【目指せ20階層】
「サクラ!右の3匹は任せる。左の2匹はツバキ行ってみる?」
サクラ「はい!」
ツバキ「お任せを!」
デランドからセカンドハウスを渡された次の日、俺達は百層宮の攻略を再開した。
今、〈ヒイラギ〉と〈レナスの疾風〉は13階層にいる。と言っても13階層に来てからはパーティーで別行動だ。
ティナの紫蘭玉樹は9階層に降り今日中に10階層のボス部屋を攻略するらしい。
ティナ達は俺の忠告を聞き、セグルドに行くまで8・9階層のオークを相手に地味にレベル上げをしていたそうだ。
だが、セグルドでアラクネを、四つ足の森でグラスタイガーを倒して一気にレベルが上がったので10階層のボス部屋攻略を決めた。
「ナナイ、此処の13階層は駆け足で行こう。」
ナナイ「了解!サクラ探知お願いね!」
サクラ「任せて!」
午前中に14階層に降りた俺達は、宿部屋で昼食を取った後2時間掛けて15階層への階段を見付け15階層から1階層へと戻った。
ギルドに行くと既にティナ達紫蘭玉樹が戻っていた。
「ティナ!どうだった?」
ティナ「はい、問題なく10階層は攻略して11階層も覗いてきました。」
イデリナ「実は、ボス部屋で我々の前のパーティーが全滅したんだ。」
「何が出たんだ?」
ブリエレ「ゴブリンジェネラルでした。」
ジェリー「私達が入ったらゴブリンジェネラルが1匹とオークが2匹立っていて、扉が閉まるとハイオークも2匹出てきたんです。」
「おっ、リターンマッチだな!でも、ティナ達は問題にしなかったんだろ?」
ロゼル「ティナ様凄いんですよ!ゴブリンジェネラルをお一人で仕留めちゃったんです。」
ミッシェル「盾の一撃で!」
ティナ「ロゼル、ミッシェル!恥ずかしいから・・」
「あれ?〈美笑の氷姫〉は魔法を封印したのか?」
ティナ「し、シグレ様、やめて下さい。その二つ名も恥ずかしいんですから!」
「「「「「「「「「「ははは・・・」」」」」」」」」」
ここで俺達をジト目で見ていたジャネットに気づいた。
「ああジャネットさん。カードと素材の買い取りを頼むよ。」
ジャネット「では、カードはこちらに。素材は奥の素材カウンターにお願いします。」
奥の素材カウンターに魔石と素材を置く。サラケスのギルド職員は俺が大量の魔石や素材を出しても反応が薄い。もう慣れっこのようだ。
ジャネットのところに戻りカードを受け取って驚いた。
「あれ?家名が入ってる!」
俺のカードが〈シグレ・ユキマチ〉になっていた。
「「「「「「「「えっ!」」」」」」」」
パタパタと嫁達がよってきてカードを俺の手から奪っていった。
サクラ「あ、本当・・・」
アカネ「嬉しい!」
ナナイ「泣きそう・・・」
ツバキ「何とも言えない感覚です。」
ボタン「家名まで貰うなんて・・・」
フジナ「これで本当の家族に・・・」
シユナ「ユキマチ、私はシユナ・ユキマチ・・・」
エリザ「ほう、良い物じゃな。」
それぞれ感極まった嫁達の様子にあてられていたジャネットが話しかけてきた。
ジャネット「あのー、シグレさん。ギルマスがナナイさんの申請が通ったので明日の午後ナナイさんのカードの変更をしたいそうです。午後2時に来ていただけますか?ああ、クラン全員で来るようにと言ってました。」
「クラン全員?解ったよ。了解です。」
素材の代金を受け取りセカンドハウスに戻った。
「なんか装飾にはまだ慣れないけど、ソファがあるだけで違うな。」
ティナ「そうですね。落ち着きます。」
「そうだティナ。黄銅の盾を貸してくれ。」
ティナ「黄銅の盾ですか?」
ティナから黄銅の盾を受け取りしみじみと観察した。
元々竜人が使っていた大きな盾だ。素材の黄銅はミスリルに匹敵する硬度がある代わりに普通の銅の倍の重量があるらしい。
盾の正面にはドラゴンの彫金が施されている。幅が70cmほど、長さは140cmほども有り、150cmちょっとで細身のティナならすっぽりと隠れてしまう。
「ティナ。この盾に取っ手というか持ち手を増やしたくないか?この黄銅の盾を武器として使うなら掴めるところが多い方が良いだろ?」
ティナ「はい!実は今日ゴブリンジェネラルと戦っているとき考えていたんです。持ち手が上下にあったらとか。前面にもあったら色々出来るなとか。」
「ならちょっと待ってろ。」
収納から以前手に入れた黒鋼の棍棒を出して盾と重ねた。そこに手を添えてイメージを流していく。
黒鋼の棍棒がグニャグニャと形を変えて盾と一体になっていく。
大きな盾の周りに黒鋼の縁取りが出来た。黒鋼の縁は殴りつけたときに魔物を潰しやすいように丸くしている。
そして盾の上と下に10cm×20cm幅の窓を作りFMアクリをはめ込んだ。ティナ側を透明にして魔物側からはティナが見えないように乳白にしておいた。
「「「「「「おおーーー・・・」」」」」
見ていたギャラリーから声が上がった。
ティナ「あっと言う間に・・・」
「ティナ持ってみて。黒鋼を足した分重くなってる。重すぎるなら軽くも出来る。
それと上下に窓を付けた。これで盾に隠れても敵が見える。因みに敵からティナは見えないから。
あと、この黒鋼の縁は何処でも指が掛かるように盾との間に隙間を作ってある。」
盾を受け取ったティナが左手で盾をかまえ、持ち上げ、振ってと盾の様子を調べる。
ティナ「確かに少し重くなってますが。これ位なら大丈夫です。縁は何処を持ってもしっかり掴めます。これで戦いの幅を広げられそうです。」
「イデリナ。ティナと相談して、ティナに籠手かグローブを付けさせた方が良い。グリップが有るとは言え素手じゃ指を痛めるかもしれない。」
イデリナ「解りました。ティナ様。明日は騎士が剣の練習で使う革の手袋を使ってみませんか?」
ティナ「そうですね。なんだか明日が楽しみです。」
「ところでイデリナ。お前はティナから渡されたミスリルの剣をまだ使ってないのか?」
イデリナ「ああ、なんだか気後れしている。自分の腕が見合っていないからな。」
「あほか!剣にお前が合わせてどうする。そういうのは剣を振って使ってお前の物にするんだ。ちょっと剣を出せ!」
シュンとなったイデリナが専用の拡張ポーチからミスリルの剣を出した。
「ミスリルの剣か。硬度は黒鋼の方が上だがミスリルの方が高価なんだよな。」
エリザ「ミスリルは魔力との親和性がどの金属より良いからな。属性魔法を付与をしなくなった今でも昔の名残で高いんじゃろ。」
「魔法付与ね。スキルの効果付与はどの金属でも出来るんだけどな。」
エリザ「魔法も付与するだけならどんな金属にも出来る。ただ、ミスリルを除けば魔力を溜め込んだり、そもそも魔力の通り自体が良くないからの。付与した武器を魔法の発動体に出来なくなるんじゃ。」
「それだよな・・・・ほら、取り敢えず【筋力強化】と【俊敏強化】を付与した。明日からこれを使え!」
イデリナ「【筋力強化】と【俊敏強化】・・」
「ティナの盾にも附与してある。」
ブリエレ「あ、あのシグレ様!――」
「解ってるよ。4人も剣を出して。」
「「「「キャー!ありがとうございます!」」」」
ロレン「なんだ?何の騒ぎだ?」
百層宮から戻ったロレン達に騒ぎの説明をすると、当然レナスの疾風の武器にも付与することになる。
「解った解った。カタリナ達の武器にも付与するから。その代わり今日は女達だけでお風呂はなしな。2日も嫁達とお風呂に入れないのは寂しすぎる。」
サクラ「ふふ、解ってますよ。」
アカネ「今日は最初から旦那様と入る予定でした。」
エリザ「シグレは子供じゃからの。」
「お前に言われたくないわ!」
カタリナ「うちも2日も放っておけないのよ。」
シュゼ「拗ねる。」
ロレン「拗ねたりなんかしてないだろ!」
アージア「夜、甘えが酷くなるのよね。」
ロレーヌ「昨日もそうだったしね。」
「へー、ロレンは甘え属性なんだ?」
ロレン「な、何言ってんだよ!違うよ!甘えたりするわけないだろ!」
ティナ「良いなみなさん・・・」
「「「「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」」」」
フジナ「旦那様。朝ですよ!」
「ああ・・・フジナ、おはよう。ん・・・」
フジナ「ん・・・おはようございます。」
「フジナ!おっぱい!」
フジナ「ちょっとだけですよ。――ゴソゴソ はい!どうですか私のおっぱいは?」
「ああーー気持ち良いよ!最高だ!」
フジナ「あ・・・おイタはダメですよ――」
ツバキ「はい!終わりですよ!起きて下さいね旦那様!エリザもですよ!」
エリザ「ふぁい・・・」
「居たのかい!」
こんな朝の光景をずっと続けていたい!
「アカネ、ツバキ、15・16階層も魔法はエリザだけで行こうか。弓と槍で前から来るハイーオークを1匹ずつ頼む!」
「「はい!」」
「相変わらずオーク種の生息層はジメジメしてるな。」
サクラ「シグレ様。着替えても良いですか?」
「ああ良いよ。此処で休憩にしよう。」
「「「「「「「「はーい!じゃ!」」」」」」」」
朝食を終えて俺達は百層宮の15階層に来ていた。事前にナナイからこの階もジメジメしていると聞いていたので嫁達は多めに下着の替えをセルフボックスに入れてきたらしい。休憩と聞いて一斉にセルフボックスに入っていった。
「今日は午前中だけだから15階層くらいは攻略したいな。」
そんな事を呟きながら収納に入れておいた珈琲を1人ノンビリ飲んで嫁達が出てくるのを待つ。
―― カチャ!カチャ!・・・
「不思議と1人が出てくると続くんだよな。」
アカネ「何ですか?」
「あ、こっちの話。水分を取ったら行こうか?」
「「「「「「「「はーい!じゃ!」」」」」」」」
サクラ「シグレ様。そこの茂みの向こうに10匹ほどいます。」
「数が多いけど問題ないか。先制はアカネとシユナの弓で。後は取り合いをしないように上手く決めて。」
サクラ「アカネとシユナの後、残った1番右に行きます。」
ナナイ「じゃあ、サクラから順番に左で!」
「「「「「「「了解!」」」」」」」
「残りは俺がやるから。じゃあ戦闘開始!」
「「「「「「「「はい!」」」」」」」」
ん。あっと言う間だ。もはやハイオーク程度じゃ嫁達のあいてにもならない。
ツバキ「シグレ様。肉が5つドロップしてます。」
「やっぱり唯のオークよりハイオークの方が肉も高級だよな。肉にサシも入ってるし。」
フジナ「サシですか?」
「ああほら赤身の部分に油脂が細かく入ってるだろ。こういうのを言うんだ。」
ナナイ「ハイオークの方が買い取り金も高いからね。」
「それなんだけど、百層宮で手に入れた肉を出来るだけ我が家用の備蓄にまわそう。森で狩った奴は解体しないといけないからね。」
ボタン「賛成!じゃあどんどん狩らないと!」
「はは、まあまだこの下の階もあるから。まずは階段を見付けようか。」
「「「「「「「「はーい!じゃ!」」」」」」」」
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