰ってきたから行こうか。」
「あ、はい。」
4人部屋に移り、今は4人ベッドと椅子に腰掛けている。
夕食にはまだ時間が有るので、俺が渡り人であること。この世界に来た経緯と女神イサドラ様からのお願いでサクラを助けたことなど全てナナイさんに話した。
ナナイ「やっぱりシグレくんは渡り人だったんだ。」
「知ってたんですか?」
ナナイ「そうかなって思っただけ。なんとなくかな。」
「実は、サクラにもアカネにも話してなかったんだけど、イサドラ様からはもう1つお願いされてるんだ。」
サクラ「誰か他に助けてあげるんですか?」
「いや、実は今まで言わなかったのはアカネが変に気にすると思ったからなんだ。」
アカネ「私がですか。」
「イサドラ様の2つ目のお願いは、出来ればセレゴス王国を倒して欲しいと。」
アカネ「セレゴスを・・」
「ああ、ただしこっちの願いはついでで良いそうだ。無理にとも言われていない。
だから俺はこの世界でお気楽にやりながら力を付けて、セレゴスが俺やアカネやみんなに絡んできたらその時に考えるつもりなんだ。」
アカネ「・・・・・」
「アカネ。無理にアカネを巻き込みたくない。俺にはイサドラ様のお願いよりアカネが大事だ。あまり大げさに考えるな。」
アカネ「ありがとうございます。でも女神様の願いなら――」
ナナイ「アカネちゃん。シグレくんに任せなさい。まずはシグレくんと人生をお気楽に楽しみましょう。それからよ。」
アカネ「はい。そうですね。」
「ところで、ナナイさん下の手伝いは良いんですか?」
ナナイ「・・・」
「ナナイさん?」
ナナイ「ナナイって呼ばなかったらご主人様って呼ぶわよ。」
「・・・ナナイ。手伝いは良いのか?」
ナナイ「大丈夫よ。もともといつでも冒険者に戻れるように出来ることしかやってなかったから。」
サクラとアカネは買ってきた物を確認するというので俺はナナイとパーティー確認を始めた。
「ナナイ。パーティー申請するから受けて。」
ナナイがパーティー申請を受けたので必要なスキルをペーストした。
名前:シグレ
種族:人族
年齢:17
レベル:20
称号:英雄
スキル:【偽装】【高速思考】【並列処理】【多言語理解】
【気配探知】【剣術】【棒術】【格闘術】【体術】【隷属魔法】
【回復魔法】【風魔法】【氷結魔法】【火魔法】【魔力操作】
【性豪】
【パーティー】
【成長促進】
【コピーandペースト】
【通信】
【セルフボックス】
【パーティーボックス】
アイギス:【解析鑑定】【全魔法才能】【全スキル才能】【次元収納】
名前:サクラ
種族:銀狐族
年齢:18
レベル:19
スキル:【双剣術】【俊足】【成長促進】【通信】【気配探知】
【セルフボックス】【高速思考】【並列処理】【回復魔法】
【魔力操作】【パーティーボックス】
名前:アカネ
種族:人族
年齢:20
レベル:19
スキル:【弓術】【風魔法】【回復魔法】【魔力操作】【成長促進】【通信】【セルフボックス】【高速思考】【並列処理】
【パーティーボックス】
名前:ナナイ
種族:ダークエルフ族
年齢:35
レベル:52
スキル:【斧術】【豪腕】【気配遮断】【成長促進】【通信】
【セルフボックス】【高速思考】【並列処理】【回復魔法】
【魔力操作】【パーティーボックス】
「ナナイ。ステータスを確認してみて。」
ナナイ「凄いよシグレくん。身体能力が上がったのが解るわ。それにシグレくん、スキルが増えてるんだけど?」
「俺のスキル【コピーandペースト】で貼り付けたんだ。しかし、ナナイは凄いな。」
ナナイ「これでもB級だからね。」
「ナナイは【気配遮断】持ちなんだ。」
ナナイ「気配遮断は使えるよ。」
「コピーさせて貰っても良いかな。サクラにも有効そうだし。」
ナナイ「どうぞ!私の物はシグレくんの物だから。もちろんこのおっぱいもねウフ。」
「あ、いや、それは・・・後でゆっくり頂きます。」
―― 同じ頃 マッフェオ邸 ――
マッフェオ「彼奴のことはわかったのか?」
「はい。Eランクの冒険者でシグレと言うそうです。」
マッフェオ「たかだかEランクの分際で私に恥をかかせおって!彼奴に思い知らせる良い方法は無いのか?」
「マッフェオ様。奴らは明日からウォーターリザードの討伐に向かうそうです。」
マッフェオ「ウォーターリザード?西の湖沼群か。好都合だな、人を集めろ。金のためなら何でもするような奴らをな。」
「と、言うと?」
マッフェオ「西の湖沼群なら日帰りは出来ない。もどる前の晩に襲わせろ。魔物の討伐で死ぬことはよくある。ただし、彼奴の女どもは怪我はさせても殺すなよ。私が心行くまで可愛がってやるんだからな。」
「畏まりました。」




