【起動?】
俺達はフォレストウルフαと対峙していた。
《初手は、俺が【火魔法】で牽制する。》
サクラ《【火魔法】をいつ?》
《さっきのゴブリンメイジだ。奴の【火魔法】で感覚がわかった。俺が【火魔法】を正面に放つ。2人は左右に別れてくれ。奴は火魔法を躱そうと左右どっちかに動くはずだ。出てきた方はその瞬間に攻撃だ。俺もすぐフォローに入る。》
《《了解です。》》
俺達は高速思考を使って通信で会話しているが、その僅かな間もαは余裕綽々でこちらに歩いてきた。
αとの距離は5mほど。
「やるぞ!」
ゴブリンメイジの使った火魔法を【火球】と名付けて奴の鼻先1mに打ち込む。
αの前に炎の玉が飛んでいく。
サクラとアカネが左右に動く。
『どっちに出る・・・』
―― ザッ!
「しまった!」
αは炎の玉を上に飛んでかわし、真っ直ぐ俺に飛びかかって来た。
―― ガン!
「ぐ・・」
―― ドサ!
対応が遅れた。
αの突進を胸でもろに受けて飛ばされた。
「うっ・・」
「「シグレ様!」」
―― ドン!
「ゲェ・・・ゲフッ!」
αが両前足で俺の腹に伸し掛かった。
『初めての感覚・・・肋骨が逝ったか?
クソ!押さえ込まれた!しまった剣が・・』
飛ばされた弾みで剣を手放していた。
「ガルルル・・ガア!」
終わりだと言わんばかりにαが牙を剥き出しに喉元を狙ってきた。
咄嗟に両手をクロスさせ受けてしまう。
―― ガブ!
「クソッ・・」
牙が左腕に食い込んだのが解った。
あれ?左腕ってアイギス付けてたはず。使えねー・・
―― ピコン!
〈所有者のDNAを確認。登録しました。〉
〈型式RX-78 アイギス 起動します。〉
『な、なんだ?RX-78・・・○ンダムじゃん!』
〈状況を把握。サークルシールドを展開します。〉
―― ガコ!「ギャ!」
「円形の盾?」
左腕にアイギスの籠手と一体となった30cmほどの円形の盾が現れた。
『僅かに透明な盾・・』
突然現れた盾でαの口が大きく広げられ顎が外れていた。
「はあはあ・・間抜けな画だな。」
顎が外れαが後退していく。
サクラとアカネが俺のところに駆けてくる。
サクラ「シグレ様!」
アカネ「お怪我は?噛まれたように見えましたが?」
「肋骨が・・それに腕を・・・」
アカネ「ああ・・すぐに回復を【ヒール】!」
アカネそんなに悲しそうな顔をするな。
【ヒール】の効果が胸のあたりを包んでいくのが解った。
『凄いな肋骨の骨折が治っていく・・・』
「はあはあ・・ありがとうアカネ、楽になったよ。大丈夫だ。」
その間αは「ガウガウ」と前足で外れた顎を気にしていた。
益々間抜けな画だ。
「ケリを付けよう。アカネ魔法を、俺も【氷槍】を使う。サクラはタイミングを合わせろ。」
「「はい!」」
俺とアカネが魔法を放つ。
致命傷にはならなかったが確実にダメージは与えた。
追い打ちを掛けるようにサクラが傷を増やしていく。
『剣は何処だ・・・』
手放した剣を探した。
〈シールド効果を1カ所付与できます。
付与可能 右手 【はい】
右足 【はい】
左足 【はい】〉
『こんどはなんだ?・・・シールド効果?右手だ!』
〈右手にシールド効果を付与します。
発動は『シールド発動!』です。
格好良くです。譲れません。
解除は『シールド解除』です。
格好良くです。譲れません。〉
『・・・・・誰だこれプログラムした奴。あのエロおやじか!』
「シールド発動!どうだ。」
〈Go Fight!〉
「なんだよこれ・・」
右手を覆っていく薄い銀色の膜。
おそらく遠目には俺が銀の籠手を突然付けたように見えるはずだ。
「ええい、ままよ!サクラ交代だ!」
掛けだしてαの正面に廻り、思いっ切り右手で殴りつけた。
―― ガゴ!グシャ!
左目上から殴りつけた拳がαの顔にめり込んでいた。
動きの無くなったαがドサリと倒れる。
「はあー・・・やったのか。」
サクラ「シグレ様!大丈夫ですか?」
アカネ「シグレ様!体は?」
「ああ、何とか・・アカネもう1回ヒール良いかな?」
アカネ「何回でも良いですよ!【ヒール】」
「ふー、もう大丈夫だ。俺のミスだ。どこかなんとでもなると思って舐めてた。まさか火を恐がらないとは思ってなかったよ。」
サクラ「そんなこと気にしないでください。」
アカネ「そうです。これから経験を積めばいいんです。」
「こいつ確実に仕留めるために俺の動きを封じに来たからな。まさに経験の差だな。」
サクラ「シグレ様。その左手の盾は?」
「ああ、アイギスの・・この左の籠手が起動・・進化したんだ。ってアイギスに傷が無い!牙が食い込んだはず・・」
アカネ「その右手の籠手は?」
「これもアイギスだ。シールド解除!」
右手の籠手が霧散するように消えていく。
「えーと左手の盾は・・」
〈戻れ!です。格好良くです。譲れません。〉
『・・・・・』
「戻れ!」
盾も霧散して消えていった。
「今日はもう戻ろうか。」
「「はい。」」
フォレストウルフαを収納にしまって街に向かった。
森を出ると丁度四の鐘がサクラの耳には聞こえてきたらしい。
だいぶ顔見知りになりつつある門番にギルドカードを見せ「またな。」と声を掛けて街に入る。
ギルドに着くと待っていたようにメリンダが声を掛けてきた。
メリンダ「お帰りなさい。シグレさん。」
「ああ、カードと素材の買い取りを頼みます。」
メリンダ「はい。承知しました。ではカードを。」
渡されたカードをオーブにかざすとメリンダの顔から表情が消えた。
メリンダ「シグレさん。フォレストウルフがありますけど・・どうしたんですか?」
「えっ?どうしたって、倒したよ。だからカードに載ってると思うんだけど。」
メリンダ「そうですね。そうなんですけど・・・フォレストウルフはDランクですよ。それを倒したんですか?」
「そうだけど。買い取りカウンターに出せば良いか。」
買い取り専用カウンターに今日の狩りの素材を出していく。
フォレストウルフが1匹。グリーンウルフが45匹。ゴブリンメイジが2匹。ゴブリンアーチャーが2匹。ゴブリンソルジャーが1匹だ。
メリンダ「ゴブリンメイジにアーチャー。ソルジャーまで。シグレさん、森の奥に入ったんでしょ?」
「今日は少し奥に入ってみたんだ。ああ、査定に時間が掛かりそうだから、向こうで何か飲んでるよ。終わったら呼んでください。」
またメリンダのお説教が始まりそうだったので何も言わせずその場を離れた。
長いんだよね。メリンダは。
サクラやアカネとなろうお決まりの果実水を飲んでいると、査定が終わったとカウンターに呼ばれた。
メリンダ「良いですかシグレさん。森の奥は――」
「ああこの後予定があるんだ、査定額を教えて貰えるかな。」
メリンダ「もうシグレさんは・・グリーンウルフが銀貨135枚。ゴブリンメイジ、アーチャー、ソルジャーは銀貨25枚。そしてフォレストウルフが大銀貨2枚。合計で金貨1枚大銀貨8枚です。」
「硬貨で下さい。」
メリンダ「そう思って用意してます。シグレさんはカードに入れておかないんですか?」
「俺のカードに入れておくとサクラやアカネが使えないから。」
メリンダ「それならパーティー名で共有できますよ。その為にはパーティー名が必要ですけどね。」
「パーティー名ね、考えておくよ。
ああそうだ、実は今日殆どゴブリンに遭遇しなかったんだ。おかしいと思ってたらフォレストウルフに出会ったんだ。多分此奴が原因だとは思うんだけど一応報告しておくよ。」
メリンダ「報告ありがとうございます。森の様子は1日でガラッと変わるので注意が必要なんです。どんな報告でもありがたいんですよ。」
「お役に立てるなら良かったです。」
カードを受け取りギルドを出る。
宿に戻り装備を脱ぐとサクラとアカネに横になっているように強く言われた。
幾ら大丈夫だと言っても聞き入れないので、観念して1人ベットに横になった。サクラとアカネは洗濯だ。
1人暇なのでステータスの確認を始めた。
名前:シグレ
種族:人族
年齢:17
レベル:13
称号:英雄
スキル:【偽装】【高速思考】【並列処理】【多言語理解】
【気配探知】【剣術】【隷属魔法】【回復魔法】【風魔法】
【水魔法】【氷魔法】【火魔法】【魔力操作】
【パーティー】
【成長促進】
【コピーandペースト】
【通信】
【セルフボックス】
アイギス:【解析鑑定】【全魔法才能】【全スキル才能】
【次元収納】
名前:サクラ
種族:銀狐族
年齢:18
レベル:13
スキル:【双剣術】【俊足】【成長促進】【通信】【気配探知】
【セルフボックス】【高速思考】【並列処理】
名前:アカネ
種族:人族
年齢:20
レベル:13
スキル:【弓術】【風魔法】【回復魔法】【魔力操作】【成長促進】【通信】【セルフボックス】【高速思考】【並列処理】
『みんなレベル13だ。
【鑑定】が【解析鑑定】になってる。アイギスが起動したから?何がRX-78だよ。怒られるぞ。
魔法は水、氷、火に風もある。それに魔力操作もあるな。スキルも順調ってところかな。
サクラもアカネも良い感じだ。サクラも回復は使えた方が良いな。後で相談しよう。
しかし危なかった。アイギスが起動しなかったらどうなってたんだろう。
あの時点でもステータス的には充分倒せてたはずだ。ただ戦闘経験が足りなかった。
うん。此処は素直に反省しないとな。そうなると、左手の盾と右手の【銀の籠手】(勝手に名付けた)この2つで戦う格闘術が必要だ。
それと武器を変える。剣も良いんだが、なんとなく自分のスタイルとは違う気がする。
まあ、色々試してみるのが一番かな。』
「「シグレ様。シグレ様!」」
「あっ、はい。呼んだ?」
アカネ「戻りました。ずっと呼んでいたのに・・・」
「ああゴメン。ステータスを見ながら色々考えてたんだ。」
サクラ「五の鐘が鳴りましたよ。食事に行きますか?」
「そうしようか。」
食事を終え一緒にお風呂に入る。
昨日と違うのは2人の体が妙に近い。気がする。
体の洗いっこをして湯船に入ると、2人とも俺の左右にピタリとくっついてきた。
昨日までは俺が引き寄せないと来なかったのに。
なんとなく2人にせかされてる気がして早めに湯船を出た。
燃えたと言っておこう。
なぜなら2人が積極的だったからだ。
αとの戦いでちょっと高ぶってたのかな。




