女子高生は複雑です!
黒崎野なみ。
あたしの前に立っているそれ…
…風倉御子は、自信ありげに腰に手を当てて、不敵な笑みを浮かべて仁王立ちしていた。
あたしの知っている なみっちなら、こんなことはまずしない。
いつも控え目でうつむきがちで、静かに笑う子だった。
それで舞台に立つと、楽しそうにはしゃいで演奏するような、ちょっと二面性をもった面白い子。
間違っても普段から仁王立ちするような、雄々しい子じゃない。
「ふん、転生しても平凡な容姿に平凡な人間です。
一体どこが魅力にうつるのか、理解に苦しむです」
風倉御子はあたしたちに向かってギターをかまえ、弦に左指を這わせた。
両耳を押さえながら耐えている天国先生に、神崎先生が呼びかける。
「要!
背中から一時的に防護膜を張ってやるから、こっちへこい!」
「…構わないさ。
後で主に造り直してもらえばいーよ。
リオは草野君を護ることに集中してー。
なんとか、あのギターだけでも壊すよ」
不敵に笑いながら、風倉御子は右手にピックを構える。
同時に天国先生はそれに向かって走り出す。
「今度こそ邪魔はさせないです、槌御神」
掻き鳴らすように『彼女』はギターを弾くと、教室の窓ガラスが順に割れ、柱の釘が四方に弾け飛んだ。
あたしを庇っている神崎先生は、全身に切り傷を作りながらも立ち尽くす。
天国先生も切り傷で血を流していくけれど、構わずに風倉御子に右拳を打ち込む、
――が、周りに弾け飛んだガラスの破片が飛んできて、
天国先生の拳を遮った。
「なに…!
なんでガラスが動くの!?」
「アレがあいつの力なンだよ。
音の波長が届く範囲で、あいつは物質を動かすことができンだ。
ガラスだろうが、人間の体だろうとな」




