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25 解決策

 25 解決策


 小さな男の子たちの目の前でミニチュアのブラックホールが急速に回転している。

「弘じいさん、危ないから近づくんじゃないぞ!」

 とシュレーディンガーが、思わず身を乗り出しそうになる弘左衛門に注意する。

「『事象の地平線』を越えたら、二度と戻ってこられないからな!」

「なんだ、そいつは?」

 と目を白黒させながら弘左衛門が聞き返す。

「ブラックホールの強烈な重力が届く範囲のことだよ」

 と男の子が答える。

「もし、それを越えて中に入ってしまったら、光さえ抜け出せないんだ」

 実際、そのブラックホールは非常に小さい。一センチにも満たなかっただろう。それなのに何故、回転しているのかわかったかというと、ブラックホールのまわりに、まるで銀河系の星の集団のようにチリやホコリが比較的速い速度で回転していたからだ。

「むっ!」

 そのときシュレーデインガーが姿をチラつかせ、遠くの音を聞くように両耳をそば立てる。

「啓之助翁からの連絡だ!」

 シュレーディンガーが簡潔に言う。電波受信詣力も彼の特殊能力のひとつだ。

「受信状態は良くないな」

「何て言ってるの?」

 と男の子が尋ねる。するとシーレーディンガーが聞いたままを答える。

『宇宙大怪・・獣の腹の中に・は、たぶんブラ・ックホールがある・・じゃろう。電荷を持・ったブラ・ックホールだ・・・・・・おそら・・く回転して・いるじゃろ・う・・・それが電・波障害を・・起こ・してい・る』

「……ここまでだな。あとは聞き取れない」

 残念そうにシュレーディンガーが報告する。

「さすがは翁じゃな! 宇宙大怪獣の腹の中にブラックホールがあると見抜いたのじゃから」

 と弘左衛門が関心する。

 すると――

「ううん、そればかりじゃないよ。おじいさんはヒントをくれたんだ!」

 と小さな男の子が叫ぶ。

「ヒント?」

「そうさ! 電荷を持ったブラックホールだって言ってたじゃない。……ということは!」

「な~る、そういうことか!」

 男の子の言葉にシュレーディンガーが大きくうなずく。

「また二人だけで納得しとるな」

 と弘左衛門がぼやく。

「そう言わないでよ。全部片づいたら教えてあげるからさ。……でも今は急がなくちゃ!」

 男の子は、なんでもたべちゃうゴンの胃袋の下をチラリと覗くと、ゾッとして言う。

「早くしないと消化されちゃうからね!」

 いつのまにかジュルジュルと気味の悪い音をたて、強烈な酸の臭いとともに、なんでもたべちゃうゴンの消化液が迫り上がっていたのだ。

「…………!」

 そのすさまじさに弘左衛門が目を丸くして口をOの字に開く。

 男の子がシュレーディンガーに向き直る。

「シュレーディンガー、キミは自分自身を強力な磁石にすることができるよね。身体全体の磁気を分散させることによって」

 シュレーディンガーがすばやくうなずく。

「磁石になったキミに回転しながら、テレポーテーションで、ブラックホールの回転と逆方向にまわって欲しいんだ。オーケイ?」

「オーケイ!」

 シュレーディンガーが答える。

「じゃ、頼むよ!」

 男の子の言葉を合図にシュレーディンガーが、瞬問移動で現われたり、消えたりしながら、ブラックホールの回転と逆方向にまわりはじめる。


 ルイーン ルイーン ルイーン ジュルルル……

 ルイーン ジュルルル……

 レイーン ジュルルル……

 

 回転の音と胃液の音が、宇宙大怪獣=なんでもたべちゃうゴンの頑丈な胃袋の中にこだまする。


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