出会ってしまった
俺は森の中にいた。そこで出会ってしまったんだ。運命の…運命の…ひt(((
幽霊と。
「疲れたぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
「それなぁぁぁぁあ」
今日は金曜日。俺、蒼依 幽汰の通う高校には忌まわしき「土曜授業」という概念が存在していないホワイト校である。
「この後どっか行く?暇でしょ?たぶん」
「逆立ちでゲーセン」
俺の「どっか行く?」というお誘いに「逆立ちでゲーセン」とか小学3年生並みの返答をしてきたこいつは俺の親友の紅 光太。どうでもいいがこいつはこの間のテストで赤点だった。
そんな赤点野郎の小学3年生並みの返答を「いいね」と済ませてスマホを開いた俺の頭に電流走る。
「そうだ…」
「どしたの?う○こ?」
「違ぇよ!?」
「じゃあ何?」
「心霊スポット行かね?」
「…は?」
光太の顔から笑みが消えた。
「…ダメ?」
「………」
「もしかして心霊ダメとか…?」
「そ…そ…そんなわけないしぃ!心霊とか全然怖くないしぃ!お…俺が怖いの女くらいだし!!!」
「女に何の恨みがあるんだ…?まぁいいや。じゃ決まりだな。」
まぁこんな感じでこの赤点女嫌い野郎の親友と心霊スポット行くわけになったんですよ。
「なぁ…?そろそろ帰らね?」
「ビビりすぎだよ」
とは言ったものの実は俺も結構怖い。怖いのは得意なはずなのに。
俺達が今いるのは学校から自転車で10分程走ったところにある森。学校でも前々から話題になってた心霊スポットだ。どうやら女性の霊が出るとか。何故そんな森が学校の近くにあるのか。やっぱブラック校じゃん。ここ。
ガサッ
物音がした。俺達は思わず動きを止めてしまう。
「ウゥ…」
女性の声だ。これが噂の
バッ
「え?」
ふと隣を見たら一緒にいたはずの光太がいない。これが霊の力か…と思ったのだがそうじゃないっぽい。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
後ろを見たら光太が爆走していた。これ30㎞出てんな。原チャリじゃん。
ピロリン
スマホに連絡が入った。光太からだ。
「強く…生きて。帰ってこい…友よ…」
「このタイミングでそんなフラグ立てる!?バカか!?あ、バカか。」
あまりにもバカな親友に少し呆れたが、もう少しだけ奥に進んでみることにした。
ガザガサッ
やっぱり不気味だ。うん。帰ろう。理屈主義者には無理。
…引き返そうと帰路を歩き始めた俺は足に違和感を覚えた。
手だ。何者かが俺の足を掴んでいる。恐る恐る足元を見ると人影があった。ぱっと見女性のようだ。
そして…その人影はゆっくり立ち上がり………
「わぁっ!」
………
「…かわいい」
「へ?」
それが俺がこの霊と、三霊との出会いだった。