女子高生の大謀略! 2
ネコちゃんをさらさらと描きながら、彼女――雨宮まみやは、
つまりね、ともう一匹の猫ちゃんを描き始めた。
「…あの騒動で察すると思うけど、君はまた昔の喧嘩に巻き込まれてるのだよ。
早倉さんは、あの口調から察するに乗っ取られてはいないだろうけど、
君の友達だった黒崎野さんは、ただいま絶賛乗っ取られ中なのだ」
「マジですか!
てか、そんなお買い得みたいな言い方しなくても...」
「全く困ったものだよ。
黒崎野さんの自我を封印して、体ごと使っちゃうなんて反則技は禁則事項なのにね。
…この騒動が大きくなる前に、私達でなんとかしないといけないのさ」
それにしても。
この人、めっちゃ詳しいな。
私が思っていることを察したのか、彼女は私を見て、またにやりと笑う。
「――それはね、私が生徒会長だからだよ。
草野アンナさん」
よく分からない笑みで誤魔化された。
「なんとかって言っても...。
私、今はただの女子高生だよ。
どうやって転生前みたいな力を引き出してるのか知らないけど、対抗なんてとてもじゃないけど出来ないし」
そりゃそうだよね、と雨宮まみやは落書きしたメモ用紙を眺めながらうなづく。
「…戦ってほしいわけじゃないさ」
と気楽そうな口ぶりで言った。
「…確かに風倉御子――
あ、風倉御子ってのは黒崎野さんの神様ね。
槌御神ってのが君、闇闇乃ってのが私。
…風倉御子は槌御神を殺したがってるのだ。
闇雲に動いたら君も死んじゃうことになる。
…そこで、だ」
はい、と描き上げた落書きを私に手渡ししてくる。
一応礼を言って頂くけど、コレ、私に描いてくれてたのか?
「…それじゃあ思い出していただこうかな。
君を早倉さんから助けた時。
…私ことイリタくんは、どうやったか覚えてる?」
突き飛ばした。
「…そう、器は人間のままなんだよ。
だから彼ら自身は脅威ではない。
物理的に抑えつけておくことは可能だね。
…何が恐ろしいか?
それは、彼らの『能力』だ」
能力?
それはなんだ、テレパシーかなんかか?
雨宮まみやは、私に手渡したメモ用紙を指さす。
「…たとえば、私の能力を教えよう。
私はね、自分が手書きした媒体の近くにいる者の五感を操ることができる。
…言っておくけれど、私は君を操ることはできない。
君は私と同じだからね」
手書きと言われても、私はピンとこない。
イリタの場合だって、あれはただの廊下で、近くにあるのは教室や壁に貼ってあるプリントくらい…
「…生徒会長の座につけたのは好都合だったよ、私の場合はね」
私は気がついた。
校内に展示するプリントなどには、
必ず校長と生徒会長の了承とサインが必要なことを。
つまり、この校内はすべて彼女の手のひらにあるといっていい。
この高校は、雨宮まみやのものなのだ。
「…ご理解いただけたようだね。
…怖いのは器じゃない、その能力ということだよ。
…どうやら君はまだその能力がないようだから、自分で何とか切り抜けるしかないよ」
と、すんなりと難しいことを言う彼女。
「いや、どうやってですか?」
「…うーん…君の持ち前の根性とかで?」
具体的になんかないのかよ。




