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シウダ・デ・メヒコ(メキシコシティ)へ ★

前話までを修正し、メキシコをヌエバ・エスパーニャ副王領にしました。

人の名前も黒田孝高から黒田官兵衛など、知られた名前にし、スペインもイスパニアにします。

やはり雰囲気が合わないと感じました。

申し訳ありません。

 行長らは兵を整え、ベラクルスに向け出発した。

 距離にして20km、その日のうちに町へ着く。

 先にフロイスを向かわせ事情を説明させていたので、総勢2万を超える軍勢の出現にも町の住民達は驚かない。

 しかしその顔には一様に不安が浮かんでおり、早く出て行ってくれと言わんばかりであった。

 

 町の空気がそうであったので、統治者コンキスタドールとの交渉は順調に進んだ。

 恵瓊とヴァリニャーノをイスパニアに向かわせる事と、嘉明をマニラへの船に乗せる事、そしてシウダ・デ・メヒコへの道案内を頼む。

 正体不明の2万もの大群が首都に向かえば、行く先々で必ずや騒ぎとなろう。

 途中にも町はあるそうなので、下手をすれば軍事的な衝突となりかねない。

 清正にとっては望む所であったが、行長にしてみれば御免蒙る。

 行軍に先立ち、町への通達をお願いした。


 ベラクルス側にとっては厄介な仕事である。

 本当なら断りたい所だが、町を取り囲む武装した兵の姿に嫌とは言えない。

 町の兵力では太刀打ち出来ないので、大人しく立ち去ってくれるならそれくらいはやらねばならないだろう。

 

 コンキスタドールはイスパニア王が公認した冒険者兼征服者で、アステカを攻めたエルナン・コルデス、インカを滅ぼしたフランシスコ・ピサロが挙げられる。

 戦利品の5分の1を王室に献上する代わりに、征服の正当性を与えられた。

 そんなコンキスタドール達にとっては、町の周りを取り囲む兵の意味は十二分に理解出来る。

 言う事を聞かなければ分かっているな、だ。

 自分達が散々やってきた事であるので言われるまでもない。


 フロイスから聞いた、日本人についての情報も影響していよう。

 その危険性は兵の装備を見るだけでも分かる。

 自分達がアステカ、インカを圧倒出来た理由である鉄砲を、自分達以上に揃えていたからだ。

 

 話によれば日本に鉄砲が伝わったのは1543年で、ポルトガル商人が売り込んだのが初らしい。

 その翌年には製造技術を自らの物とし、瞬く間に大量生産を始めたそうだ。

 今では日本の国内で50万挺以上はあるという。

 その話を聞いた者達は驚いた。

 イスパニアの正規軍でもそんな数は持っていないだろう。

 とんでもない戦力を持った軍隊なのだと認識した。

 それに、アステカを征服してから70年が経つが、この地では鉄砲の製造どころか日用品にも不足する様な状況である。

 突然現れた者達の技術力の高さに畏怖した。


 そんな者達が食料支援を求めるシウダ・デ・メヒコの人口は約5万。

 農業を担っていた現地人の激減によって慢性的な農作物の不足に悩んでおり、突然に現れた20万人を養う事など不可能である。

 そうなればどうなるのか、考えるだに恐ろしい。

 イスパニア本国に救援を依頼しても援軍の到着は早くて4ヵ月だ。

 他の地域にいる同国人の町も遠く、数は多くない。

 町から逃げようにも船の数は限られている。 

 自分達に訪れるであろう暗い未来を想像し、コンキスタドールは交渉の席に着いた。

 降伏する可能性を考えるなら、ここは友好的に振舞わねばなるまい。

 

 そんなイスパニア人の内情は知らないまま、交渉は無事に終わる。

 行長らは恵瓊らに見送られ、ベラクルスの町を後にした。

 嘉明らの行くアカプルコへの道は途中まで同じであり、共に進む。


 アカプルコまでの町を調べる目的で福島正則、吉川広家、島津豊久が嘉明に同行する。

 いざとなったらアカプルコを強襲し、船を全て奪うつもりなのだ。

 その偵察を兼ね、行く。

  

 「あれがアフリカとやらから連れて来た奴隷か?」


 途中の町コルドバで、畑で働いている労働者を見て正則が言った。

 先行役がきちんと仕事をしたのだろう、コルドバでも混乱なく迎えられた。

 町の周辺には畑が広がっている。

 食料を供給する為の農園なのだろう。

 現地人がいなくなって奴隷に働かせているのかもしれない。

 アステカの生き残りという者は城に来たが、似た者を他では見かけない。

 作業を監督しているイスパニア人と、働く奴隷がいるだけだった。 


 「成る程、肌が黒い……」

 「奴隷は好かん」


 それぞれが感想を述べる。


 「信長公が召し抱えた弥助は大層な身体能力だったと聞く。奴隷であろうとも、鍛えれば戦力になるのではないか?」


 嘉明が言った。

 その言葉に彼らの身体つきに注目する。


 「うぅむ、痩せ過ぎで判断がつかんぞ……」

 「動きは悪くない者もいるが……」


 奴隷という事で碌な食事も与えずに働かせているのだろう。

 畑を耕す者達の体は痩せこけ、服もボロボロであった。


 コルドバを過ぎ、プエブラで一行は別れた。

 別れに際し、来る時には味噌などを嘉明に頼む。

 快く応じてくれた。

 



 「あれがシウダ・デ・メヒコ?」

 「破壊された建物ばかりではないか!」


 ヌエバ・エスパーニャ副王領メキシコの首都、シウダ・デ・メヒコ(メキシコシティ)に行長一行は到着した。

 アステカ帝国の首都であったテノチティトランは、最盛期で30万の人口を擁する大都市であったのだが、エルナン・コルデスに征服されてからは町が徹底的に破壊され、その石材を使って今の町が作られた。

 征服者らが持ち込んだ病原菌によってアステカ人は激減し、連れて来た奴隷を含めても人口は少ない。


 「こんな町、我らだけで攻め落せるのではないのか?」

 「敵の備えも十分ではないな」


 清正らは物騒な話をする。

 行長も正直そうは思ったが、口には出来ない。


 「まずは話し合いだ!」


 その様に言うしかなかった。

挿絵(By みてみん)

当時のベラクルスからメキシコシティへの道は想像です。

間違っていたらすみません。

メキシコシティの人口ですが、18世紀に10万人だったみたいなので、16世紀末なら5万人だろうと思いました。

正確な数字をお知りの方がいましたら、参考資料と共に教えて頂けると助かります。

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