女子高生って言えなくない? 3
あたしは神崎先生と天国先生の三人でチームを組んで、一階の保健室から二階の音楽室に行くために廊下を走っていた。
――あの後、それぞれの役割が決められた。
まず前提として、
黒崎野なみ…
風倉御子は『音』を使って事物を操ったり、被害を与えたりするものらしい。
キーワードは、音。
その音に支配されないようにするには、人間の体では足りない。
そこで深く集中して前世の力を引き出すことが必要、らしい。
早倉ちゃんや雨宮まみやなら、それが可能だけれど…。
あたしは自分の力に目覚めたばかりで、コントロールさえうまくいかない。
だからそれ以前の問題ということで、神崎先生に護ってもらうこととなった。
「…神崎リオは、空間単位でも対象物を保護できるように、私が造ったからね。
…こいつに包まれている範囲なら、風倉御子の音の影響を受けることはないだろう」
雨宮まみやは、はるか年上の神崎先生を『こいつ』呼ばわりしたが、神崎先生は軽く頭を下げただけだった。
やっぱり主人だからか…『私が造った』発言も伏線だらけ。
でも今はそれに構っている暇がない。
あたしは先生たち二人に援護されつつ、とりあえずイリタのいる音楽室に向かうことを任された。
「音楽室、ですか」
納得する早倉ちゃん。
「確かにそこなら音を出すモノがたくさんありますね。
千賀先輩を隠すことも簡単でしょう。
…私のもとに飛ばしていた指令の声だけでは、さすがにどこにいるか分からなかったです」
早倉ちゃんの反応に、満足そうに微笑む雨宮まみや。
手の内を知っている、といった笑いだ。
「…私と早倉さんは、能力で校内の兵隊である生徒を押さえることができますね?
…物理的にでも、感情からの支配だろうと関係はないでしょう。
…たかが音による兵隊など、ね」
二人の女子高生は、妖しげに笑う。
こわ!!
もはや女子高生じゃねぇ!
平凡に憧れるのは諦めた方がいいと思います!
と、ゆーわけで二人が兵隊を押さえ込んでいる間に、
あたしたちは敵の本陣である音楽室を占拠することになったのだ。
とはいえ、ちらほらと生徒がこちらを襲ってくる。
生徒と言っても、柔道部や剣道部の男子なのだが。
耳にヘッドホンをつけられて、支配されているのバレバレ。
こっちは隙を突いて、ヘッドホンを外して天国先生に任せるだけで良かった。
天国先生は攻撃首班。
物理的にも、気合いみたいなのでふっ飛ばす力もあるので頼りがいがあった。
手が足りなければ、あたしの馬鹿力で死なない程度に吹っ飛ばす。
お互いの力を生かした連係プレーで順調に廊下を走り抜けていく。
「おし。このまままっすぐ行きゃあ、音楽室にたどり着けンぜ」
「はい!」
音楽室が見えてきたところで――――
鳴り響くギター音。
「わ~、ストップストップ!!」
「て、天国先生!?」
手を広げて私を止めたのは天国先生。
苦しそうに両耳を押さえてうずくまる。
あたしは確信していた。このギターは…
「目障りなんですよ、槌御神」
音楽室の向こうで舌打ちが聞こえた。
間違いない。
この声は、『彼女』だ。




