神様いらずの女子高生! 2
「…さて、勝敗は決した。
…無理やり乗っ取った魂とうまく折り合いをつけてくれるね?」
これに対し、冷ややかに返したのは風倉御子。
「はは…
我らに消滅せよと言っているですか?
それならば、闇闇乃。
お前だって同じ道を歩むべきです!」
確かに。
雨宮まみやも、私も転生した神が女子高生になっている。
イリタの体を使っている全能神も、すっかりしょんぼりしながら頷いている。
…そんなにあたしに殴られたのがこたえたのか…?
「 こんな私でも、
…兄等の心配していることも分かってくれるかな。
…こちらも提案を用意したのだが、もちろん兄等は賛同してくれるね?」
雨宮まみやは笑う、白い歯をにぃと出して。
心地よさではない恐怖に似た感情を抱かせる、
その笑みを持って。
――翌朝。
学校は昨日の騒動が夢だったのかと思うほど、なんともなっていなかった。
窓ガラスはきっちりはめ込まれているし、廊下はいつもの汚れ具合。
校舎も半壊していなかった。
教室に行く途中、早倉ちゃんが声をかけてきた。
「おはようございます、アンナ先輩っ」
今日の髪型はツインテールではなく、手巻きポニーテール。
コテかなんかかなぁ、凝ってるなー。
と、思いながら挨拶を返すあたし。
「さすがですね、雨宮生徒会長は。
一晩で校舎をここまで回復させてしまうとは…。
ま、やらされたのは、あのお二人だそうですが」
そう、
死んだとばっかり思っていた先生たち――
神崎リオと天国要先生は、あの後、雨宮まみやによって体を回復されて傷一つない状態となった。
その上でさっそく『おしおき』として校舎の回復を命じられた。
しかもリミットは一晩。
どうやって回復したとかよく分からないけれど。
「ところでアンナ先輩、千賀先輩を見かけませんでしたか?」
少し悲しそうに話す早倉ちゃん。
残念だけれど、あたしも朝からあの暢気な顔を見ていない。
あたしの返事にそうですか、と少し悲しそうに返して、早倉ちゃんは二年の校舎へと向かっていった。
それから朝のホームルームが始まってもイリタは現れず、欠席扱いになっていた。
昼休みに保健室に行ってみても、天国先生は知らないという。
「つーか…寝てないからさ~、
代わりに昼休みの間保健室にいてくれる~…?」
天国先生は疲れ切った顔で嘆願してきたので、あたしは仕方なく昼休みを保健室で過ごした。
その間、天国先生は泥のように保健室のベッドで寝こけていた。
教室に戻って三時間目・四時間目と時間が過ぎていってもイリタは現れない。
あたしは少し不安になっていた。
いてもたってもいられず、軽音部の活動している音楽室を訪ねてみた。
「あ、アンちゃん…どうしたの?」
可憐に微笑む、なみっち。
あたしはその顔と声を見て、その場に座り込んでしまった。
「どうしたの?
具合、悪い?」
心配そうに見降ろしてくる、なみっち。
…そうそう、これがなみっちだ。
「なみっちが帰ってきたから安心したの」
あたしの言葉に、優しく微笑んでくれた。
「アンちゃん、ずっと、ごめんね。
ずっと夢に閉じ込められてたけど、雨宮さんのおかげで…世界、交代できた。
風の神様ともちゃんとお話しできたし、お約束もしたから。
もう私は、大丈夫」
でもね、と安心した気持ちをざわつかせるなみっち。
「千賀くん、だよね?
あの人は――まだ、みたい」
胸に貫通して広がる痛み。
――まだ、終わってないの?




