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女子高生は忙しい! 3

美術部最強障害物、神崎リオ先生。

彼女の介入によって、話はもっと複雑になっていった。


「わわわ私は草野アンナさんに伝言があって、ここに来たんです。

果たし合いでも奇襲でも密会でもありません…」


「はン、そうかい。

じゃあ不法侵入だな、死ね」


タバコが切れて機嫌の悪い神崎先生の怒りが、メガネ部長に向かってしまったらしい。


「神崎先生…一応先生なんですから、生徒殺すってのはちょっとまずいですよ…」


私の言葉に先生は、そうだなと呟く。

メガネ部長の胸倉を右手でつかみながら、


「じゃあ半殺しな」


左の腕を軽くまわし始めた。


誰かこの人に大至急モラルを教えてあげて!!


そこへイリタがポケットから煙草を取り出し、先生に差し出す。


「先生、さっきタバコ拾っちゃったんで、もらってもらえませんか?

高校生が吸っちゃうのはマズイですからね」


「おお! そうだな!」


イリタと先生は満面の笑みを浮かべ合った。


ん?本当に拾ったのか、あいつ。



「…えーと、落ち着いたところで。」


先生は、美術部のベランダに出て、鼻歌交じりに火をつけ始めている。

私たちはメガネ部長を中心に、車座になった。


「で、私がその『三の神』様に狙われているといいたいのね。

その忠告をわざわざして頂いた…。

それに関しては、まぁお礼を言うべきなのでしょうけど」


メモを二人して眺めている、イリタと早倉ちゃん。

リエちゃんは飽きちゃったのか、私の横で黙々と水彩画を仕上げている。


「私とあなたは初対面。

会ったことも話したこともない人に、こうまでして知らせようとしたのは…何故なのかしら?」


うつむいていたメガネ部長が、顔をあげる。


「…それは…我が部の黒崎野が欠席する前に、彼女が変なことを言っていたんです」


軽音部副部長、黒崎野なみ。

実は、一年生の時に友達になった彼女は、

明るくて少し控え目なところがあるけれど、芯の強い子だった。

クラスが違うので、会ったらたまに話すくらいの仲だったのだけれど。


「なみっちが?」


「彼女と二人で部室でエレキギターの調音をしていたんですが…

私が替えの弦を持ってきてドアを開けようとしたとき、中から聞こえた声に固まってしまいました」



『…ツチミカミは…』


「まだだめだ」


『…戯れ(たわむれ)を何時まで続けるつもりだ…』


「戯れではない。下ごしらえだ」


『…まぁいい…。

お主は古からの友だからな…任せる』


「案ずるな、こころざしは共にある」




聞こえたのは二人の声だったそうだ。


一つは、なみっちの声だったが、聞いたこともないような低い声だったらしい。


もう一つ目は、知らないだれか。

声質からして女子とも、

声の低さからして声変わりしていない男子ともとれる声だったそうだ。


「つちみかみって、なんかきーたことあるなー」


メモを見ていたイリタが口をはさむ。


「武蔵野神話の大地と力の神様じゃなかったか?

槌御神つちみかみ


「博識ですね、そのとおりです」


メガネ部長がイリタの言葉にうなづく。


そう、そのツチミカミとは私の転生前の姿。

ツチミカミ自体はそこそこ有名な神様なんだが、

それと私が結びつくという情報はどこから?


「こんな話…、馬鹿馬鹿しいかもしれませんがね。

神社に打ちつけられたメモを偶然見つけて、そこに草野さんの名前があった。

その前に偶然二人の妙な会話を聞いてしまった私に、

できることはないだろうかと思いまして…」


キーンコーン…

昼休み終了を告げるチャイムが鳴った。


「うん、まぁ…言いたいことは分かったわ。

気をつけるとしか言いようがないけれど…。


でも、わざわざありがとうございました」


私が深く頭を垂れると、メガネ部長は少し照れながら笑った。


まぁ、周りのリアクションを見ても、

ただのおもしろ話となるだけで、まさか信じる奴はいないだろう。

このままほっておこう。

何かの嫌がらせなのかもしれないけど、思い当たるものもないし。


みんなと美術室を出て

…神崎先生は、授業のためにそのまま残った…

それぞれ教室への廊下を歩いている―――



と、


いきなり、メガネ部長が私の両腕を背中から拘束した。


「え?」


あまりにも自然な動きで、なおかつ私はみんなの後ろを歩いていたために誰も気づかない。


「ご苦労だったね」


目の前で、


早倉ちゃんが私に微笑んでいた。



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