女子高生は複雑です! 3
なみっちにはじめて声をかけた時は、文化祭。
一年の時、不安そうな顔で音楽室の前に立っていたから、あたしは思わず声をかけてしまった。
「音楽室、入りたいんだけれど…ちょっと、怖くて」
途切れ途切れに言う言葉が、よけいに心配をあおった。
こういうのは昔からほっとけない。
だから大声を張り上げて扉を開け、彼女の手を引いて頭を下げた。
―――それが最初の出会い。
「あの、…覚えてる?」
次に出会ったのは、体育祭。
やる気のないリレーに駆り出されていた時。
振り向いたときは正直覚えていなかったのだけれど、その独特の話し方を聞いているうちに思い出した。
それからあたしたちは結構仲のいい友達。
互いの部活の出し物には応援に行くし、クラスが違っても休み時間に喋ったり。
まるで恋人のように、彼女はどこか他の友人とは違ってた。
少し遠慮がちに目を伏せて、はにかみながら話す。
可愛い子だった。
――今。
目の前に立っているのは、 なみっちなんかじゃない。
「なんなの、あんた」
怖いと思った。
「人間のこと、何だと思ってんの?」
でも、むかむかしてくる。
「…たかが人間ですよ。
我々は神なのだから、そんな些細なこと
どうでもいいです」
彼女はあたしの言葉にせせら笑う。
あたしは体が冷えていくのを感じた。
ただ拳だけが熱い。眼は伏せたまま。
膝をついたままの状態で、足先を踏ん張る。
そして体中をばねにして、右の拳を振り上げた。
「愚鈍です。犬よりも」
彼女はすかさず弦を弾く。
しかし、あたしはその一切を突き破る。
ガラスだろうが、
木片だろうが、
コンクリだろうが、
鳥だろうが、
岩だろうが。
あたしの拳は止まらない。
「…っな!?」
彼女は体をひねって拳をかわしたが、用意していたあたしの蹴りが風倉御子のギターを砕く。
「な、なぜ…止まらないですか?!」
冷たい鼓動。
視界はただ一点のみ集中。
どう体を使えばいいのか、神経が教えてくれる。
「くそっ!」
風倉御子は新たな音源を求めてか、音楽室に駆け込む。
あたしが音楽室のドアを壊すと、それは足元にありとあらゆる弦楽器を置いて立っていた。
「このすべての音源を使って、肉塊さえ残らぬように破壊してやるです!」
彼女は両腕を薙ぐ、カーテンでも開けるかのように。
その瞬間、足元にある弦がすべて揺れる。
そこから発信されるあらゆる命令で、あたしを一斉に襲ってきた。
上下横、四方からの蹂躙するような攻撃。
あたしのいた床は貫通し、コンクリは粉末の風になった。
その様子に、風倉御子は哄笑する。
…が、その笑いは凍りついた。
あたしは立っていた。
風倉御子の横に。
「…なっ、いつの間に...」
さっと離れ、構える彼女にあたしは冷たく言い放つ。
「くだらないケンカに腹立ってんのよ!
このタラちゃん野郎!!」




