神様いらずの女子高生!
私は、
こんなくっだらない戦いに参加するために、転生したんじゃない。
いつまでも親の乳追っかけて、こんなに多くの人間巻き込んで。
こいつ、それでも人間より偉い神様なの?
地上でやってる兄弟げんかだってそんなにヒートアップしないはずだ。
「ちったぁ反省しろ!」
キレた。
もうこんなの神様とか思いたくない。
こんな自分勝手な存在を崇め奉るなら、そんな世界捨ててやる。
「…は、なにを言ってるですか?
槌御門のくせに生意気です!」
突然まくしたてたあたしの動喝に、彼女は戸惑いながらも対抗してきた。
「己の力を過信して、立ってるのはあんただけじゃない!」
あたしが一歩前進するのと同様に、彼女は一歩後退する。
あたしの気迫に動揺しているのか。
「そ・そんな口を利いたって…こちらには我らが神があらせられるのですよ!
我のために、我だけのために…です!」
得意げな顔をして、彼女は指を鳴らす。
と、準備室の扉からイリタが姿を現した。
…いや。イリタの体を借りた、神様が。
私を見た瞬間、嬉しそうに頬を緩めた。
「ああ…槌御神…
風倉御子が何かしなかったかい?
器の身になってもその優しい身心は変わらないなぁ…」
これに慌てたのは、風倉御子。
「我が神!
は・話が違うです!
我と共にまた世界を構築しようという話は…」
「えぇ? 嘘、虚言だよぉ。
僕は槌御神が一等好きなんだぁっ」
悪びれもしないイリタ…全能神。
風倉御子は悲しそうにしゃがみこんでしまった。
その様子を気に求めない。
「槌御神、君に出会えるようにこうして同じ人間の器を使ったんだよぉ。
これなら現世でお前と一緒にいられると思って…」
だらしなく微笑んでいる全能神の顔を、あたしはためらいもなく
―――殴った。
ぶっとぶイリタ。
もとが人間だから、それなりに手加減をしたけれど。
腕くらいは折れたかも。
「な、なにをするですか…!?」
風倉御子も全能神も驚きと戸惑いの声を上げていた。
あたしはそのまま風倉御子の頬も殴った。
たぶん、人間で初めて神様を殴ったかもしれない。
「殴ったのは、あんたたちがだらしないからよ。
どう思おうが知ったこっちゃないわよ。
ただ、あたしの大事な高校生活をぶち壊さないでくれる!?」
二人とも驚き、同じように頬に手を当てていた。
――沈黙を破ったのは、誰かの拍手。
ふりむくと、雨宮まみやが微笑んでいた。
「…見事だね、私のやりたいことをやってくれた」
雨宮まみやの後ろには、早倉ちゃんもいた。
この状況に少し驚いていたようだけれど。
「…そういうことだよ、お二人とも。
…この学校に、神様なんざいらない。
…ここには神様の私情など、通らないのさ」




