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シュールナンセンス掌編集

首といも

作者: 藍上央理

「首といも」



 逆立ちするとよいと聞く。なにがよいのか、わからないけれど。

 道を行く人々すべてが逆立ちをしている。

 ポケットの中身を落としながら、エクスキューズミーと私は拾ってあげる。

 地面を手が踏み、それとも支えるかして、彼らは目的地へと向かう。

 地面は傾斜していく。

転がっていく丸い玉に追いつけるように、犬までが逆立ちをする。

 町の隅に白墨で線を引く人がいる。

 境界を決め、何もかも自分のものにすると言う。

 書類の手続きは必要ではないのかと忠告すると、彼はあわてて区役所へ走っていった。

 ズボンをはおり、ジャンパーを履く。

 彼らに頭のでかい首は要らない。

 鎖をつけて引きずっていくのだ。

 私だけまともに歩く。それでも私はまともではない。

みんなが私を振り向き、気が狂っているとわめく。

 くまでをもってきて、私は彼らの頭をかき集めていく。

いくらやめてとお願いされようと、そんなことは無視だ。

 スーパーで買ってきたさつまいもを首の中に紛れ込ませる。

 マッチに火をつけて、悪態をつきまくる首の中に落とすとよく燃えた。

 メラメラと燃えるたき火に串を刺す。

 取り出したいもの皮をむく。

 焼きいもは好物なのだ。

 ここにバターがあればもっといいのになぁ。

 「痛いじゃないか」

 間違えて、私はいもではなく、首の皮をむいていたようだ。

 そのうち、首がパンパンと弾けとび、ポップコーンがわたしの足元をうずめ始める。

 何もかも考えられない。

 私の不幸は焼きいもと首の区別がつかないことだ。

 さて、逆立ちする人よ。私のために焼きいもを探してほしい。

 お礼はないけれど、ありがとうを言おう。

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